楽園

by詠月(SELENADE)




「ねえ、また御上より通達よ」

「ん、またか、今度は何だ?」

「『天尊封魔錘を作成後、直ちに1番倉庫に納入せよ』ですって」

「ああ、戦が近いんだな」

「でしょうねぇ…しかも錘系だから、間違い無く一対一ね」

「ボスかそれとも激強の侵入者か……」

「そうね…案外シャスタのお父さんかもよ」

「そういや、あいつはしょっちゅうそればっかだったなあ……」

「そ、お父さん自慢ばっかり…ファザコンね〜、
 …でもぉ…いつの時の話だったかしら?
 …もう遙か昔の思い出みたい……」

「さぁね……別れてからもう何ターン経ったことやら」

「100は超えたよね、間違い無く」

「道理で最近龍が湧いてくると思ったよ」

「まあいいじゃない、暇でぼーっとしてるよりは」

「そうだな……
 時に、今の御上は何代目かなぁ」

「う〜ん……7、8代目じゃないかな……詳しくは判らないけど」

「なんにせよ、俺達には関係ないよな」

「そうね……、
 あ、桃まん持ってきたけど食べる?」

「じゃ、ここらで一息つくか」





「…ねえ、もう…あたし達…離れ離れにならないよね…」 (ぽそ)

「ん…ああ、だいじょうぶ、
 あんな惨い別れは、二度とおこらないさ」

「……でも……敵…責めてくる…もん」 (絞り出すような声で)

「ほへ? お、おい?」

「……龍穴炉に龍石入れなくちゃ回復できないもん!!
 だから……いつの日か必ず、龍穴炉が陽気で満ちてっ……」

「バ〜カ…そんなこと心配していたのかよ」

「遠い未来の話でも……
 ……私達には確実な別れが待ってるんだもん!!」 (涙)

「あははー、
 なあ、俺…今何食ってるんだっけ?」

「すん……何って、…桃…あっ!」

「こいつを堀出しゃ、龍穴炉で回復なんて必要ない、だろっ?」

「!! それじゃあ!」

「ここは、永遠の世界、
 決して運命に邪魔されない……楽園さ……」





☆劇終☆

2000/08/16UP


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