京都祇園一力亭のひととき

機会があって、日本一と言われる京都祇園の老舗茶屋「一力亭」に行ってきました。このお茶屋さんは、一見さんではなかなか入れないことで有名ですが、私も一生に一度あるかないかの体験〜お茶屋さん遊びの真髄を垣間見てきました。

この「一力亭」は、「仮名手本忠臣蔵」の七段にも出てきて(私はおかるが手鏡で密書を見る場面が好きです(*^_^*))、実際に大石内蔵助が主君の仇討ちのため世を欺いて遊び呆けたお茶屋さん。

当時、山科に居た内蔵助に一力亭の店主が届けものをしたのですが、その折の礼状が店に届いていました。女将さんから実物を見せていただきましたが、実に達筆静謐な文字に息をのみました。昔の人の素養とはいえ、この時代のリーダーはこんなにも立派な字を書いていたのか…

仇討ちを控え身を捨てる覚悟をした内蔵助と、その内に秘めた思いを汲み取り、秘かに支援した京都の人達の心意気も偲ばれれて、胸が熱くなりました。

ちょっと主旨がそれましたが、舞妓さん芸妓さんおもてなしは、同じ日本人でありながら、艶やかな異次元の世界に迷い込んだようで、女性の私でさえそう思うのだから、世の男性は古今東西を問わず、祇園ではきっと至福のひとときを味わうのでしょうね。
一力亭」正面、のれんをくぐって入ると男衆(おとこし)さんが待っていて、取り次いでくれる。 私が一番乗りでした。通された座敷、お茶を戴きながら只今末席で待っております…(^^)
末席ながら、ここで舞妓さんたちの舞が舞われるので観覧するには実は一等席かも。 一力亭のマッチには、住所も電話番号も書いていない。それ程有名だという証らしい。
今宵の舞の演目は、まずは季節を選んだ「もみじ売り」。トテチリシャン〜トテチリシャン♪ 二番手は、「東山名所」。この祇園の踊りは全て井上流。踊り手は「立ち方」と呼ばれます。
で、楽器を担当するのは「地方(じかた)。小萬さん(右)は3歳からこの世界に居るとか。 なじみ深い「祇園小唄」。だぁらぁりぃの帯よ〜♪やっぱり舞妓さんは華やかでした。
もたけなわになり、最初は緊張していた私達もすっかり芸妓さんとうち解けて〜(^^) 舞妓さん、なんて色白〜顔、小っちゃ!ほんとに京人形のようでした。この舞妓さんは17歳。
お酒も回ってみんな上機嫌。ここで舞妓さんとゲームです。単純な遊びなのにほんとに面白い。 三味線と歌と合いの手と〜。全員参加で興じる楽しさは時間の経つのも忘れます。
次の遊びは、男女対抗戦で「虎虎虎」というゲーム〜何故か張り切る私なのでした…(^o^) 屏風をはさんで「」「おばあさん」「槍を持った武士(加藤清正)」の格好をします。
左の男性が「」、女性が「槍を持った清正」、槍で突かれるので「虎」(男性)が負け そうそう、これが今夜戴いた千社札、舞妓さんや芸妓さんの名刺です。
これが女将さんが見せて下さった大石内蔵助の礼状(上)、下は専門家の解読。 ネットで様々に言われているが内蔵助が来たことだけは事実だと女将さん笑っておられました。

残念なのはお料理の写真が撮れなかったこと。季節に合わせて、カニから始まりお造り焼きもの煮物香の物など京のお料理が並びました。気が付くとお料理はお腹の中へ〜(笑)

料理はこのお茶屋さんで作っているのではなく、祇園の老舗の「仕出し屋」さんが作り、お客の間合いを計って自転車で届けてくれるもの。それを舞妓さんが座敷へ運んでくれる、やはり独特の文化でした。