フタリシズカ(二人静)

科名  センリョウ科チャラン属
花期  5〜6月
花色  白
花径  0.3cm・・・花弁はない
花穂  2〜5cm  1〜5本
草丈  30〜60cm
★野草ですが、名前の優雅さに惹かれて、園芸店で購入しました。
丈夫な植物で、毎年、よく花が咲きます。
確か、和菓子の名前にもなっています。
フタリシズカ(家の庭にて)

名前の由来

「二人静」による。
「和漢三才図会」によれば、2本の同じ姿の花穂を二人で舞う姿に重ね合わせたものという。実際の花穂の数は1〜5本あり、決まった数ではないが、2本のものが多いようだ。



能「二人静」
のあらまし

吉野・勝手明神では、毎年正月7日の神事に、菜を摘んで神前にそなえる風習があった。
この年も、神職は、女達を菜摘みにやった。
女たちが菜を摘んでいると、一人の女が出てきて、
「吉野に帰るなら、ことづけがあります。私の罪を哀れんで、一日経を書いて弔って下さい。」と頼んだ。
菜摘女が「あなたのお名前は?」と尋ねたが、その女は何も答えないで、消えた。

そんな不思議な体験をした菜摘女が、そのことを神職に報告しているうちに、顔つきや言葉つきも変わってきた。
そこで、神職が「いかなる人が憑いているのか名乗りなさい。」と言うと、「静」と名乗った。
そこで、静御前の霊が菜摘女に憑いたことがわかったので、「ねんごろに弔うから舞いを見せて欲しい。」と女に頼んだ。
すると、女は、静が以前に勝手明神に収めた舞いの衣装を宝蔵から取り出した。
女がその衣裳をつけて、舞いを舞い始めると、いつの間にか静の霊も現われて、一人の女が二人になって舞を舞った。



「和漢三才図会(わかんさんさいずえ)」
大坂の医師、寺島良安によって編まれた図説百科事典で、1712年(正徳2)ころに完成。17世紀初頭の中国の『三才図会』をモデルとして、天部、人倫類、地部など105巻からなる。

ヒトリシズカ(一人静)

科名  センリョウ科チャラン属
別名  ヨシノシズカ(吉野静)
花期  4〜5月
花色  白く見えるのは、雄しべの花糸
花穂  2〜3cm  1本
草丈  10〜25cm

★「フタリシズカ」と比べてみてください。
ヒトリシズカ(向島百花園にて)

名前の由来・・・1本の花穂を「静御前」の舞姿にたとえたものという。