アサヒ「WANDA・BLACK&BLACK」
内容量:190g
価格:120円
種別:コーヒー
販売:アサヒ飲料株式会社
試飲:2001年2月
HOTにて試飲

(デジカメ故障につき画像はありません)


「といれニ、せぼんシナクテ、ドウシマスカァ」
昔々、前世紀の後半にテレビで放送されていたコマーシャルで、そういうフレーズが使われていた。
実際のところ、皆さんの御家庭では、芳香剤・消臭剤の類は使っておられるだろうか。
あの消臭剤というもの、一説には、何もニオイを消しているわけではなくて、他の物質でニオイのもとになっている物質を包む(あくまでイメージだ)などして、人の鼻がニオイと感じないような形に代えているだけだという話がある。
何も悪いといっているわけではない。
もともと、ニオイが無くなるというのは、ニオイを構成していた物質、あるいはそれ以下のレベルの構成因子が消失してしまうことではありえない。通常は、分解されるか、あるいは希釈されるかのかたちで、我々が感じなくなるだけで、何かしらモトは残っているものなのである。
であれば、消臭剤が同じようなことで「消臭」していたところで、どこに不都合があるというのか。
先哲の言葉に従えば、「無い」ということは、なにも「無いという状態が在る」わけではなく、単に「在る」の否定に過ぎないのだ。

さて、と。
読者の心を鷲掴みにする、心憎いほどのツカミをかましたところで、「WANDA・Black&Black(以下B&Bと表記)」の話に行こう。
B&Bを標榜するわりに、缶のデザインは中央から上が黒、下が銀に塗りわけられている。これぢゃあ、Black&Silverじゃん、というツッコミを入れたい気持ちをぐっと抑えて缶を見てみると、SilverFoxなる種類のコーヒー豆が使われているとのことである。それで銀色。更にロゴ下にはきつねサンまで配してある心配りがなされている。
寡聞にしてその豆のことは知らないのだが、B&Bの缶に書いてあるところを読む限りでは、「深い味わいと豊かなコクが特徴」とされている。
缶を開けると、看板に偽りなし、なかなかにコクのある香りが立ち上ってくる。良い感じだ。
飲んだ印象は、まずはスムーズネス。純水ドリップとやらの効果だろうか。
更に、スムーズとはいえ、単にそれだけではなく、ちゃんとコクのあるコーヒー感が広がる。バシッと苦味が効いているタイプではないが、厚みのあるコクがあり、一昔前の「出涸らし」と評されていたブラック缶コーヒーとは、正に隔世の違いがある。
とはいえ、最近では、例えば先回の「EMBLEM」のように、かなり飲ませてくれるブラック缶コーヒーが出てきているのも事実で、その点ではこのB&Bが格別出色の出来というわけでもない。寧ろ、コクや厚みで言うならば「EMBLEM」の方が上を行っている(と思う。直接飲み比べたわけではないので、なんだが)。
ただ、それはB&Bが劣っているというわけではなく、両者のキャラクターの違いと見るべきだろう。B&Bはバランスを重視した感じで、「EMBLEM」ほど重くはない。
実際、ざっとまわりを見渡してみても、そのキャラクターを反映してか、B&Bには女性の購買者も多いように思える。
ところで、このB&Bで一番のポイントは、雑味をどう感じるかである。
たしかに、B&Bを飲んでみても、所謂雑味は感じない。感じない、というか、何かそれっぽいモノはあるような気はする。が、何か巧みにオブラートで包まれていて、直接表には出てこないようにされている感がある。そう、ちょうど消臭剤や芳香剤が「他の物質でニオイのもとになっている物質を包むなどして、人の鼻がニオイと感じないような形に代えている」ように。
これはB&Bに使われているSilverFoxの特徴なのだろうか。あるいは純水ドリップの作用か。普通に考えれば、香料か酸化防止剤の働きだろう。ちなみにB&Bの原材料は、コーヒー、香料、酸化防止剤、となっている。
この不可思議な雑味の無さをどう評価するかが、即ちB&Bの評価と言っても良いだろう。
しかし、先にも書いたように、周りにもB&Bを飲んでいる人は、結構いることでもある。とすれば、何も飲んでいて違和感を覚えるわけでもないので、素直に雑味が無いと評価すれば良いのだろうか。

結論:
飲め。そして考えろ。


愛の缶珈琲遍歴トップに戻る