ネスレ「C.E.O」

品名:コーヒー
内容量:190g
発売元:大塚ベバレジ株式会社
販売元:ネスレ日本株式会社
試飲日:10月31日
気温:?度
天候:曇り

試飲状況:HOT


今年は残暑が例年よりも遅くまで続いているそうだが、さすがにこの時期にくるとかなり涼しい。10月半ばの2週間ほどの間に、一気に秋めいてきた感がある。というか、時間帯によっては既に「寒い」のレベルに達している。
そのせいか、ちょっと前迄はうじゃうじゃといたノースリーブのニットにアームウォーマー(って言うんでしたっけ?)の娘さん方の姿を全くといって良いほど見なくなった。
いや、全くというのはさすがに誇張で、事実、この間も一人目撃した。
そのピンクパープルのノースリーブ・タートルネックに同色のアームウォーマーの女性は、「寒い〜」とか言いながら、両手で体を抱くようにしていた。
日が暮れて既に小一時間。しかもミニスカート。そんなカッコでは寒そうだって事ぐらい分かりそうなもんだ。
こういう話を、やはり冬でも胸元を大きく開け、おヘソを見せて、太股辺りまで露出した服を好んで着ているような知人に聞いたらば、彼女は一言。
「まあ、女の意地ってトコね」

・・・という話ではなくて。
寒くなってきたので、今回はホットで飲んで評価をすることとなった、という話を書こうとしたのが、冒頭の「秋めいてきた云々」の意図であったのだが。
まあいい。本題に入る
今回はネスレ「C.E.O」である。既に「サンタマルタ」を取り上げているので、ネスカフェブランドは2回目ということになる。とはいえ、不偏不党を旨とする文章でもないので、気にすることもないだろうが。
で、この「C.E.O」、名前だけ聞くと、「おう、そりゃああれだろ。最高経営責任者(Chief Executive Officer)の略だろ。こちとら経済面ぐらい目ぇ通してるってんでぃ、べらぼうめぇ。ってえとナニかい、サンタマルタはカチョーサンで、R&Bはブチョーサンかい」かとも思えるが、そうではない。どうも缶に書いてあることからすると、「Coffee from Excellent Origin」の略のようだ。
名前はともかく、「C.E.O」はエクセレントなことに150円である。ということで、おそらく、万人向けの味付けというよりは、コーヒー好きの人に向けての味付けが為されているものと思われる。
それが証拠に、缶の原材料欄の表示では、コーヒーが砂糖より先に来ている。これは、同社の「サンタマルタ」や「R&B」と比べた場合の「C.E.O」の大きな特徴といって良いだろう。附言しておくと、「サンタマルタ」や「R&B」は砂糖、コーヒー、脱脂粉乳、全粉乳・・・の順となっている。
飲んだ感じは、「サンタマルタ」と比べれば、酸味の軽やかさはない。同じく同社の製品で言えば、「R&B」のすごいやつ、といったところだろうか。缶に「コーヒーとミルクの豊潤かつまろやかな絶妙のハーモニー」と書かれているように、ミルク分の甘さはしっかりあるが、後から苦味もバシッと効いてくる。ミルクの甘みがあるとはいえ、割と厚みのある苦味なので、やはりスキモノ向けであろう。伊達に30円高いわけではない、ということか。
しかし、「コーヒーとミルクの」とコピーしているわりには、脱脂粉乳や全粉乳が使われているのはいただけない。もちろん、そうした粒状クリームが舌にざらつく、というわけではないのだが、ネスレブランドのものはなぜか、飲んでいて「これ、脱脂粉乳使ってます?」という感じがあるのだ。とはいえ、同様に脱脂粉乳を使った他社製品では、必ずしもそう感じるわけではないので、原因は全く別かもしれないが、イメージ面のマイナスは否めないのではないだろうか。
もっとも、やはり脱脂粉乳や香料を使っているKIRIN「FIRE」は販売が好調だそうなので、世人はそんなことには関心が無いのかもしれないが。
最後に、缶のデザインに関して。
縦方向の金色のストライプを基調としたデザインは、高級感に溢れるもので、同社のインスタントコーヒー「ゴールドブレンド」と通じるイメージを感じさせる。
日経の調査では、「インスタントコーヒー」と言われてイメージするブランドとしては、ネスカフェが実に87.4%を占めてトップだという(日経流通新聞10月26日)から、この辺りのブランドイメージ戦略もあるのかもしれない。同調査によれば、缶コーヒーを購入する際に重視する点を複数回答で答えてもらったところ、銘柄やメーカーブランドをあげた人がそれぞれ50%以上のようなので、多分、この戦略は有効なのだろう。
であれば、である。「C.E.O」がゴールドブレンドならば、これは同社のラインナップのフラッグシップではない、と思われる虞もあるのではないだろうか。つまるところ、「これって、やっぱプレジデントより格下なんでしょ?」ということだ。
わざわざ一本150円の「C.E.O」を買ってもらう上で、スーパーの特価日で100g(一杯入れるのに2gとして、実に50杯分)入り398円(うちのおかん談)のゴールドブレンドと同じ、と思われるのはいかがなものなのだろうか。疑問ではある。まあ、実際のところは、120円のものよりはちょっと高級、と思ってはもらえるだろうから、実害があるわけではないのだろうが。
とはいえ、インスタントコーヒーのイメージを喚起したとたんに「バッカじゃないの。インスタントだなんて、コーヒーと大地への冒涜だわ。恥ずかしくないの。ってゆうか、それって私への侮辱だわ」などとなじりはじめる御仁も世の中にはいらっしゃるのである。
あぁ、でも、そんな人は缶コーヒーを買ったりはしないかなぁ。