KIRIN「FIRE・深炒りレギュラー」

品名:コーヒー
内容量:190g
価格:120円
製造者:キリンビバレッジ株式会社

試飲状態:cold



コーヒーは、火でもっとうまくなる、というコピーでもって、キリンが大プッシュ中の「FIRE」シリーズから、今回は、シリーズ中最も一般的なポジションを与えられていると思われる「深炒りレギュラー」をチョイスしてみた。
待てよ、「チョイス」なんて言葉は最近じゃ使わないのか。まあいいや。

なかなか大胆なデザインの「FIRE」の缶。炎の模様は、立体に見えるデザイン、ではなくて、実際に立体になっている。内側が同様にへこんでいるわけではないので、押し出しではないのだろう。彫り込みかなぁ、なんて思っていたら、ちゃんとキリンビバレッジさんのホームページには「エンボス加工」と書いてあった。
いくらかコスト高にはなるのだろうが、この辺の細工も、シリーズを通しての高級感・上質感の演出に一役買っている。そういえば、この「FIRE」シリーズにはロング缶が無い(北海道限定で「ミルクリッチ」的なものがあるようだが)。目指すところは、明白だ。
ただ、別に致命的な欠陥ではないにしろ、この質感については一言触れておきたい点がある。
前述のホームページでは「斬新なシルバーデザイン」と表現されているのだが、こうした金属調の光沢というのは、最近では比較的ありふれたもののように思える。
革新的なものや斬新なコンセプトが高級を演出する一つの大きな要素であるのは論をまたないだろうが、かといって、斬新でなければ高級ではないという事にはならない。
「FIRE」のデザインは、これ自体高級感を感じさせるに十分なものなのだから、直接的に「斬新な」などとアピールする必要はないのではないか。そうした言わずもがなのアピールは寧ろ、イエロージャーナリズム的な、卑俗な印象を与えてしまうと思うのだが。

例によって、傍論が長くなってしまった。では、本論。
「深炒りレギュラー」というだけあって、香りは、ロースト香の強い、ヘヴィーなものだ。多分、普通なら一本入れただけでは満足できないようなかなりのスキモノな方でも、十分に感じまくれるぐらいのコーヒー感だろう。
味の方も同様。ただ、ヘヴィーではあるものの、若干厚みに欠けるきらいがある。もっとも、ボリューム感は熱によるところも大きい(らしい)ので、アイスで飲んでいるせいなのかもしれない。
傾向としては、ご想像の通り、「酸味の効いた軽やかな味」ではなく、「しっかりした苦みとコーヒー感」というタイプ。同シリーズの「深炒りビター」ほどイっているわけではないので、そのつもりで飲めば、きっと多くの人が満足できるのではないか。一方、そのつもりになれない人や、元々あまりコーヒーを飲まない人には向かない。まあ、きっとそういう人はロング缶を買うのだろうけど。
附言しておくと、ホームページで「宣言」しているほど「コーヒー」ではない。つまり、缶コーヒーである。過剰な期待はしない事。
もう一つ残念なのは、香料など、いわゆる「マゼモノ」が使ってある事。
味としてはちゃんとコーヒーであり、これはこれで美味しいといえるものなのだから、マゼモノ自体はさして問題とするところではない。ただ、先にも書いたように、明確なコンセプトを持っている商品だけに、こうしたマゼモノを使うのは、そのコンセプトに反する、ひいてはターゲットとする購買層への訴求力を低下させてしまうのではないだろうか。

・・・・それとも、缶コーヒーを買う人って、余り原材料表示を気にしないのかな。品名欄(「コーヒー」とか「コーヒー飲料」とか)はチェックするんだろうけど。