BOSS「モカ&ブラジル」

品名:コーヒー
価格:120円
内容量:190g
販売者:サントリーフーズ株式会社

試飲日:2002年9月10日
試飲状況:cold


世のビジネスマン向け(と思われる)雑誌というもの、例えば「週間金剛石」とか、まあその辺だな。で、そういった誌紙、「社長」なんかに至っては、一歩間違えればトンデモ本といった感さえするし、どうにも私にはビジネスに有用な情報が載っているとは思えない。といったような話をしていたところ、それは単に、私がビジネスマン的思考ないし指向を有していないだけの事ではないか、という指摘をいただいた。至極もっともな、昨今流行の言葉で言えば、虚心坦懐に受け止めなければならないような意見である。
「では実際、ビジネスマンにとってはどのような情報が有用なのだろう」と私。
氏、答えて曰く。「そりゃあ、例えば、ゴルフの練習の記事とか」

そんなわけで、何も私は経済方面の誌紙を愛読しているわけではないのだが、そういったところの筆によれば、サントリーというのはマーケティングの巧さに定評があるという話である。
今回ラインナップの一新を受けたBOSSシリーズにも、おそらくそんなマーケティングの妙があるに違いない。であれば、私がとやかく言うまでもないような気もするが、やったところで誰が困るでもあるまい。まぁ、ものは試し、である。
さて、今回のターゲットは、新たにラインナップに加わった「BOSS・モカ&ブラジル(以下「モカ・ブラジル」と記す)」である。この手のものだと、例えばジョージアやRootsにあるような「モカ・キリマンジャロ」というのが普通なのだろうが、BOSSでは「モカ・ブラジル」のブレンドとなっている。こういったあたりで、どんなテイストになっているのか興味を示す向きもあるかと思う。しかし実際のところ、日本で言われているところの「モカブレンド」というヤツは、モカをベースにブラジル(場合によっては、さらにコロンビア等)を加えてブレンドされたものなので、詰まるところ、「モカ・ブラジル」というのは、「モカ」ではなく「モカブレンド」。そういうことである。
アイスで飲んでいるせいもあって、缶を開けても、立ち上ってくる香りがどう、ということはない。が、一口飲んでみると、口中にモカ独特のフレッシュな酸味と爽やかな香りが広がる。底支えしている苦味成分を感じないわけではないものの、印象はあくまで柔らか、軽やかな感じである。こういった点からも、「モカブレンド」的指向が感じられるのだが、何ゆえ敢えて「モカ・ブラジル」と謳っているのかは謎である。多分、これがマーケティングの妙というものなのだろう。
謎ついでに書いておくと、画像では暗くつぶれ気味なのでわかりにくいかもしれないが、缶のベースカラーはメタリック系の緑色である。常識的には、というかこれまでの各社の缶コーヒーおよびインスタントコーヒー、あるいはレギュラーコーヒー(コーヒー豆)のパッケージなどからすれば、モカのイメージと言うのは赤色であって、どちらかと言えばキリマンジャロに緑もしくは青と言った色が充てられる事が多くなっている。まぁ、「モカ・ブラジル」のブラジルの方が緑っぽいイメージにはなるのかもしれないが、このカラーリングも、謎と言えば謎である。
味の話に戻る。SEVEN以降のBOSSシリーズの伝統であるキレの良さは健在で、後味はスッキリしている。尤も、モカが好きな人の中には、特有のスパイシーともいえる余韻を楽しみたいという人もいるだろうから、この点は良し悪しであるかもしれない。ただ、何せ缶コーヒーであるから、じっくりと味わい深い余韻を楽しむ、という期待をされているわけでもないだろう。概ね妥当なしつけといえる。
付言すれば、これまたBOSSの伝統である「ミルクたっぷり・砂糖たっぷり」なテイストも健在である。飲み終えてから気が付いたのだが、缶にはデカデカと「微糖」などとかかれている。思わず「これで微糖かぁ?」と原材料を確認してしまったのだが、何の事はない。砂糖を抑えて、その分甘味料を加えて甘さを増しているようだ。トータルでは、甘味は不変、と。因みに、原材料は「牛乳、コーヒー、砂糖、脱脂粉乳、乳化剤、香料、甘味料」となっている。
いまいち理解に苦しむところだが、確かにこれなら人口甘味料特有のクセを感じさせることもない。甘味を抑える狙いではなく、カロリーを抑えるのが主眼か。「働く男の相棒コーヒー」というのが今度のBOSSのコンセプトらしいが、なるほど、働く男にとってもカロリーの取りすぎは良くない事ではある。だったらもっとミルク成分も控えてもいいのでは?と思うのだが、甘味を抑えるのは禁忌に属することらしい。よっぽどサントリーで「働く男」は甘党が多いと見える。かつウェイトコントロールに熱心で、そのくせカロリーコントロールができないヤツが、と言ったら言い過ぎか。自動車に乗ってジムに通って、ランニングマシンでエクササイズした後、ビッグ・マックとポテトとコーラを買い食いしながらまたまたクルマで家路につくような手合がターゲットか。グローバル・スタンダードと言うやつだな。まぁ、この辺もマーケティングから導き出した結論なのだろう。きっとサントリーは、株式市場のグローバルスタンダード、一般の投資家向けに粉飾しまくった決済をして株価を吊り上げて遊べないのが悔しいに違いない。


結論:
当たり前だが、「缶コーヒーのモカのヤツ」ではなく「BOSSシリーズのモカブレンド」。缶の色使いや、「微糖」の文字に騙されてはいけない。
逆にいえば、BOSSシリーズのテイストが好きなら、意外とお勧め。


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