ネスレ「ネスカフェ N・BOLD」
品名:コーヒー
価格:120円
内容量:190g
販売:ネスレ日本株式会社
試飲:2001年8月
ICEにて試飲

(デジカメ故障につき画像はありません)


ネスカフェから新しい缶コーヒー「N」シリーズが発売になった。
上で’「N」シリーズが’と書いたが、ネスレのサイトでみると、「ネスカフェ N・ボールド」などと書いてあるわけではなく、単に「ネスカフェ ボールド」等の表記になっている。が、階層をひとつ上げれば’「N」シリーズが’という書き方もあるにはある。実物の缶を見ても、前面の「N」のロゴ以外には「N」というシリーズ名を示すものはない。その「N」とて、ネスレのNである可能性もあるわけで、結局のところ、「N」シリーズという表現が正しいのかどうかは、よくわからない。
ついでに言えば、この「N」シリーズ、コンビニでも自動販売機でも、サンタマルタ等のサンタシリーズといっしょに並んでいる。両ライン並行してやっていくのだろうか。これもよくわからない。
さらに言えば、今回飲んだ「N・ボールド(とりあえずこう表記しておく。なお、以下、単にボールドとする)」は、指向もよくわからない。
ボールド。ここではおそらく「力強い」とかいう意味なのだろう。同シリーズの「ファイン」の缶が銀色なのに比べて、この「ボールド」はブラウン形の色となっている。察するに、ボールドという名前と相まって、力強い、バシッとしたコーヒー感と、しっかりとしたコクを持った、スキモノ使用と予想される。
が、飲んでみると、確かにコクは感じられるものの、コーヒー感のそれではなく、ミルク成分由来のコクである。
一刻の間を置き、やおら、「なんじゃこりゃあああ」。
故・松田優作氏であればそう叫んだかもしれないが、それは早計というものである。
なんとなれば、このテイストは、ネスレの望んだもののようだからである。「ファイン」の原材料が「コーヒー、牛乳(以下略)」であるのに対し、この「ボールド」では「牛乳、コーヒー(同)」の順になっていることからも、この「ボールド」ではネスレがコーヒーのコクではなく、牛乳のコクを狙っているということがわかる。言われてみれば、前述した缶の色も、コーヒー本来の茶色、黄褐色から黒に近いブラウンではなく、ミルクたっぷりの乳白色がかったブラウンのようにも思える。
狙いならば文句をいうこともないのだが、同シリーズには、他にカフェオレ(「ネスカフェ オ・レ」というやつ)が存在する。ではこの「ボールド」がシリーズの中心であって、「ファイン」の方がヘビーユーザー向けなのかというと、どうもそんな感じでもない。つまるところ、よくわからない。
この「N」シリーズの傾向は、従来のネスレの傾向と同一で、ヘビーテイストというよりは、軽やかさを感じさせる酸味と香りとがあり、全体としてマイルドな感じの、万人向けのものとなっている。概ね、サンタマルタのそれを思い浮かべてもらえば間違いはない。もっとも、サンタマルタと違いはないのかといえばそうではなく、昨今流行の「脱酸素」系の技術を採用することで、すっきりとした仕上がりになっている。したがって、イメージとしては「脱酸素で作り直したサンタマルタ」というイメージで良いだろう。
ただ、そのすっきり感にしろ、サンタマルタと比べれば違いは明白であるものの、「昨今流行の」手法によるもので、現在の缶コーヒー市場の中で、一頭地抜きんでるものでもない。要は、そのテイストとあわせ、万人向けの、極めて平均的なものだという結論になろう。
平均的というのは、何も「他のアレと比べて劣る」とか「美味しくない」いう話ではなく、単に目指すところの違いなので、別にそれ自体は問題ではない。
とはいえ、サンタマルタで「本当に美味しい缶コーヒーは、探してでも買うべきだ」とか何とかコピーを打っていたメーカーの商品としては(もっとも、サンタマルタも万人指向ではあったのだけれど)、それはどんな層に向けられたメッセージであったのか、よくわからない、と言わざるを得ない。

ところで、だ。この「N」シリーズは、既述のごとく、少なくとも今のところはサンタマルタと並行して売られている。謎だ。テイストが同じならばどちらか一ラインでいいようにも思えるのだが。確かに、先に脱酸素系の技術を投入したポッカにしろコカコーラにしろ、従前の手法によるものも平行して売っている。ひょっとすると、缶コーヒーを買う人の中では、脱酸素系のテイストはあまり好評ではないのかもしれない。これも、特にデータを持っているわけでもない私には、よくわからないことである。


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