ジョージア「ロイヤルマンデリンブレンド」

品名:コーヒー
価格:120円
内容量:180g
販売者:コカ・コーラ ナショナルセールス株式会社

試飲日:2002年11月19日
試飲状況:HOT


調理済み惣菜やサラダのドレッシングの売り場で、ラベルの色を見るだけで「ダイエット版」が見つかるでしょうか。もちろんできます。しかし、新しいパッケージに変えたときに、それがわかるようにしていないメーカーがあるのは困ったことです。「新パッケージ」という目印でも入れてくれると良いのですが。高脂肪食品をうっかり買ってしまったことに、家に帰ってから気付きたいと思う人はいないでしょう。騙されたと思うでしょうし、ちょっと太ってしまうかもしれません。店としても、消費者をがっかりさせたくはないでしょう。
(ミミ・クーパー、アーリーン・マシューズ著。宮崎伸治訳。「なぜこの色が売れるのか」。ジャパンタイムズ)

紅茶花伝(ロイヤルミルクティー)がマイナーチェンジしたのかな。 一見してそう思った。容量が小さくなっているようだが、まあ、ロイヤルを標榜する以上、ショート缶サイズでも問題はあるまい。などと考えていたら、どうも様子がおかしい。よくよく見れば、ジョージアのロゴマークが付いている。「ジョージア」ブランドは紅茶とコーヒーの統一ブランドになったのか。
しかし、品名表示には、「コーヒー」と記されていたのであった。それが、今回取り上げる「ジョージア・ロイヤルマンデリンブレンド(以下ロイヤルマンデリン)」である。
ジョージアブランドで「マンデリン」といえば、何年か前にあった「エミナージュ・ビター」という、スキモノ仕様のものを思い出す向きも居られるかと思うが、それとは別物である。確かに、この「ロイヤルマンデリン」も180gと、通常のショート缶(190g)と比べてもさらに小さいのだが、アレは確かマンデリンで、こちらはマンデリン”ブレンド”である。したがって、あれほどマンデリンの個性が明確に前面に出されているわけではない。
具体的には、独特の香り、酸味でマンデリンの主張をしつつも、基本的にはバランス指向の躾がなされており、砂糖やミルク分も多量に使われている(因みに原材料表示は「牛乳、砂糖、コーヒー、(以下略)」の順になっている)せいもあり、飲み口はマンデリンというイメージほど苦味が強調されているわけではない。もちろん苦味も利いているのだが、バシッと利く、というよりは、厚み、コクを下支えしている印象である。
その厚み、コクに関して言えば、ふんだんに使われている牛乳、砂糖、それにもちろんマンデリンの深みのある味わい、さらには熱に由来するボリューム感などから、ビロードの絨毯を敷いたような、優雅な厚みのある印象を確かに感じられる。
これはホットで飲んだときに顕著なもので、ロイヤルの名に恥じない豊かな味わいといっていい。尤も、アイスで飲んだときには、そうした要素が巧く纏りきれずに、マンデリンの個性をスポイルするだけに終わっていたような感があったので、「エミナージュ・ビター」のときにも触れたが、やはりこれはホット用と思っておいたほうが良い。アイスで飲むなら他のものをお勧めする。

纏めれば、この「ロイヤルマンデリン」は、良く言えば「マンデリンの特徴を残しながら、飲みやすく仕上げられている。また、厚みのある豊かな味わいは、ロイヤルの名に相応しいものである」と表せよう。
しかし一方で、このテイストは「ロイヤル」というイメージではないように思える。確かに薄っぺらな印象ではないとは言え、少なくとも、缶のデザインにあるような、白(トヨタ車のような言い方をすれば「ロイヤルホワイト」)をベースにして青(それらしい表現をすれば「ロイヤルブルー」)でトリミング、というカラー、デザインで表されるものではないだろう。
カラーデザインとそれに表象される味との関係、などという調査もその筋ではなされているが、やはりマンデリンのテイストには、「エミナージュ・ビター」のような重厚な色使いが相応しいと思われる。
デザインそのものは同社の「紅茶花伝・ロイヤルミルクティー」に長く採用されているものと同種のイメージであり、それ自体は良いデザインだとは思う。ただ、であればなおさら、それとは明らかに違う志向の「ロイヤルマンデリン」に、イメージ的に混同されるようなデザインを与えるのはどうだろうか。
よもや、コーヒーが飲めない宿命を背負っているLisp-erやお嬢様(どちらの話にしろ与太の類なので、あまり気にしないように)が紅茶花伝と間違えて飲んでしまい、「ギニャー!J.マッカーシー教授に申し訳がたたねえダー。オラ、もう人工知能の研究は出来ねえダヨー」とか「ああ、こんなものを口にしているだなんて。お父様お母様、私のこんな姿、見ないで下さいっ」とか言って、絶望のあまりにリストカットに至る事はないだろうが、それでも消費者が新しい製品を買うときというのは、パッケージのイメージから判断をして買うことは存外多いものなのである。
マンデリンというキャラクターを理解している人は別段(いや、そういう連中には、もっとイッちゃってる方が良いのだろう)、そうでない人がなんとなく手にした場合、おそらくこの「ロイヤルマンデリン」は満足を与えるものにはならないのではないか。それは何も、この「ロイヤルマンデリン」が不味いといっているわけではなく、求められるものが違う、ということなのである。

結論:
困ったことです。

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