ネスレ「ネスカフェ・WakeUp」
内容量:155g
価格:120円
種別:コーヒー
販売:ネスレ日本株式会社
発売元:大塚ベバレジ株式会社
試飲:2001年3月
ICEにて試飲

(デジカメ故障につき画像はありません)


「いまどき、味で勝負します」。ネスカフェのCMコピーである。
何より味が第一だ、と断言するほどには、年相応には私もナイーブではないつもりなのだが、そうはいっても飲み物なのだから、やはり味というのも大きなファクターであるのは当然の話ではある。
そこで、「いまどき、味で勝負します」というのは、一消費者として有り難い事であるし、また企業思想としても決して間違った話ではない。
ところで、宮崎哲弥氏の言に依れば、そもそも、アプリオーリに正しい、絶対に善である思想などというものが存在しない以上、自らの思想の「正さ」を担保するものは、そこから導き出されるものとしての首尾一貫性、つまり、如何にその思想に対して誠実さを持てるか、という点でしかない、という話である。
そうであれば、「いまどき、味で勝負します」といっている以上は、味を追求してもらわなければならないのは勿論のことである。
しかしそれは、だからといって、それ以外のことは蔑ろにしても構わない、という話ではないだろう。
手元にネスカフェの缶コーヒーの缶があれば、ぐるりと回してみていただきたい。そして注意書きを読んでいただきたい。
そこにはこう書いてあるはずである。
「よく振って開缶後は、すぐお飲み下さい」
本質論ではないところで話をするのも恐縮だが、やはり「よく振ってお飲み下さい」と「開缶後はすぐお飲み下さい」は分けるべきではないかと思う。せめて「よく振って」の後に読点を打つくらいはしてほしかった。
誰も「じゃあ、振らずに開ければ、放置してもOKだね」などとは思いはしないだろうから、どうでもいい話ではあるのだが。
(こんなテキトーな文章を書いている人間の言えたことではないけれど)

例によって傍論が長くなった。以下本題。
お目目パッチリなデザインが印象的な「ネスカフェ・WakeUp(以下WakeUPと記す)」、カフェインが同社のサンタマルタ比で2倍になっているとのことである。
これは、使用するコーヒー豆の量を増やす、あるいはローストやドリップの方法を工夫することでコーヒー成分をしっかり抽出した結果である、と私は勝手に思い込んでいたのだが、実はカフェインを添加しているだけの話のようだ。何のことはない。
しかしそのおかげで、カフェイン2倍という言葉から連想されるようなイメージの、やたらと苦〜いコーヒーとなることは避けられている。さほどクセのある味ではないので、そう敬遠する必要はない。もっとも、比較的ボディのある感じではあるので、やはりコーヒーをあまり飲まない人にはお勧めは出来ないが。
味の傾向としては、砂糖とミルクを抑えた微糖タイプのコーヒーのフルボディな奴を想像していただければ、さして違和感を覚えないだろう。ベースとしては、おそらくコロンビア豆を使っている感じなので、例えば同社の(缶コーヒーではないが)ゴールドブレンドを濃い目にいれて、砂糖とミルクを控えめに加えれば、丁度こんな感じになる(と思う)。
ただし、喉を過ぎたあたりから、「やはりこれは普通ではないぞ」という感じがしてくることも確かなので、カフェインの刺激に弱い方は(そもそもこんなものは飲まないかもしれないが)用心していただきたい。
そういった印象であるので、このWakeUpは、味で勝負というよりは、むしろカフェイン2倍というサプリメントな部分に価値を見出せるか、というのがポイントになるだろう。
事実、ネスカフェのホームページ(ネスレの総合サイトだが)では、「ショート缶ユーザーの4分の1が、朝、すっきりと目を覚ましたいが為にコーヒーを飲む」というデータに基づいて開発したという由のことが書いてある。
ならばカフェイン2倍のコーヒーを出せば、そうしたユーザーの需要が期待できるか、というと、私は些か懐疑的である。
毎朝のようにコーヒーを飲んでいるような人は、程度の差こそあれコーヒー愛好家であり、朝起きたらコーヒーを入れる、ということまで含めて自分のリズムとして持っている人であると思われる。そういった人が、朝から缶コーヒーという「非文化的な」行為に満足できるか、というのが一点疑問である。
また、大体が、眠いときにはコーヒーの2杯や3杯飲んだところで、それはやはり眠いのである。たかだかカフェイン2倍のコーヒーを飲んだ程度で眠気が覚めるほどカフェインに敏感な人は、そもそもWakeUpのような尖がったコーヒーには手を出したりしないのである。多分。

結論:
味は(思ったよりは)普通。いまどきは、付加機能で勝負。


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