このページには、「択一大魔王」に収録されている判例データの一覧を掲載してあります。(現在のところ、労働法分のみです)
各判例の冒頭には、同旨の判断がなされた代表的な裁判名が記されています。ただし、各既述の細部は、必ずしも同裁判の事例に即したものではありません。また、直接に争点となったものでない場合もあります。予めご理解の上、参考程度にご利用ください。
労基法の強行的・直律的効力の効果は、労働契約のうち、労基法に違反する部分についてのみ効力を生じ、それ以外の部分には何らの影響を及ぼさない。例えば、「一日10時間労働、日給1万円」という契約に対しては、「一日10時間労働」という部分だけを変更し、「一日8時間労働、日給1万円」とする。
大日本印刷事件 :最判S54.7.20
採用内定は、一定の解約権は留保されているものの、労働契約そのものにあたる。したがって、採用内定通知の段階で、労働契約が成立する。
旭川大学事件 :札幌高判S56.7.16
期間の定めのある労働契約を締結する場合に、一年を超える期間を定めた場合は、一定の例外事由にあたる場合を除き、有効な労働契約の期間は一年に短縮される。
三晃社事件 :最判S52.8.9
懲戒解雇等の場合に退職金を減額または不支給とする定めを置くことは、労基法16条違反にあたらない。
大隈鉄工所事件 :名古屋地判S62.7.27
労基法16条で禁止されるのは「予定」であり、労働者の債務不履行等により現実に発生した損害について、使用者が賠償請求をすることは妨げられない。ただし、賠償額は、信義則や衡平の見地から、合理的な範囲に限定される。
大平製紙事件 :最判S37.5.18
発明は、たとえ使用者の設備・資金等の利用による「職務発明」であっても、特許を受ける権利は本来的に労働者個人に帰属し、企業・使用者への権利の移転に同意しない事を理由に労働者を解雇することは許されない。
レストラン・スイス事件 :名古屋地判S45.9.7
労務提供は、労働者の「義務」であり、就労請求権は、一般にはこれは認められない。ただし、技能の維持向上等、労務の提供に特別の利益がある場合は、この限りではない。
大日本紡績事件 :最判S30.11.22
使用者が、労働者の思想信条を理由に差別的取り扱いをすることは禁止されているが、信条に基づく具体的行動が企業秩序を乱す等の事情が生じた場合に、処罰をすることは禁止されてはいない。
日中旅行社事件 :大阪地判S44.12.26
事業が、その性質上、特定の思想信条と密接不可分な関係にある場合は、信条の相違を理由とした解雇等の取り扱いも許される余地がある。
栃木化成事件 :東京高判S34.12.23
業務計画や人事など、通常は使用者の経営権に属すると解される事項についても、それが労働者の労働条件に関係する限りでは、義務的団交事項に当たる。
清和電器事件 :最判H5.4.6
使用者が、書面の交換によることを主張して、労組からの申し出に対し、直接の交渉を拒むことは、違法な団交拒否に当たる
文英堂事件 :東京高判H4.2.6
使用者が、労組からの交渉の申し入れに対し、交渉または合意の前提として不合理な条件を提示し、それに固執する場合も、団体交渉における誠実義務に反する
香港上海銀行事件事件 :最判H1.9.7
労働協約によっても、既に確定している退職金債権を引き下げる協約など、個人の権利として具体化されている権利を放棄・制限するることや、個人の意思が尊重されるべき事項などを一方的に決めたりすることはできない
佐野安船渠事件 :大阪高裁S55.4.24
通常、労働契約に関する労使間の争いに関しては、個々の組合員がそれぞれ労働契約上の権利に基づき履行請求や確認請求をすればよいので、労働組合には主体性は認められないが、労働協約の規定部分に関する労使間の争いについては、それに有効性・必要性の認められる限りで、労働組合も訴訟の主体になりうる
弘南バス事件 :最判S43.12.24
相対的平和義務に違反する争議行為は、それによって生じた損害につき賠償責任を負うが、それ自体は懲戒事由とはならない
駿河銀行事件 :東京地裁H2.5.30
労働協約に期間の定めがある場合の期間満了時や、90日前に当事者が署名または記名捺印した文書で解約の予約をした場合には、解約の理由は特に必要とされないが、その解約が労働組合の壊滅・弱体化を専ら狙いとしたものであるときは、不当労働行為とされる
日産自動車事件 :東京地判H1.1.26
基本給や所定外賃金はもちろん、家族手当など、手当ての名目で支給されるものであっても、就業規則等において支給の条件が明確に規定されていて、使用者がこれを約している場合には、「賃金」に当たる