ソロ活動(その3)

Instant Replay

 

寝耳に水でびっくりしました、当時ワタクシ。
1976年のデビューアルバムから2年、その間Winter Family関連のアルバムへの参加や、Foghatや38 Specialのプロデューサーとしての活動は有ったものの、若干地味めになっちゃたかなあという印象もあったDanのシングルが、しかもダンスチャートのナンバー1になったってえ?
時代的にはディスコの時代ですよ。なんたって"Saturday Night Fever"が77年ですから。
んですぐにヒットチャートを調べたら(当時は輸入レコード店の店頭に張り出して有るのを見るのね)、お、ポップチャートも上がってきてるではないの。
しめしめ、と、当時ラジオ関東でやっていた全米トップ40にハガキを出しまして、最近なんだか別の方で有名になっちゃった湯川れい子サマに読んで頂いた、というのが良い想い出ですね。

もう一つ記憶に残っているのは、当時イギリスかなんかでやったディスコダンス世界選手権、みたいな催しで日本の方が優勝して、まあそういうディスコブームのご時勢ですからちょっとしたヒーローみたいになってよくテレビなんかに出てた。で、その選手権の決勝の課題曲がこの"Instant Replay"だった、って訳。
その方は、「課題曲がちょっとアレで踊りにくかった」てなことをおっしゃってたと思いますが...
実際イギリスではこの曲本国以上のヒットになった様で、30センチシングルというフォーマットではイギリスで最初に発売されたレコード、という記録を持っているようで、まあこんなところから課題曲となったんだと思いますが、ワタクシ、ディスコミュージックそのものには余り関心を持ったことがなく、当時他にどんな曲が「踊れる」曲として受け止められていたのか、さっぱり覚えてません。ただ、当時この「踊りにくい」発言を聞いて「そりゃそうだろなあ」と思った記憶も有り、いずれ少なくとも日本で人気のあったタイプとはだいぶ異なって居たのでしょう。

本来このアルバムに収録の作品は、Danがソングライターとして他の人に提供するサンプルとして作ったデモが元で、いい出来だからそのまま出そう、という経緯を経て発売された、とも聞いています。
Danの自宅に作られたスタジオ<School House>での録音で、プロデュース、エンジニアリングもDanが一人で担当。
収録曲は、

"Instant Replay"(Hartman)
"Countdown/This Is It"(Hartman)
"Double-O-Love"(Hartman)
"Chocolate Box"(Hartman)
"Love Is A Natural"(Hartman)
"Time And Space"(Hartman)

基本的にはノベルティ性の高いディスコサウンドを中心としておりますが、Time...はDan一流の、ドラマチックなバラードに仕上がっていて、ディスコ大嫌いな方にも一聴頂きたい作品。
メドレーでうたわれるCountdown/This Is It(This...のみを編集したバージョンもあって、これが本作から2枚目のシングルとして発売された)、This...のエンディング近くにCountdownのフレーズが現れ、それがまたThis...に戻る部分で、Danがワン・ノートで"Touch Me With Your Passion, Touch Me With Your Emotion..."と歌い上げる部分がワタクシ大好きで、今でも聴くたびに涙がこぼれそうになります(明るい曲なんだけどね)。

参加メンバーは、Danの他に

G.E.Smith (Guitar)
Vinnie Cusano (Guitar)
Hilly Michaels (Drums)
Blanche Napoleon (Vocal)

が基本メンバーで、Edgar Winterがサックスでゲスト参加しています。

G.E.は、その後Saturday Night Liveのハウスバンドのリーダーとして有名になりましたが、Hall & Oatsのバックで何回か来日しているし、ソロアルバムも数枚出している他、幅広いセッション活動を行っている名手。
ワタクシが所有しているG.E.のソロ、"In The World"は、ハードエッジなギターを全面に押し出した、パワーポップの好アルバムだとおもっちょります。

Vinnieは、Felix Cavaliereのバンド、Treasureのメンバーだった人で、このバンド唯一のアルバム"Treasure"では、一曲だけですが素晴らしい曲も書いている。
んで、このVinnieは実は、Vinnie Vincentと改名してKissのメンバーになっていたこともありまする。ワタクシはごく最近までこの二人が同一人物だということに気が付かなかったんで(だって外見があまりにも違いすぎるんだもの)、Kiss脱退後の彼のプロジェクトを聴いたことがない。
ひょっとかしてTreasureのタイプの音楽もやっていたら大喜びなんで、是非聴いて見たいと思うもののどうやらほとんど廃盤状態みたいなのが悲しい...

HillyはSparksに在籍していた人で、その後Roy Thomas Bakerのプロデュースで2枚のポップアルバムを出していますが、この2枚にはDanやRick Derringerも参加しています。

Blancheはこの後のBlue Sky時代のDanのアルバムには全て参加していて、そのクールな歌声はこの時期のDanの作品の重要なキャラクターになっております。

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