ドイツ VS パラグアイ

 注目度:★★☆
 ワールドカップ優勝経験国、いわゆるビッグ7のうち3ヶ国がグループリーグで消え去る中、前評判が高くなかったものの、無事決勝トーナメント進出を決めたドイツ。特に心配された得点力不足を、今大会でニューヒーローとしてブレイクしたクローゼがここまで5得点で得点王争いのトップを走ることで払拭している。怪我人だらけでどうなることかと思われた守備陣も、ここまでの失点はアイルランドに対する1点のみ。戦前では予想できなった抜群の安定感を誇っている。ただし、この試合ではセンターバックのラメロウと左サイドのツィーゲが警告累積で出場が出来ない。不安があるとすればそこだろう。しかしピンチになればなるほど力を発揮するのがドイツの伝統、ゲルマン魂だ。優勝候補と呼ばれた大国が躓く中、一躍ダークホースとして名乗りを挙げてきた。
 しかし精神力ではパラグアイも負けてはいない。絶望視されていた決勝トーナメント進出を土壇場での大逆転劇で達成した執念は特筆もの。チームの支柱であるチラベルトを中心とした堅守と、スロベニア戦で見せた土壇場での得点力は侮れない。とにかくワールドカップでは常に信じられないような強さを発揮するのがパラグアイ。過去の戦績や対戦成績は当てにならない。ただでさえ今大会は何が起こるかわからない。おまけにパラグアイには智将マルディーニ監督(イタリアのDF、パオロ・マルディーニの実父)までついている。スロベニア戦で見せた交代策は見事だった。とにかく手強い相手であることは間違いない。
 個人的にはドイツに勝って欲しいが、とにかく読めない。互いに守りが堅いが、一発も持っている。最小得点差で終わるのか、互いに点数を獲りあうのか、それすらわからない。熱い試合になりそうだ。キーになるのはおそらくセットプレー。勝負を決める分かれ目になるかも。
 というわけで予想は…うーん、3-2でドイツ。追いつ追われつ、延長ゴールデンゴール(Vゴール)。
 注目選手
 パラグアイ:FKを叩き込めチラベルト、クエバス、ガマラ、サンタクルス
 ドイツ:こうなりゃヘッドだけで得点王だクローゼ、リンケ、バラック、カーン

デンマーク VS イングランド

 注目度:★★★
 おそらくこの試合の勝者は次の試合(準々決勝)でブラジルと対決することになる。ここが最大の山場であり、勝った方が決勝まで行くと考えて差し支えないだろう。
 イングランドは「死のグループ」F組を、デンマークは王者フランスを破って勝ちあがってきた。互いに気持ちは乗っているだろう。ただ、試合内容はデンマークの方が上回っている。死に物狂いのフランスに運もあったとはいえ勝利したというのは大きい。トマソンを中心に、攻撃は申し分なし、守備も北欧のチームらしく安定している。対してイングランドはここまで2得点のみ。それもCKからの得点と、PKだけ。流れの中での得点は未だなし。オーウェンスコールズがいいところまでいくものの決定力不足は否めない。フランスやアルゼンチンを見るまでもなく、どれだけ攻めても点が入らなければ勝てないのがサッカーである。冷静に分析すればデンマーク有利か。
 イングランドは厳しいグループを勝ち抜いたという自信と、ベッカムオーウェンというスーパープレイヤーの爆発に期待するしかない。ワールドカップのような大会で上位に進むためには誰か一人でも活躍することが必須条件。デンマークにトマソンがいるように、この試合からでも誰かがラッキーボーイになる必要があるだろう。決勝トーナメントからは延長もある、PKもある。90分守り切ればいいということではない。とにかく得点。ここの能力ではイングランドの方が上、総力と勢いではデンマークが上。これまた読めない試合になるだろう。
 というわけで予想は、1-1でPK。今大会当たっているシーマンが活躍してイングランドか。
 注目選手
 デンマーク:とにかくトマソン、ヨーゲンセン、ヘルベグ
 イングランド:今度こそFKを頼むぜベッカム、ゴール決めろオーウェン、スコールズ

スウェーデン VS セネガル

 注目度:★★☆
 今大会でもっとも旋風を巻き起こしているセネガルと「死のグループ」を1位で通過してきた北欧の強豪スウェーデン。なんという目が離せない対戦か。
 それにしてもセネガルのサッカーは面白い。アフリカのチーム特有の身体能力に、見事に組織力が融合し、抜群のスピードで敵陣を疾駆し得点を重ねる。以前からカメルーンやナイジェリアのようなチームに組織力、そしてチームワークが加わったら恐ろしい、と言われていた。それをセネガルがやってのけた。アフリカの時代の到来が言われて久しいが、まさに彼らの姿は将来アフリカがサッカー会を席巻することを示しているようである。
 そして来ましたスウェーデン。「死のグループ」を無敗で突破。やはり守備が安定したチームというのは強い。しかも今年のスウェーデンにはラーションリュングベリという点が取れる選手までいる。アルゼンチン戦で見せたスヴェンソンのFKはベッカムもびっくりの一撃だ。これまでのスウェーデンは見ててもあまり面白くない、というイメージがあったが今回はその汚名を払拭するかのようである。
 ただ、基本的には攻めのセネガル、守りのスウェーデンという図式は変わらないだろう。セネガルがスピードを武器にスウェーデンを切り崩し、スウェーデンはそれを耐えてカウンターで一閃。そうした展開が多く見られることになるだろう。アルゼンチンの攻撃をも耐え切ったスウェーデンの守りが勝つか、フランスを撃破し、ウルグアイから3点をむしりとったセネガルの攻撃がスウェーデンを粉砕するか。見応え充分、しかし予想は困難。とにかく面白い試合になること請け合いである。
 このゲームに勝った方が、H組(つまり日本のいる組)とトルコと戦うわけだが、この2チーム(セネガル、スウェーデン)の方が戦力的には優位だろう。準決勝進出をかけての一戦、そういっても過言ではない。
 というわけで予想は、2-1でスウェーデン。ワールドカップは初出場には厳しいものだ。
 注目選手
 スウェーデン:いい加減爆発しろラーション、リュングベリ、スヴェンソン
 セネガル:早いぜディオプ、ディウフ、ファディガ

スペイン VS アイルランド

 注目度:★★☆
 絶好調といっていいスペインとしぶとさならどこにも負けないアイルランドの一戦。スペイン優位は動かないが、アイルランドをなめると痛い目を見るのは周知の事実。激しいチェックの中、どこまでスペインがいつも通りのプレーが出来るか。それが勝敗の分かれ目だ。
 スペインは主砲ラウルがアイルランドDFの厳しいマークとタックルの中でどこまで仕事が出来るかにかかる。ゴールを決めずとも、マークをひきつける、スペースを巧く使う、それがラウルの凄さだ。南アフリカ戦を見る限り、調子はいいはず。彼を止めるのは容易なことではない。おまけにディエゴ・トリスタンモリエンテスというFWがいるわけで、いくらラウルを止めても彼らにやられたら意味はない。スペインは気分屋なところさえなければ今となっては優勝候補筆頭。アイルランドの苦戦は免れないだろう。
 アイルランドは得点の形が作れていないのが不安。ホランドのミドルシュートやロビー・キーンのゴールも不利な状況からなんとかして鍵をこじ開けてはいるが、攻撃の形は見当たらない。イアン・ハートのサイドからのセンタリングに期待したいがスペインのイエロナダルをいったセンターバックはヘディングに強い。簡単には切り崩せないだろう。
 戦前の予想ではスペインが6対4で有利。しかし燃えるアイリッシュがなにかを起こさないとも限らない、そんな試合である。
 というわけで予想は、3-2でスペイン。アイルランドは最後まで粘るだろう。
 注目選手
 スペイン:もしかすると得点王ラウル、バルサファンの期待の星だルイス・エンリケ
 アイルランド:キーンはキーンでもロビー・キーン、イアン・ハート

メキシコ VS アメリカ

 注目度:★★
 ワールドカップでの北中米地区同士の戦いというのは珍しい。しかし、同じ北中米地区とはいえ、両国のサッカーは全然違う。細かいパスを繋ぎ、全体的に素早ボール回しを特徴とするメキシコ。それに対してフィジカル、特にパワーとスタミナにものを言わせる体力サッカーを得意とするアメリカ。体ではアメリカ、技ではメキシコの戦いになるだろう。
 何度も書いているように今大会のメキシコは非常にいい。これまで攻撃力には定評があるものの、守備はイマイチ、というイメージの強いメキシコだが、コンパクトに中盤を固め、高さでは劣るが上手さで上回るDF陣がグループリーグでは活躍した。個人能力で守るのではなく、組織で守る、という考え方がしっかりしている。同じ組織守備でも日本と違い、無理にラインを上げたりしないのも危なげなくていい。そして、ブランコを中心とする攻撃。イタリア戦でのボルゲッティの見事なヘディングは、極めてメキシコ的なアクロバティックな一撃だった。
 アメリカについては正直、90分しっかり見たことが無い上に、ポルトガルには3点獲って勝ち、韓国には引き分け、なぜかポーランドに3点獲られて負けている、という支離滅裂な成績のため、全然わからない。ただ、これまでのアメリカと同じように、激しいフィジカルとスタミナで相手を追いつめ、細かいパスではなくロングボールやサイドからのセンタリングで相手ゴールをこじ開ける、という図式は変わっていないようだ。メキシコは高さもないし、決してフィジカルでも強くはないので、アメリカが得意のサッカーをして乗っていければアメリカの勝機もあるだろう。ただし、メキシコはフィジカルの弱さは今に始まったことではなく、その躱し方を心得ている。高さ対策もイタリア戦を見る限りある程度出来ているようなので、アメリカの単純なサッカーが通用するとは思えない。私としては質の高いサッカーを展開するメキシコに頑張ってもらいたいところだ。
 というわけで予想は、3-1でメキシコ。トーナメントを掻き回してくれ。
 注目選手
 メキシコ:また出るか蟹バサミブランコ、ボルゲッティ
 アメリカ:オブライエン、コビ・ジョーンズ

ブラジル VS ベルギー

 注目度:★★☆
 大会前のダメダメ予想は一体どこに行ったのか、ブラジル。グループリーグでは最多得点。ロナウドリバウドという主砲二人が三得点ずつという好調ぶり。王国の力は流石である。
 ただし、守備に不安はある。コスタリカ戦では2点しか獲られていないとはいえ、守備陣は完全に崩されるシーンが何度もあった。攻撃は最大の防御なりというが、ベルギーも決して得点力が低いチームではないし、守備力に冠してはトルコ、コスタリカ、中国というチームよりは遥かに上。これまでと違い、思うように点が入らないことに焦ったりしたら、足元をすくわれる可能性が無いとは言えない。
 ただまあ、順当に考えればブラジル有利。この大会では番狂わせが沢山起こっているとはいえ、ブラジルの牙城を崩すのは簡単ではなさそうだ。ベルギーはどこまで頑張って守れるか、そして先制点でも獲れれば…。
 個人的にはイングランド対ブラジル、という涎が垂れそうな一戦が見たいのでブラジルが勝つことを望む。どれだけ波乱が起こるワールドカップでも最後はやっぱり強豪国が上位に来るだろうし来て欲しい。最終的にはブラジル対ドイツ、というワールドカップ史上初の顔合わせが見れたら幸せだなあ。イングランドがブラジルに勝って決勝、というのも幸せだけど。
 というわけで予想は、2-1でブラジル。ただし延長ゴールデンゴール。
 注目選手
 ブラジル:得点王狙いロナウド、リバウド、ロベルト・カルロス
 ベルギー:オーバーヘッドだウィルモッツ、ベルヘイエン、

日本 VS トルコ

 注目度:★★★
 宮本なのか、それとも森岡なのか。  この試合の行方を占う一つの要素がこれだ。この二試合完封で安定しているDFラインをそのまま使うのか。それともハカン・シュキルハカン・シャシュというハンパじゃないFWを擁するトルコに対し、高さ、一対一に強い森岡を投入するのか。さあ、トゥルシエの決断や如何に。
 そして、この勝負にはもう一つの鍵が。それはレッドカード。トルコはとにかくファウルが多い。32ヶ国中ファウルの数は一番。カードも当然貰う。この神経をすり減らす戦いに日本がどこまで自分を保てるのか。逆に相手を苛立たせ、ファウルトラブルを誘うことが出来るのか。正直、見ていて辛い試合になるとは思う。その勝負に勝ってこそ、試合に勝てるはず。頼むから戸田鈴木、早まらないでくれ。
 日本はこの試合に勝てれば、次はセネガル。過去の実績も実力も決して劣る相手ではない。なにより昨年の親善試合(0-2で敗北)の借りを返すいい機会だ。ワールドカップでこんなに組み合わせに恵まれることは次にいつ来るかわからない。しかもホーム。このチャンスをしっかりと活かして欲しい。そしたら準決勝の相手は、ブラジル、いや、イングランド。どちらにしてもワールドカップという場で真剣勝負するには相手にとって不足なし。歴史を作れ。
 というわけで予想は、3-2で日本。FW陣の奮起を望む。
 注目選手
 日本:やっぱり稲本、鈴木、戸田、森島
 トルコ:コワイよハカン・シャシュ、ハカン・シュキル

韓国 VS イタリア

 注目度:★★★
 決勝トーナメント一回戦の取りを飾るのは、グループリーグに続いて韓国だ。韓国もまさか自分達がグループ一位で進むとは思っていなかっただろうし、逆にイタリアが二位で抜けて来て、ここで当たるとは思っていなかっただろう。しかし、今の調子が乗り切れてないイタリアになら、むしろ韓国に勝機はある。ポルトガル戦のような戦い方が出来れば、イタリアが混乱、結果番狂わせ、なんてことも。
 それに韓国にはなんといってもサポーターといいう強い味方がついている。それはすなわち審判を味方につけるということである。「負けたらそれまで」のギリギリの戦いでは如何に審判を味方につけるかも重要な要素。イタリアがポルトガルの二の舞を演じないとは誰にも言えないのだ。
 イタリアはトラパットーニ監督デル・ピエロをどうやって使うのか、それが鍵になるだろう。ビエリと共にツートップで使うのか、それともトッティに代えて使うのか。はたまた結局ジョーカーとして温存するのか。ワールドカップではどの選手に流れが来てるかを読むことも重要な要素。そしてイタリアの流れは確実にデル・ピエロに来ている。そこで自分の今までの考え方を思い切って変更できるかどうか。監督の手腕に掛かっている。あとはネスタの怪我が心配だ。
 今の韓国になら何が起こっても不思議はない。ただファン・ソンホンの怪我が心配だ。ポルトガル戦を観てもアン・ジョンファンはあくまでもジョーカーの方が生きる選手。スタメンにファン・ソンホンの名前があれば心強いのだが。ヒディングトラパットーニ、両監督の決断も楽しみな一戦だ。
 というわけで予想は、1-1、PKで韓国。イタリア四大会連続PK負け。
 注目選手
 韓国:兄貴!ホン・ミョンボ、ソル・ギヒョン、ユ・サンチョル
 イタリア:出るかデル・ピエロ、ビエリ、ザンブロッタ


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