「てぃんくるせいばーむかしばなし」
作:G☆SCR 【up dete 2000'01'26】


その1
「桃太郎」

むかしむかし、あるところに、はやなちゃんという大層食べ物好きの女の子が住んでいました。
ある日、はやなちゃんが川で洗濯をしていると、上流の方から大きな桃が、どんぶらこ〜どんぶらこ〜と流れてくるではありませんか。
これはいいものを拾ったと、はやなちゃんは桃を抱えて家まで帰りました……が、
あまりにも美味しそうだったので、帰る途中で全部食べてしまいましたとさ。(おしまい)

その2
「金のオノ」

むかしむかし、あるところに、葵ちゃんとはやなちゃんという大層仲のよい女の子達が住んでいました。
ある日、葵ちゃんとはやなちゃんは、森へお弁当を持って遊びに行きました。
大きな泉の近くで葵ちゃんがお昼の準備をしていると、足を踏み外したのか、はやなちゃんがあやまって泉に落ちてしまいました。
「あれ? はやな、どこ行ったの?」
葵ちゃんが必死に探していると、泉の中から霧瀬ちゃんそっくりの泉の精霊が現れました。
「葵ちゃん、あなたが探しているのは、この制服着たはやなちゃんですか? 私服のはやなちゃんですか?
それとも、ティンクルセイバーのスーツを着たはやなちゃんですか?」
葵ちゃんは正直にこう答えました。
「何を着ていたって、みーんな、私の好きなはやなです」
こうして葵ちゃんは、3人のはやなちゃんに囲まれて、幸せそうな顔をして家に帰りましたとさ。(おしまい)

その3
「おおかみ少年」

むかしむかし、あるところに、いたずら好きの少年がいました。
いつもいつも、「おおかみが来たぞ〜」と大声で言っては、さつきちゃんや村の人をだましていたので、
村人達も少年のいうことを信じなくなってしまいました。
ある日、本当におおかみがやってきました。
「本当におおかみが来たぞ〜、助けて〜」
少年は必死に叫びましたが、村人達は「またあいつがうそを言っている」と、誰も助けに来てくれません。
とうとう少年がおおかみに食べられようとしたその時です。
「月華流 蒼水月」
アークセイバーのスーツを着て助けに来てくれたのは、もちろん我らがさつきちゃんです。
「もう、嘘をついてはいけませんよ」
 さつきちゃんの優しさにうたれ、少年は二度とうそをつかなくなりましたとさ。(おしまい)

その4
「さとり」
むかしむかし、あるところに、稜ちゃんという愛くるしくも無表情な女の子が住んでおりました。
ある日、稜ちゃんが山で道に迷っていると、恐ろしい姿をした1匹の妖怪に出会ってしまいました。
「ふふふ、おいしそうな娘だ。お前を晩飯として喰らってやるからな」
妖怪は地の底から響くような声でそう言うのですが、稜ちゃんの表情はまったく変わりません。
「逃げようとしても無駄だぞ。オレはお前の考えていることが何でもわかるんだからな」
そう言って妖怪は舌なめずりをしながら近づいていくのですが、稜ちゃんは相変わらず表情を変えません。
「ぬうぅ、何故だぁ、お前の表情からは何も読みとれぬぅ」
稜ちゃんのあまりの無表情に動揺したのか、妖怪は勝手に足を踏み外して、崖下へ真っ逆さまに落ちていってしまいました。
山に住み着いていた悪い妖怪を退治してくれたと、村中の祝福で迎えられた稜ちゃんは、やっぱり無表情でしたとさ。(おしまい)

その5
「青い鳥」

むかしむかし、あるところに、九行律と不破久遠というとっても強い極星がおりました。
2人は霧瀬ちゃんに頼まれて……というより、口車に乗せられた久遠ちゃんに律兄がくっついていく形で、
幸せをもたらすという伝説の「青い鳥」を探す旅に出ました。
途中、久遠ちゃんが極星狩りをして「姫」の極星名を得たり、
それをとどめた律兄に「覇」の極星名が与えられたりしながら旅は続きましたが、青い鳥は見つかりません。
結局青い鳥は見つけられずに保健室に帰ってきたのですが、なんとそこに青い鳥はいたのです。
こんな近くにいたことに2人は驚きますが、すぐに青い鳥は逃げ出してしまいました。
追いかけようとする久遠ちゃんの腕を、律兄ががっちりと押さえます。
「律、何すんの? 早く追いかけないと!」
「いや、もういいんだ」
「え?」
「もういい。俺の幸せは、こうやって捕まえているから」
「り、律……」
こうして、今日も2人はらぶらぶだとさ。(おしまい)