SOMETHING ELSE
もうひとつの発見

縞太二の再生空間

縞太二氏プロフィール
(1) ツボでダイエット 
脾兪(ひゆ)
気海(きかい)
三陰交(さんいんこう)
「ダイエット」という言葉に女性は敏感に反応する。
 ダイエットとは、元は、肥満防止のためにする食事制限のことで、総摂取カロリーをコントロールする治療のこと。
 日本人にはそれ程、外見が肥満している人は多くないが、欧米人は中年になると、半端ではなく太ってしまう。
 外見だけではなく、命に関わるほどの肥満なので健康のためにダイエットするのだが、日本人は、一般的に、ダイエットを「美しくなる方法」と解釈していることが多い。
 男の目から見れば、ちょうど良いと思える体型の女性までも、敏感に反応する。こだわるあまり、自分勝手に食事制限をして健康を損なうケースも多く、気をつけなければならない。
 東洋の考え方に関心をもっている私は、安全で健康的なダイエットはないのか──と縞さんに尋ねてみた。
 すると、縞さんは、ニッコリと笑って「ありますよ」と。
 ならば──ということで生まれたのが、「マッサージで痩身」という、この企画。
 自分でできるので、読者にとっては良い企画だが、縞さんにとっては、とんでもない企画なのだが、縞さんは「やりましょう」そういって、快く引き受けてくれたのである。 
線路を走る電車をうまく通過させるために
駅(ポイント)を調整するのがマッサージ
 そもそもマッサージとは凝り固まってしまった体をほぐすだけのものではなく、凝り固まらないように日頃からケアして、病気にならない体にするのが目的で、指圧やマッサージをして、人間が持っているポテンシャルを発揮できるようにすることに意味がある。
 縞さんの書いたコラム「ツボの医学」には、五臓六腑(内臓の一つひとつ)は独立してあるのではなく、密接に繋がっており、関連して動くことで、命を育んでおり、内臓のいずれかに異常が起こると、その信号は、全身を網の目のように巡っている経絡を伝わり、体の表面にある経穴(俗にツボと言われる所)に、痛みやコリとなって現れる。さらにひどくなると、しびれ、湿疹、かさつきとなって顔や皮膚の表面に現れてくると、書いてある。

 経絡とは"気"あるいは「エネルギー」の通り道のこと。12本ある経絡が、全身を網の目のように走っていて、その所々に経穴(ツボ)というポイントがある。
 しかし、これにはいろいろな説があって、決まったところにあるというものではないらしい。人によって、その場所はまちまちなので、○○の辺りという表現が適切なようである。
 プロの指圧師、マッサー、トレーナーは、その辺りを触って、指に伝わる感触から、それを見つけるのである。
 この経絡とツボの関係を、縞さんは、「電車と駅」に例えて次のように説明する。
「経絡とは線路のこと。そして、気とかエネルギーは電車で、ツボは駅」
 そう言ってから「○○行きの電車に異常があって、動きが悪くなっているという報告を受けたマッサー、あるいはトレーナーは、それは多分、○○駅の近くのポイントと経験から判断して、これだという現場にいって、そこを揉みほぐして調整するのです」という。
消化に関わるインスリンのツボ「脾兪」
 肥満の原因を考えていくと、
「摂取カロリーのオーバー」
「内臓不活性による代謝の低下」
「ホルモンバランスの乱れ」
などが考えられる。
 そして、ダイエットには、基本のツボが三つある、と。
 そのツボは、
「脾兪」(ひゆ)
「気海」(きかい)
「三陰交」(さんいんこう)
という。
 脾兪(ひゆ)は、おへその真裏より、指二本分くらい上にある。
 手を背中に回して手の甲が当たるくらいのところで、背骨の左右にある。

 このツボを刺激すると、膵臓を活性化してインスリンがよく出るようになるそうだ。
 ホルモンの一種であるインスリンは、糖分の代謝を調整している。
 インスリンが正常に働くと、血中に流れる糖の量が抑えられるため、食物を食べた後の血中の糖分が少なくなる。
 反対にインスリンの出が悪くなると、血中の糖分が増えて、血管にも悪さをする。もちろん、糖分が大量になると、肥満や糖尿病の原因にもなる。
 このツボを押さえようと、実際にやってみると、手がようやく届く場所。
 自分でどうやって指圧しようかと考えていると、縞さんは立ち上がって、別の部屋からゴルフボールとお酒のビンを持ち出してきた。
「こういうのを使って、仰向けになってやればいいんですよ」と。
 事務所に帰って試してみると、体の硬い私にはビンの方が合っているようだ。丸みを帯びたビンの感触と高さがちょうどいい。ビンの上に体を横たえて、テレビを見ながら上下に動かしたり、左右にクネクネとしていると、胃腸がとてもスッキリとして気持ちよくなってきた。
 縞さんに聞いた話では、マッサージをする場合、最も効果的なのは、お風呂から出て、体がまだ温まっている時。
 縞さん曰く、「体が温まっているということは、すでにマッサージをしているのと同じ効果があるわけで、それに目的をプラスすればさらに良いのです」。
 時間は5分〜10分程度。
 できれば、毎日行なうのがいいらしい。
腸を整えるツボ「気海」
 気海というツボのある場所は、おへその下3センチくらいのところ。
 気海とは元気の集まる海のように広大な場所という意味
があるらしい。
 気海の指圧の方法は、親指をグーッと押し込んで、5つ数えしてパッと放す。
 これを10回、毎日行なう。

 体中を駆け巡っている気やエネルギーは、一度、気海に集まっていろいろなところに流れていくといわれており、このツボを刺激すると体を元気にする効果が期待できるというわけ。
 場所から判断して、これはどうやら小腸に刺激を与えているようだ。
腸は体内への入り口
 西洋医学でも最近では、腸はとても重要な臓器といわれはじめた。
 腸には編みタイツのようにセンサーが張り巡らされている。
 たとえば、私たちが何かを食べると、そのセンサーが敏感に反応して、胃に「○○酵素を出しなさい」とか、消化に関わる胆嚢や、糖の貯蓄をする肝臓に「ああしなさい」「こうしなさい」という指令を出しているのである。
 そういうことから、腸は脳とは違う、独立した能力を持っているという意味を込めた「腸能力」という言葉が、最近使われはじめている。
 大腸は、栄養を吸収した後の食物のカスを管の中を送って排泄するという役割を持っている。
 しかし、ストレスなどで、その動きが低下してしまうと、便秘を引き起こしてしまうのである。
 便秘になると、腸内に留まったままの食物カスが腐敗した状態になる。
 食物繊維が腸に良いといわれるのは、栄養素としてではなく、腸の動きを良くするものなのである。
 ここでウンチクをひとつ。
 私たちが体内という時、それは体の内側と捉えるが、専門家は、食物が消化される小腸までを偽体内(にせの体内)と呼び、小腸で分解された栄養素が小腸の壁を通って血管などで運ばれるところからを初めて体内というそうだ。
 体内に栄養を送り出す最後の器官。腸がいかに重要な役割を担っているかというのが、よくわかる。
 そう考えると、気海という、ネーミングの理由も納得できる。 
 科学が発達すればするほど、東洋医学(東洋哲学)のすごさがより鮮明に浮き彫りされてくる──というのは、よく耳にする言葉だが、まさに"言い得て妙"という気がする。
コレステロールを増やさないツボ「三陰交」
 三陰交は、足のかかとの内側。くるぶしの一番高いところに手の小指を置き、人差し指の当たった辺りで、脚の骨の際。
 押すと、痛いが、気持ちがいい。
 別名「女の三里」といわれるツボで、生理痛、冷え性、あるいは更年期障害などに用いられる。

 生理痛や足の冷えに困っている人は、指圧や温灸で刺激すると良いのだそう。
 このツボはどうやら、女性ホルモンと関係があるらしい。つまり、簡単にいえば、加齢によるエストロゲン(女性ホルモン)の減少がコレステロールをためやすくし、それが太る原因にもなるので、このツボを刺激して、それを解消するということ。
 ちなみにコレステロール過多からくる高脂血症は、まぶたの上や、足首のこのあたりにポツンと脂肪の塊が現れるもの。これが現れると、注意しなければならない。
 なぜなら、高脂血症は脳卒中や心筋梗塞などのシグナルになるからである。
 つまり、男性にも、このツボは良い。

 予断だが、ダイエットのツボについてのウンチクは、お酒を飲みながら、女性に話すにはもってこいで、よくもてるそうだ。もうひとつ、東洋の手相の知識も仕入れておくと、さらに良いらしい。
文/写真 久保雅督(取材2011.7.18)