【3】着物彩り -1-

「着物って、日本の色を愉しむ文化」
 神楽坂さつきさんはそう言ってから、
「着物の色は、日本独自のもので、微妙な四季のある日本ならではの文化なの」と付け加えた。
「日本人は1000万色の色を見分けることができる」(『増補 色の秘密 最新色彩学入門』野村順一著 株式会社文藝春秋より)。
 その優れた能力で、自然が奏でる微妙な色合い、時間とともに刻々と変わっていく移ろい、あるいは四季の織り成す微妙な色の変化をとらえている。
 たとえば、薄紅色、緋褪色(ひさめいろ)鴇色(ときいろ)、茜色(あかねいろ)、珊瑚色(さんごいろ)など、同じ薄い赤系でも、かすかな変化を見逃さず、そのすべてに名前を付けて表現しているのである。
 こうした、文化をたどっていくと、神楽坂さんのいうように、「着物は日本の色を愉しむ文化」なの だ。
 前出の『色の秘密』によれば、
「日本人の色彩感覚の原点は、絹とヒノキの光沢が放つパステルカラー」で、卑弥呼女王の時代には、すでに錦を織っていたことが記されていた、とある。
 そして、
「五世紀の半ば頃、染色の技術者が大陸から渡来して、赤、黄、緑、青などの色系をつくり、染色の無地染では、赤は茜草、青は山藍、黄は刈安、紫は紫根といったパステルカラーの植物性染料であった。
 平安時代(七九四〜一一九二)の重色目(かさねのいろめ)は四季に応じた自然の色であった。元禄時代(一六八八〜一七〇三)に入ると、友禅染めの優雅婉麗(ゆうがえんれい)な彩色はパステルカラーとアクセント・カラーの純色で絹の染色の深みを発揮した」と書いてある。
 着物を魅力的に見せるのは、季節をどのように着物と帯に取り入れるか、なのである。
 といっても、着物と洋服では感覚がまったく違う。 続き


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