【6】夏姿 ゆかた2

 ゆかた(浴衣)はその字が示すように、入浴の際に着るものだった。
 平安時代、沐浴(蒸し風呂)する貴族たちが、やけどしないように麻でつくった湯帷子(ゆかたびら)という薄地の着物を着て入った。これが浴衣の原型らしい。
 当時、綿は高級品で、装束の下着となる薄い着物は麻でつくられていた。
 ちなみに、綿が用いられるようになったのは、江戸時代後期から。
 この頃から綿の生産量が増え、庶民に普及したのと銭湯の普及で、綿で作った湯帷子を湯上りに着るようになり、言葉も省略されて、ゆかたとなった。
 古典的な浴衣には、紺地と白地が多くみられる。
 白地は昼用で紺地は夜用とされていた。
 夜に紺地を着用したのは、「藍」の匂いを虫が嫌うからで、虫の出る夕方から、紺地の浴衣を着用したようだ。
 神楽坂さつきさんは、
「浴衣には博多帯(献上帯)が定番で、ちょっと洒落て、羅織り、紗織りの帯がいい」という。

 博多帯 献上柄

 博多帯というのは、福岡市博多地区でつくられている帯のことだが、最近はコンピュータで模様をつくったり、正絹ではなくポリエステルでつくったものなどもあるらしい。
 博多織を代表する「献上柄」とは、筑前藩主黒田長政が幕府に献上していた柄〈密教の仏具の独鈷と華皿を意匠化した柄、縞柄〉の博多帯のことを指し、儒教の五常に結びつけた紫、青、赤、黄、紺の五色がある。
 神楽坂さんいわく、
「着物が綿なのに、高級着物にするような帯は合わないし、金や銀はもってのほか。博多帯(平織り)は今でこそ高級品だが、昔は普段着の帯だったから、江戸時代あたりから、そういう組み合わせになったのではないかしら。あっさりした彩りだから、藍染の浴衣には、とても似合うの。昼間、パラソルをさしての浴衣姿もいいわよね」と。
 昔は浴衣は6月から8月に着るものだったが、今は9月頃まで愉しめる。


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