糖類

2006.8.12

糖類

 糖類は、単糖類と、単糖類が複数、縮合した少糖類(単糖が2〜20分子程度、結合したものでオリゴ糖ともいう)と多糖類などに分けられる。
 三大栄養素の「糖質」は、糖類を主要成分としているもので、狭義の糖質と食物繊維(主に多糖類)を、炭水化物あるいは糖質と呼ぶこともある。

 加水分解(水と反応して生成物に分解される)で分けられないものを単糖類といい、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノースなどがある。

グルコース(ブドウ糖)・・脳のエネルギー源。水溶性で甘みがある。
*フルクトース(フラクトース・レブロース・果糖)・・果実に最も多く含まれている。水溶性で甘みがあり、温度が下げることで甘みを増す。
*ガラクトース(脳糖)・・ギリシャ語の乳[Gala]が由来。乳製品や甜菜(サトウダイコン)に含まれるラクトース(二糖類)の構成成分で、エネルギー源。
*マンノース・・コンニャクの主成分コンニャクマンナン(グルコマンナン)を構成する糖。腸の掃除役。

 二糖類は、単糖類2分子が結合(グリコシド結合)したもの。マルトース、スクロース、ラクトースなどがある。

*マルトース(麦芽糖)・・麦芽糖という名は、大麦の種子を発芽(麦芽=モルト)させたものに多く含まれていることに由来する。水飴の主成分。
*スクロース(蔗糖)・・ショ糖。砂糖のこと。グルコースとフルクトースで構成され、サトウキビやサトウダイコン、カエデの一種から抽出できる。170℃くらいで加熱するとカラメルになる。甘味料として使われ、口中細菌が酸に変化させるため、虫歯の原因にも。一度に大量に摂取すると健康に悪影響を及ぼす。
*ラクトース(乳糖)・・ガラクトースとブドウ糖。哺乳類の乳汁や、レンギョウの花粉中などに
も含まれる。

*フラクトオリゴ糖・・果糖が3〜5個つながったもの。タマネギ、ゴボウ、アスパラガスなどに含まれる。
*ガラクトオリゴ糖・・ガラクトースとブドウ糖が3〜6個つながったもの。
*ラフィノース[ピートオリゴ糖]・・ガラクトース、ブドウ糖、果糖が3個つながったもの。甜菜、豆類などに多く含まれている。
*スタキオース・・ガラクトース、ブドウ糖、果糖が4個つながったもの。豆類などに多く含まれている。

 多糖類は、単糖が数十〜数百結合したもの。デンプン、グリコーゲン、セルロース、ペクチン、アルギン酸、グルコマンナン、キチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン、アガロースなどがある。

*デンプン・・ブドウ糖がつながったもの。アミロース、アミロペクチンに分けられる。トウモロコシ、小麦、米、ソラマメ、馬鈴薯、サツマイモ、クズ、カタクリ、タピオカなどに含まれる。
*グリコーゲン(糖源)・・主に肝臓と骨格筋で合成される。スポーツ医学では、運動能力を高めるためグリコーゲンを効率よく貯蔵することを「カーボ・ローディング(グリコーゲン・ローディング)]という。キャラメルの「グリコ」(株式会社江崎グリコ)の名前の由来となっているのは有名な話。
*セルロース(繊維素)・・ブドウ糖がつながったもの。地球上で最も多く存在する炭水化物。植物細胞の主成分。不溶性。
*ペクチン・・ガラクツロン酸がつながったもの。植物の細胞壁に含まれる。サトウダイコン、ヒマワリ、グレープフルーツ、ライム、レモン、リンゴなど果物から抽出される。
*イヌリン・・果糖がつながったもの。植物や穀類の繊維分。
*アルギン酸・・褐藻(主に褐色の海藻)などに含まれる食物繊維。ネバネバ成分。
*グルコマンナン・・コンニャクに含まれる食物繊維で吸水性が高い。グルコースとマンノースが結合している。
キチン・・エビ、カニ、昆虫、貝、キノコなど菌類に含まれているムコ多糖類。アルカリの加水分解によってキトサンに変換される。
*ヒアルロン酸・・人間の細胞間に存在するムコ多糖類。保水力が高い。
*コンドロイチン・・体内でタンパク質と結びついて存在しているムコ多糖類。
*アガロース・・寒天の主成分。ガラクトースで構成される。紅藻類にも含まれる。

糖鎖

 人間の体内すべての細胞の表面には、糖が鎖状に結合した産毛のようなものが、多数付いている。
 構造は、タンパク質(60%は、糖鎖とタンパク質が共有結合した糖タンパク質)や脂質と共有結合し、細胞内からタンパク質でつながって細胞表面に出ている。
 糖鎖は、細胞の状態、ホルモンや酵素、ウイルスや菌などを認識したり、情報の伝達をする、アンテナのような働きをしている。たとえば、免疫細胞では異物が何かを判断し、神経細胞では細胞同士がアンテナを互いに触れ合わせて情報伝達をしている。ちなみに血液型は、末端に付いている糖鎖の違いによって決まり、また、ガン、慢性疾患、免疫異常、ウイルスや細菌による感染症、老化などで糖鎖の構造が変化することもわかっている。
 結合している糖の種類は、グルコース・ガラクトース・マンノース・L-フコース・N-アセチルグルコサミン・N-アセチルガラクトサミン・N-アセチルノイラミン酸・キシロース(・L-アラビノース)など。
 肝臓でビタミン、ミネラル、酵素によって合成される。
 マンノースはキダチアロエ、フコースはメカブ、モズク、コンブ、ワカメなど褐藻類、キシロースは植物、N-アセチルグルコサミンはカニやエビなどのキチン質、N-アセチルガラクトサミンはヤマイモ、オクラ、納豆など、N-アセチルノイラミン酸は母乳などに含まれているが、グルコースとガラクトース以外は、摂取が難しいともいわれている。
「糖鎖」は、核酸(DNA)やタンパク質とともに、生体を構成する3つの鎖状の一つ、「第三の鎖状生命分子」といわれている。
 ここ何年かでようやく様々な重要な役割を持つことはわかってきたが、直線状につながっている核酸(ヌクレオチドがポリヌクレオチド鎖になっている)や、タンパク質(アミノ酸がポリペプチド鎖になっている)に比べて、糖(単糖がオリゴ糖鎖や多糖鎖になっている)が枝分かれした複雑な構造になっており、まだ、解明されていない部分も多い。

多糖類は、有機高分子の天然高分子

 高分子(高分子化合物)とは、多数の原子が共有結合している分子のこと。原子が1000個あるいは分子が10000個以上のものを指すことが多い。それ以下のものを低分子と呼ぶ。
 高分子は巨大分子とも呼ばれ、ポリマー(重合体)と、ほぼ同義語である。
 高分子の概念は、1926年にヘルマン・シュタウディンガー氏により提唱された。
 多数の原子を結合する元素は、炭素、ケイ素、酸素しかなく、ほとんどのものはこれらの元素を骨格とする。
 炭素を骨格とする物を有機高分子といい、多糖類、タンパク質、脂質、核酸、ゴムの木から取れる天然ゴムは天然高分子に分類される。
 栄養素として見た時に、人間の腸から吸収できるのは、分子量が6000個以下ぐらいのものとされており、高分子である三大栄養素のタンパク質、脂質、糖類(多糖類)は、体内で酵素により低分子に分解されて、初めて吸収される。つまり、低分子の方が吸収されやすいのだが、高分子と低分子では、その性質も変わる。
 有機高分子の合成高分子には、合成樹脂(プラスティック、ポリエチレンなど)、合成繊維(ナイロン、ポリエステルなど)、合成ゴムがある。ちなみに、ポリエステル、ポリエチレンなどの「ポリ」は、ポリマー(重合体=高分子)の「ポリ」で、ペットボトルのPETはポリエチレンテレフタレートの頭文字。
 ケイ素を骨格とする無機高分子には、天然高分子の水晶や雲母、そして、合成高分子にはガラスやシリコン樹脂などがある。

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