スイカ

2006.7.15

アフリカ原産

 紀元前5000年頃のアフリカのサバンナ。大地にコロンと転がっている真っ黒な球体。
 これが、どうやら最初に人間が目にしたスイカである。現在のスイカのように、明るい緑色に黒い縞模様になったのは、数千年以上も後のこと。
 ウリ科スイカ属で、学名は「Citrullus Lanatus(キトルルス・ラナツス)」、英名は「watermelon(ウォーターメロン)」。
 アフリカから、エジプト、ギリシャへと伝わり、その後、地中海からインド、中国へ、ヨーロッパからアメリカへと広まっていく。古代エジプトの壁画にはスイカの絵が描かれているそうだ。
 中国では、西から伝わってきたという意味の「西瓜」や、「水瓜」「夏瓜」などという字が当てられ、中国読みの「シイグワ」が、日本では「スイカ」という呼び名になったといわれている。

スイカの日本上陸

 日本へは、インゲンなどを伝えたことで有名な隠元禅師が、17世紀中頃に中国から持ってきたとも、16世紀末にポルトガル人が長崎に持ち込んだともいわれているが、12世紀の『鳥獣人物戯画巻(鳥獣戯画)』(筆者は鳥羽僧正といわれている)にスイカの絵のようなものが描かれていたり、14世紀の『空華集』(五山文学の代表的な詩文集、僧 義堂周信の著作)に載っているところから、平安時代には日本でも栽培していたのではないかともいわれている。
「鉄カブト」という呼び名が付いていたことからもわかるように真っ黒(濃い緑)な皮に、真っ赤な果肉が気持ち悪いということで江戸時代には一時期衰退したこともあったようだが、明治末期にアメリカから入ってきた品種が改良されて、本格的な栽培が始まった。
 昭和初期には、奈良地方を中心とした「大和西瓜」と、関東を中心とした「都西瓜」という二大品種に大別され、この頃、現在のような縞模様のスイカが主流になった。

スイカの成分

 スイカの成分の90%以上は水分である。
 子供の頃、食べ過ぎるとトイレが近くなるといわれたものだが、スイカの果肉に含まれるシトルリンやカリウムには利尿作用があるので、体のむくみをとり、代謝を良くするため、二日酔いにも良いといわれている。

 カリウムは、利尿作用と同時に、塩分(ナトリウム)を腎臓から尿中に排出する作用があるため、腎炎、膀胱炎、高血圧の予防に良いといわれている。

 シトルリンはアミノ酸の一種。1930年、日本で、スイカから発見されて、スイカの学名、ラテン語のcitrullusに因んで名付けられた。シトルリンは、体内で尿をつくる過程に関与しており、アンモニアなどの有害物質や老廃物を排出し、血行を良くする働きがある。

 また、シトルリンは、体内で酵素(ペプチジルアルギニンデイミナーゼ)により、アルギニンに変換される。
 アルギニンは、幼児期には成長を促進する大切な栄養素となるため、必須アミノ酸とされているが、大人になると必須アミノ酸には含まれていない。しかし、30歳を過ぎる頃から分泌がストップするため、食事から摂取する方が良いとされるアミノ酸である。
 若々しさを維持し、脂肪を分解する酵素(リパーゼ)を活性化するため脂肪を燃焼しやすくする、筋肉の修復や成長を促す成長ホルモンの合成や分泌を促し、T細胞やナチュラルキラー細胞(2つとも白血球の中にあるリンパ球で、細菌やウイルスなどへの抵抗力をつくる)を活性化して免疫能力を高め、血管を柔軟にして拡張するため動脈硬化や高血圧予防、そして肝臓を保護する作用がある。

 赤い果肉の色は、カロテンやリコペンの色素。リコペン(カロテノイド)には、活性酸素を抑制する抗酸化作用や、老化防止、発ガン物質抑制などの働きがある。

 もともとスイカの果肉には今のような甘味はなく、飲料水代わりとして飲んでいたようだが、カルシウム、リン、マグネシウムなどのミネラル分を含むため、今でいうスポーツドリンク代わりだったともいえる。

 他にも、ビタミンCの酸化や破壊を防止する働き(シミ・シワ・ソバカス予防)がある「システイン(アミノ酸)」や、肝臓機能を高めて解毒を促進し、過酸化脂質の生成を抑制するので白内障の予防にも良いといわれている「グルタチオン」を含んでいる。

 ただし、スイカには体を冷やす働きもあるので、冷え性の人は特に、体を冷やさないように食べ過ぎには注意が必要である。

スイカの種

 岡山県の弥生時代の遺跡から大量のスイカの種が見つかったそうだ。種には、タンパク質、脂肪、ビタミンB、Eなどが含まれており、備蓄食糧とされていたのではないかといわれている。
 ヨーロッパやアメリカに伝わる以前は、果肉ではなく、果汁を飲料水として、また、種を食用としていたようで、現在でもアジアでは、種を煎って中身を食べており、そのために改良して種のサイズを大きくしたスイカの品種がある。
 種に含まれている脂肪(リノール酸)にはコレステロールを低下させる働きがあり、干した種は、解熱や、便秘の予防などに良いといわれている。
 スイカの種を、から煎りして、熱湯と蜂蜜を加えて飲む「スイカの種茶」は、栄養たっぷり。

スイカの皮

 漢方では、スイカの皮は、果肉より高い利尿作用や、他に、食物繊維を含むのでコレステロール減少、血管拡張の効果を利用している。
 食用としては、緑色の硬い部分を取った皮を、奈良漬け、浅漬けや、ピクルスにする。

西瓜糖

 創業弘化3年という老舗『万惣』(東京・神田須田町)では、昔、病人のために季節はずれのスイカを求めて多くの人がやってきたことから、1年中、スイカを味わえるようにと果汁を濃縮した「西瓜糖」がつくられた。明治天皇にも献上されたそうだ。
 西瓜糖は、明治や大正時代には、民間薬や、おやつとして、広まった。作り方は、砂糖は加えず、果汁をジャムのようになるまで、ただ煮詰めるだけ。
 スイカの果汁が凝縮されているので、腎臓機能を高め、風邪の時のノドの痛みにも良いといわれて、ファンも多い。

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