乳酸菌ってなに?

2007.1.11

乳酸菌とは

 乳酸菌とは、特定の菌を指す名前ではなく、乳糖やブドウ糖などを栄養として増殖し、乳酸などの有機酸を産出(=発酵)して、悪臭の原因になるような腐敗物質をつくらない性質を持つ細菌の総称である。40種類以上発見されている。
 pHが酸性の状態で増殖しやすく、産出される乳酸などが酸性の環境をつくりだすため、酸に弱い細菌(微生物)の繁殖を抑える。
 乳酸菌は、総称として使う場合と、乳酸菌の一種、ラクトバチルス(ラクトバシラス)属のみを指す場合がある。
「属」「種」「株」などで分類され、「株」は遺伝子配列の種類。俗に、「ヤクルト菌」と呼ばれているラクトバチルス・カゼイ・シロタ株は、ラクトバチルス(属)・カゼイ(種)・シロタ(株)である。

pH(pounds Hydrogenii)とは

 ドイツ語のpounds(重量)Hydrogenii(水素)の略で、ペーハーあるいはピーエイチと呼ばれる「水素イオン指数」。
 通常、値は0〜14で表され、7が「中性」で、数値が小さくなるほど「酸性」が強くなり、数値が大きくなるほど「塩基性」が強くなる。
 酸の性質を持つ「酸性」の対語は「塩基性」で、塩基性の中で特に性質の強いものを「アルカリ性」という。
「酸」の特徴は、水素イオン(H+)が基本となり、リトマス紙では[青→赤]へと変化する。マグネシウムなど金属を溶かし(水素を発生)、炭酸カルシウムを溶かし(二酸化炭素を発生)、味は酸っぱい。
「塩基」の特徴は、水酸化物イオン(OH
)が基本となり、リトマス紙は[赤→青]へと変化する。タンパク質や脂肪を溶かし、食物では苦味がある。
 ちなみに、カルシウム化合物が汚れの主成分であるトイレの洗剤は「酸性」、タンパク質や脂汚れが多い配水管などの洗剤は「塩基性(アルカリ性)」になっている。
 酸性のお湯で、石けん(アルカリ性)を使っても泡が出ないのは、酸と塩基を混合するとお互いの性質を打ち消し合う作用(=中和)によるもの。
 酸性と塩基性は、相対的なものなので、関わる物質によっても変化する。食品を栄養学的に、酸性あるいはアルカリ性というときは、体内でどちらの値を示すかということなので、酸っぱい(酸性)
梅干しも、アルカリ性食品なのである。
 しかし、体内には恒常性があるため、血液などが、食品の摂取によってアルカリ性や酸性になることはないため、体内機能に異常がない限りpH7.4前後に保たれているが、尿などの値は変化する。参考までに、胃液はpH1.8〜2(レモン汁はpH2~3)、尿はpH4.6〜7.4、唾液はpH7.2〜7.4、血液はpH7.4、涙はph7.5くらいである。余談だが、雨は通常pH5.6で、酸性雨とは酸性に傾いているもの。
 腸内は、pH5.5〜6.0の弱酸性が最も良い環境とされているが、食事の偏りなどによって、その性質が傾く。

細菌とは

 細菌は、空気中や土の中、そして人間の皮膚や消化器官内にも存在している。バクテリアともいう。
 有害なイメージがあるが、乳酸菌などのように、人間にとって有用な細菌もある。
 乳酸菌(乳酸桿菌や乳酸球菌)、酵母菌、大腸菌などのように、酸素のあるなしに関わらず増殖でき、かつ、酸素があることによって発育が良くなる菌を「通性嫌気性菌」、ビフィズス菌などのように、酸素があるところではほとんど生育できない菌を「編性嫌気性菌」という。
 

動物性乳酸菌と植物性乳酸菌

 乳酸菌は、動物性乳酸菌と植物性乳酸菌に分けられる。
 動物性乳酸菌は、動物の乳をエサにして増殖する乳酸菌で、ヨーグルト、バター、チーズなどの乳製品や、脱脂粉乳を乳酸菌で発酵させた乳酸菌飲料などに含まれる。栄養が豊富なところに生息し、塩分が強いところでは生息できない。ヨーグルトには乳酸菌のエサとなる乳糖も含まれていて、乳糖は、通常の糖分に比べて分解されにくいため、腸まで届くといわれている。
 一方、植物性乳酸菌は、米や麦、くだものなど植物をエサにして増殖する。味噌、醤油、漬けもの(ぬか漬け、たくあん、柴漬けなど)、キムチ、サワークラウト、ザーサイ、ピクルスなどがある。
 ぬか(糠)には、植物性乳酸菌が多く含まれ、乳酸菌以外に酵母のバランスも良い。乳酸菌は、酵母菌がつくる分泌物を食べ、酵母菌は乳酸菌の出す分泌物を食べて、共存している。
 野菜を使用してつくる漬け物は、水分が抜けた分、カサが減るため、たくさんの量の野菜を摂ることができるのがメリットだが、塩分の摂りすぎには注意。
 植物性乳酸菌は、ブドウ糖、果糖、蔗糖、麦芽糖などと関係し、様々な微生物と共存できる。動物性乳酸菌に比べると、栄養バランスが悪く、塩分が強い過酷な環境下でも生き抜くことができる。

乳酸菌の主な種類

★乳酸のみをつくり出すものを「ホモ乳酸菌」といい、アルコールや酢酸など乳酸以外の物質を産出するものを「ヘテロ乳酸菌」という。
★菌の形で、球状をした「乳酸球菌」、桿状(棒状、円筒形)をした「乳酸桿菌」、Yの字や棒状をした「ビフィズス菌」に分けることができる。

 ■ラクトバシラス(ラクトバチルス)属
 一般に乳酸菌という時、この属を指すことが多い。乳酸などを産出する。
 グラム陽性の桿菌。ホモ乳酸菌とヘテロ乳酸菌がある。
 ヨーグルトの製造に用いられ、人間の小腸にも生息している。
 ◎L.カゼイ菌・・・ヨーグルトや乳酸菌飲料に含まれる。腸内にも存在する。
  ちなみにラクトバチルス カゼイ シロタ株は、ヤクルト菌のこと。
  他にL.プランタラム(L.プランタルム)、
    L.アシドフィルス、
    L.ファーメンタム、L.ブフネリ、L.ブレービィス、
  などがある。

 ■ビフィドバクテリウム属
 一般にビフィズス菌と呼ばれているもの。ヘテロ乳酸菌で、乳酸と酢酸を産出する。グラム編性嫌気性桿菌。空気のほとんどない人間の大腸にも棲んでいる。
 1899年、フランスのパストゥール研究所の小児科医ティシェは、母乳を飲む乳児の便の中から、YやVの字の形をした細菌を発見し、ラテン語で「分岐」の意味を持つビフィッド(bifid)からビフィズス菌と名付けた。母乳を飲む乳児の腸内は、ほとんどがビフィズス菌。
 
 ◎B.ブレーベ菌・・・腸内で多く見られる菌。乳酸菌飲料にも含まれる。
  他にB.ビフィダム、B.インファンティス、B.アドレッセンティス、B.ロンガムなどがある。

 ■エンテロコッカス属
 乳酸球菌。エンテロとは「腸内」、コッカスとは「球状」の意味。ヨーグルトなどの乳製品、醤油、肉、魚、野菜などに見られる。グラム陽性、通性嫌気性球菌。ホモ乳酸菌。
 ◎E.フェカリス菌や、E.フェシウムなどがある。

 ■ラクトコッカス属
 乳酸球菌。ラクトは「乳」、コッカスは「球状」の意味。牛乳や乳製品に多く見られる。グラム陽性。ホモ乳酸菌。

 ■ペディオコッカス属
 ピクルスなどの発酵植物製品、発酵ソーセージなどに見られる。コッカスは「球状」の意味で、グラム陽性の球菌。ホモ乳酸菌。
 ◎ハロフィルス菌などがある。

 ■ロイコノストック(リューコノストック)属
 サワークラウトなどの発酵植物製品に見られる。グラム陽性の球菌。ヘテロ乳酸菌。

乳酸菌を使った発酵食品

 発酵食品とは、カビ、酵母、細菌など微生物の作用を利用した食品のこと。
 人間にとって有害な「腐敗」と同じ作用だが、「発酵」は、人間にとって有用な物を指す場合が多い。
 腐敗した食物を食べると下痢や食中毒を起こす。しかし、たとえば乳酸菌で発酵させると、酸味などの味や、香りに変化を持たせて、長期保存を可能にし、産出物の乳酸などにより、pHが酸性に偏ることで、体内で、腐敗や食中毒の原因となる他の微生物の繁殖を抑える。
 高温多湿の日本では、発酵を促進させやすく、日本独自の食品がたくさんある。
 たとえば、「甘酒(麹菌+乳酸菌 )」、「日本酒(麹菌+酵母+乳酸菌)」、アミノ酸発酵による「味噌(麹菌+酵母+乳酸菌)」、「醤油(麹菌+酵母+乳酸菌)」などの調味料、「ぬか漬け(酵母+乳酸菌+酪酸菌)などの漬け物」など。
 世界各地にも、それぞれの気候や風土に合った発酵食品があり、韓国のキムチや、ドイツのサワークラウト(キャベツの塩漬け)、中国のザーサイや馬乳酒、インドの「チャツネ(野菜と果物を煮込んだソース)」、ロシアのケフィールなどがある。
 トルコのヨウルトは、攪拌(かくはん)するという意味から派生した言葉で、ヨーグルトの語源といわれている。

ヨーグルトと乳酸菌飲料

 乳酸菌といえば、やはりヨーグルト。
 ヨーグルトは「発酵乳」とも呼ばれ、数千年前から遊牧民族が飲んできたもので、世界各地に様々なタイプのものがある。
 日本での歴史は浅く、1915年に日本初のヨーグルトが生産(チチヤス乳牛)されたが、一般的に食べられるようになったのは、戦後のこと。
 ちなみに、ヨーグルトと乳酸菌飲料の違いは、液体かどうかではない。
■「ヨーグルト(発酵乳)」は、牛乳と同等の無脂乳固形分を8.0%以上含み、1ml当たりに乳酸菌、酵母菌が1000万以上のものを指す。
■「乳製品乳酸菌飲料」は、無脂固形分が3.0%以上、1ml当たりの乳酸菌、酵母菌が1000万以上。
■「乳酸菌飲料」は無脂固形分が3.0%未満、1ml当たりの乳酸菌、酵母菌が100万以上のもの。

乳酸菌の効用発見

 ロシアの科学者メチニコフ(「細胞性免疫の発見」により、ノーベル賞受賞)は、ブルガリアに長寿の人が多いのはヨーグルトに含まれる乳酸菌が腸内の腐敗物質を抑えるため、とする「乳酸菌による不老長寿説」という仮説を立て、疾患の原因は腸内細菌(悪玉菌)がつくる腐敗物質による自家中毒だ、とした。
 これ以降、乳酸菌が善玉菌であるという考え方が広まっていく。
 その後、自家中毒だけが疾患の原因ではないことは明らかになるが、腸内細菌のバランスが健康に大きく関わっていることは否定されていない。また、花粉症などアレルギー体質の改善にも有効とされている。
 財団法人
ルイ・パストゥール医学研究センターの設立者、岸田綱太郎博士は、「京都の男性は長寿、全国第二位」という新聞記事を読み、食習慣に秘訣があると考えて、京都の漬け物の中でも独特の酸味の「すぐき漬け」を研究した結果、「ラブレ菌(ラクトバチルス・ブレービィス菌)」という新しいタイプの乳酸菌を発見した。
 他にも、アフリカのマサイ民族の健康の秘密は、主食としている発酵乳にあるといわれるなど、発酵食品を主食とする地域は長寿といわれるところが多いようだ。

ヨーグルトの種類のいくつか

・プレーンヨーグルト(糖を添加していないヨーグルト)
・フローズンヨーグルト(ヨーグルトを凍らせたもの)
・寒天入りのヨーグルト(寒天入りヨーグルトは食物繊維が豊富なものが多く、食感がハードなタイプ)
・無脂乳固形分の多いもの(水分や乳脂肪分を除いた固形分であるタンパク質やビタミンB群などを含むものが多い)
・果実入りのヨーグルト(ヨーグルトは、タンパク質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラルなど、あらゆる栄養素を含んでいるが、ビタミンCは含まれていないため、果実をプラスすることで、ビタミンCも摂ることができるようにしたもの)
・乳脂肪分が少ないもの(乳製品に含まれる脂肪分の量を抑えたもの)

乳酸菌の菌種(株)の種類と働き

・LC1/ピロリ菌退治など
・LG21(ラクトバチルス・ガセリ・OLL2716株)/ピロリ菌退治など
・LGG(ラクトバチルス GG株)/免疫力を高める、アトピー・アレルギーの緩和など
・L・ガセリSP株/血中コレステロールを抑える、アレルギーの緩和など
・Bb12[ビフィズス菌]/アレルギーの緩和など
・L・ロイテリ菌/整腸、虫歯予防など
・L92株(ラクトバチルス・アシドフィルス L92株)/花粉症、アレルギーの緩和など
・KW3110(ラクトバチルス・パラカゼイKW3110株)/花粉症・アレルギーの緩和など
・NY1301株[カゼイ菌]/整腸など
・ヤクルト菌(ラクトバチルス・カゼイ・シロタ株)/免疫力を高めるなど
・BE80[ビフィズス菌]/整腸など
・BB536(ビフィドバクテリウム・ロンガム・BB536)/整腸作用など
・LB81/整腸など

乳酸菌以外の発酵食品

 納豆菌を使って大豆を発酵させた「納豆」、カツオブシ菌(カビ)を使った「かつお節」、酢酸菌と酵母を使った「酢」、黒麹菌と焼酎酵母を使った「焼酎」、パン酵母を使った「パン」、ビール酵母を使った「ビール」、ワイン酵母を使った「ワイン」など。

胃酸と乳酸菌

 体外から食物として摂った乳酸菌は、胃を通過するときに胃酸(強い塩酸)でほとんどが死滅してしまう。胃を通り抜けたとしても、十二指腸で胆汁(胆嚢からの分泌物)の攻撃を受けるため、生きたまま腸へ到達できる物はほとんどない。これは、ウイルスなどの異物を体内に入れないための、体の防御作用である。
 通常、食物から摂った乳酸菌は、生きたまま腸へ到達できたとしても、体にとっては異物と見なされるため、腸内に定住し増殖することはほとんどないが、胃酸などで死んでしまった乳酸菌も、腸に届き、腸内の善玉菌のエサになるので、腸内環境を整えるといわれている。
 研究開発により、生きたまま、腸まで到達し、定住する乳酸菌を「プロバイオティクス」という。  

健康食品と乳酸菌

 乳酸菌などを生きたまま含んでいる食品を「プロバイオティクス」、腸内の善玉菌の栄養源になるオリゴ糖などの食物繊維やデンプン(糖)などを含むものを「プレバイオティクス」という。
 プロバイオティクスは、抗菌力があり、胃酸にも死滅せず、腸内で定住して増殖し、腸内の環境を整えて体内環境を良くするものを指す。ナリネ菌、L.カゼイ菌などがある。
 プロバイオティクスは「アンチバイオティクス(抗生物質)」の対義語で、抗生物質は腸内の有害な物質を殺傷するが、善玉菌をも殺傷してしまう。

乳酸

 運動などによって、体内でエネルギー源のグリコーゲンやブドウ糖などが使われる(分解される)ときに生成される、有機酸の一種。筋肉などを酸性に傾けるため、蓄積すると疲労を促進するといわれてきたが、最近は、酸化されて(クエン酸回路)、再利用されることから、エネルギー源になるという考え方もある。ミトコンドリア内で分解されて体内(血液など)を弱アルカリ性にする。
 腸内では、乳酸菌のエネルギー源となり、悪玉菌の棲みにくい酸性の環境にする。

オリゴ糖

 腸内の乳酸菌のエサとなるのは、乳糖やオリゴ糖など。ビフィズス菌はオリゴ糖をエサとして乳酸や酢酸を生み出す。
 食物繊維の一種であるオリゴ糖は、大豆やサツマイモ、ゴボウ、タマネギ、バナナ、蜂蜜、醤油、味噌、乳製品などに含まれる。
 2〜10個の単糖が結合した「糖」で、飲料の甘味料などに使われ、カロリーは多少あるが、小腸でほとんど消化吸収されないため、血糖に影響を及ぼしにくいといわれている。
 フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ラクトスクロース(乳果オリゴ糖)、大豆オリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ラフィノース(ビートオリゴ糖)などがある。

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