砂糖

2007.3.22

砂糖 

 砂糖は、甜菜(てんさい)やサトウキビに含まれる糖(ショ糖)からつくられる。
 南太平洋の島原産のサトウキビは、インドで砂糖がつくられ、日本へは、奈良時代に中国から伝わったとされている。当時は、「薬」として献上されていたそうだ。
 白砂糖は江戸時代初期までは外国から輸入していた貴重品で、その後、幕府が生産を奨励して、17世紀前半に奄美大島(薩摩藩)や沖縄(琉球国)でサトウキビから砂糖の製造が始まったといわれている。江戸城で試験的に砂糖がつくられた後、様々な藩でつくられたことから、国内生産でまかなわれ始めるようになり、菓子屋も増え、明治時代以降には庶民の口にも入るようになった。現在も、サトウキビは沖縄や鹿児島で栽培されている。
 18世紀中頃のヨーロッパでは、熱帯でしかつくることができないサトウキビに対抗できる物として、温帯でつくることができる甜菜に目が向けられた。甜菜はサトウ大根(ピート)ともいい、甜菜からつくるものを甜菜糖(ピート糖)という。19世紀後半には、一時的に、サトウキビより甜菜からつくられる砂糖のほうが多くなった。北海道では現在も、甜菜がつくられている。
 他には、サトウカエデからつくられるメープルシュガーがある。

植物と砂糖 

 植物は二酸化炭素と水や養分(窒素、リン酸、カリウムなど)を取り込み、太陽エネルギーで光合成を行なって、酸素や、ショ糖やデンプンをつくり出す。ショ糖やデンプンは、成長や生存のためにつくられるもので、主に芋類は地下茎に、果物は実に、樹木は幹の内側に貯蔵して、分解してエネルギーとして使われる。
 サトウキビは「茎」に、甜菜は元々は「種」に貯蔵していたが品種改良されて「根」にショ糖を貯めている。

砂糖の成分 

 砂糖の主成分は糖質(糖類)の一種、ショ糖(二糖類)である。糖質の中でも体内への消化吸収が早いため、素早くエネルギー源となる。
 糖は結合の個数によって、単糖、二糖、三糖・・多糖類に分けられる。ショ糖は二糖類で、ご飯などに含まれるデンプン(炭水化物)やセルロース(食物繊維)は多糖類になる。糖が多く結合しているほうが甘味は少なくなる。
 ショ糖(二糖類)は分解されて、単糖類のブドウ糖と果糖に分かれる。
 ブドウ糖は脳や神経、筋肉、心臓など内臓のエネルギー源として欠かすことのできないもので、特に脳には、通ることができる物質を選り分ける「血液脳関門」があるため、唯一、ブドウ糖が大切なエネルギー源となる。1日に脳で使われるブドウ糖は約120gといわれており、脳はブドウ糖を貯蔵できないので、不足しないように食物で補給しなくてはいけない。
 ただし、周知の通り、消費量より多く摂りすぎると中性脂肪、肥満、糖尿病などを引きおこす。ちなみに砂糖1gあたりのカロリーは4キロカロリーである。
 また、砂糖を摂るとビタミンB1が不足するといわれているのは、ビタミンB1が、糖を分解する補酵素として使われるためで、炭水化物や果物(果糖など)にも同じことがいえる。
 砂糖の有害論が最初に出始めたのは昭和の初期頃。戦後になると、砂糖は酸性食品で、カルシウムを奪うので骨を弱くするといわれたそうだが、根拠はない。

サトウキビを砂糖(結晶)にするまで 

 サトウキビの茎を砕いて絞った汁から不純物を取って煮詰めると結晶ができる。それを遠心分離機にかけて、結晶にはならない溶液(糖蜜)を分離する。糖蜜を除いたものをお湯に溶かし、さらに不純物を取り除くと無色透明の糖液ができる。さらに煮詰めて結晶をつくり、遠心分離機にかけると砂糖の結晶ができる。

砂糖(グラニュー糖)と結晶 

 結晶が小さくなると、光が反射するため白く見えるが、白い砂糖も結晶は無色である。

 粉砂糖・・・グラニュー糖の結晶を粉砕したもの。粒子が小さいため、空気中の水分を吸って固まりやすい。
 顆粒状糖・・・市販のヨーグルトなどに添えられている砂糖。粉砂糖を顆粒状にしたもので、結晶になっているものより密度が低い(空気が多い)ため、溶けやすいが、甘味を感じにくい。料理で使うときは分量を1.5倍くらいにするとよい。 
 グラニュー糖・・・上白糖より結晶が大きく、上白糖より純度が高い。
 ザラメ糖・・・グラニュー糖より結晶が大きい。白双(ざら)糖は無色で、白双糖より純度が低い中双糖は、表面にカラメル(ショ糖を170℃くらいで煮詰めたもの)をかけるため黄褐色で独特の風味があり、煮物や飴などに使われる。
 角砂糖・・・グラニュー糖に、純度が高い砂糖液を加えて成形・乾燥させたもの。1個の重さが同じなので料理に使いやすい。
 氷砂糖・・・最も大きな砂糖。結晶を育てて砕く「ロック」と、結晶を育てて大きくする「クリスタル」がある。どちらかといえば、砕くため表面が凸凹して表面積が大きくなっている「ロック」の方が溶けやすい。氷砂糖は、他の砂糖より溶けにくく、液体濃度が徐々に変わっていくため、果実酒をつくるのに向いている。グラニュー糖が原料なので純度も高く、風味を変えることもなく、無色なので果実酒の色を損ねることもない。余談だが、氷砂糖のことをrock sugarやcrystal sugarあるいはsugar candyという。

砂糖と精製度 

 精製度が高いほど甘味は上品になり、低いほど独特の風味で甘味も濃厚に感じられる。

 上白糖・・・グラニュー糖より精製度が低い。甘味は三温糖と同じくらいだが、三温糖の独特の風味や色がないので、万能型。
 中白糖・・・上白糖より精製度が少し低く、薄い黄色。
 三温糖・・・黄褐色で、中白糖よりさらに精製度が低く、ミネラルなどが少し残っているため特有の風味と強い甘味が佃煮や煮物に合う。
 黒砂糖・・・サトウキビの絞り汁をそのまま煮詰めたもので、糖蜜は分離されていない。濃厚な風味と甘味がある。
 液糖は、糖蜜を分離した砂糖を液状にしたもの。溶かす必要がないので主に業務用で使われる。

砂糖の特性 

 たった200ccのお湯(100℃)に、1kgの砂糖が溶ける。
 他の素材が持つ水分を抱え込む性質があり、素材からの水分の蒸発を防ぐ。
 素材の水分を抱え込むため、微生物が繁殖しにくくなり、保存性を高める。砂糖を多く(50%以上)使ったジャムの防腐効果も水分が少なくなっているため。
 イースト菌などのエサになるため、パンをつくるときの発酵を助ける。
 油やビタミン(フルーツジュースなど)の水分を砂糖が抱え込んでいるため、酸素が入りにくくなり、酸化しにくくなる。
 凍る温度を低くして、タンパク質が固まる温度は高くする。

砂糖の甘味 

 料理に砂糖を使うとき、塩を少し入れると砂糖の甘味を引き立たせる。カレーに少し砂糖を入れるとおいしくなるのは、砂糖の甘味が他の味を引き立たせてくれるため。
 味は、舌の4本の味覚神経から脳へ伝わって感じる。脳へ伝える早さは「苦味」が一番早いが、舌の先で「甘味」を強く感じるため、甘味は他の味より感じやすい。また、甘味があることで、他の味もバランスよく感じることができるそうだ。
 ちなみに、西洋の「酸味、甘味、塩味、辛味」(四味)に 中国の「苦味」(五味)が加わり、それに「旨味、渋味」が加わったものが日本の七味で、それぞれ味の基本になっている。

砂糖と料理 

「さ(砂糖)・し(塩)・す(酢)・せ(しょうゆ)・そ(その他)」の順に調味料を入れるのは、塩のほうが砂糖より分子が小さく素材に溶け込みやすいので、砂糖の味を先に溶け込ませるため。
 砂糖は、煮物のつやを出し、素材の舌触りを良くする。
 シイタケなどの乾物を戻すときは、砂糖を少し入れると素材の中に水が入るので戻りが早くなり、煮物の際には少量加えると、素材にダシが染み込みやすくなる。
 ただし、一度にたくさん入れると浸透圧で、逆に素材の水分を出してしまうので注意。たとえば豆などを煮るときに一度に砂糖を入れると固くなるが、少しずつ入れると、ふっくらとできあがる。
 その逆が、果実酒である。梅酒などで、梅のエキスをゆっくり抽出するには溶けにくい氷砂糖が適している。
  お菓子は砂糖の保水性でふっくらできあがり、時間が経っても砂糖を使った餅菓子やカステラ、すし飯などは固くなりにくい。
 砂糖の防腐性を利用したのが、砂糖を分量の50%以上使う砂糖漬けや、ジャム、羊羹などの和菓子。砂糖漬けには白ザラ糖が向いている。砂糖は、ジャム用に使うフルーツに含まれるペクチン(食物繊維)がゼリー状になるのも助ける。
 シャーベットやアイスキャンデーに含まれる砂糖は、凍る温度を下げるため、室温でもすぐに適度な軟らかさになる。逆に、タンパク質が固まる温度は高くするので、卵焼きなども砂糖を入れるとふっくらできあがる。肉の下ごしらえに砂糖を揉み込んでおくと、肉のタンパク質(コラーゲン)に水が溶け込みやすくなり、肉が固くなるのを防ぐ。
 ココアや片栗粉は、先に砂糖を入れて溶かすと水分が混ざりやすくなるので、ダマになりにくい。

砂糖(和三盆) 

 有名な「和三盆」(三盆白)は、徳島でつくられるため「阿波和三盆」ともいわれる。手作りで大変な手間が掛かるが、結晶が小さく、水に溶けやすく、その味が好まれて、果物にそのままかけたり、和菓子には欠かせないといわれている。竹糖という種類のサトウキビの絞り汁から、糖蜜(煮詰めても結晶にならない溶液)を分離させた淡黄色の砂糖。
 絞り汁を釜で煮詰めて褐色の「白下」をつくり、水を加えて練り(研ぎ)、搾ったものにさらに重しで圧力を加えて糖蜜を分離させる。それに水を加えて、練って搾る作業を3回以上繰り返すことから「和三盆」と呼ばれる。実際には5回くらい行なわれるそうだ。
 ちなみに和菓子によく使われる小豆にはレシチンが含まれていて脳の細胞膜を健康にするので、さらにブドウ糖を取り込みやすくしてくれる。

低カロリー甘味料&シュガーレス甘味料

 低カロリー甘味料には、糖に水素添加することで体内に消化されにくくなることを利用した物と、カロリーは同じだが甘味が強い分、少量で済む非糖質系天然甘味料(ステビア、グリチルリチンなど)や非糖質系合成甘味料(サッカリン、アスパルテームなど)がある。
 シュガーレス甘味料といわれる物にはキシリトールやスクラロースなどがある。甘味はショ糖に比べて50倍以上。

アスパルテーム・・砂糖の約200倍の甘味がある。1gあたり4キロカロリーだが、アミノ酸(
アスパラギン酸フェニルアラニン)からつくられるため、血糖値に影響しない。
キシリトール・・植物に含まれる糖アルコールの一種。白樺やトウモロコシの芯から摂れるキシラン(分解してキシロースを得る)からつくられる。甘味、カロリーともに砂糖の約60%〜75%くらい。
スクラロース・・1999年に食品添加物に認められる。原料はショ糖だが、甘味は約600倍くらい。

バックナンバー

サイトマップ

mail

法令に基づく場合などを除いて、個人情報をご本人の同意を得ることなく第三者に提供したり、開示したりすることは致しません。

copyright(c) SOMETHING ELSE Co.,Ltd. 2012 all right reserved  since2006



ページtopへ