おいしさor老化=AGEs

2011.10.10

 たんぱく質(アミノ化合物)+還元糖に熱を加えると褐色に変化して、おいしい味や香りをつくりだす。これをメイラード反応(Maillard Reaction アミノカルボニル反応の一種)という。1912年、フランスの科学者 ルイ・カミーユ・マイヤール(Louis Camille Maillard)博士が発見したことから、この名が付いた。
 120℃以上の高温料理や、低温でも調理時間が長いもの、たとえばパンやドーナッツ、味噌、ステーキなどが、メイラード反応を利用したおいしい料理である。
 1960年代になると、生体内では、(たんぱく質、脂質+糖)×時間(加齢)が、体内年齢を進めることがわかってきた。料理ではおいしさをつくり出す糖や熱、時間は、老化促進の要因となるようだ。
 糖に酵素が触媒となって起こるグリコシル化反応(glycosylation reaction)では、結合された側の分子も働きを損なわない。しかし、糖(フルクトースグルコースガラクトースなど)がたんぱく質や脂質と結合する、糖化反応(Glycation)では、特定の結合位置が決まっていないため、分子の働きが損われてしまうことが関係しているようだ。
 糖化の初期反応で生成される化合物(ヘモグロビンA1c、グリコアルブミンなど)は、糖化反応を急速に早める。様々な生成化合物が分解されて、脂質過酸化反応由来のアルデヒドや、糖の酸化でAGEs(Advanced Glycation End-products 終末糖化産物)を生成する。
 AGEsは糖化反応による生成物の総称で、ペントシジンなどがある。

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 アメリカ・マウントサイナイ医科大学のヘレン・ブラッサラ(HELEN VLASSARA)氏は2004年、食材別のAGE量を世界で初めて明らかにした。
 もっとも少ないのは牛乳、そして野菜、炭水化物。多いのは脂肪の多い食品、肉、魚。ただし、もともと食材に含まれる量はそれほど多くはなく、調理法が重要になる。
 焼き鳥、唐揚げ、鶏の水炊きの中では、唐揚げが水炊きの約10倍になる。ゆで卵、スクランブルエッグ、オムレツ、目玉焼き(調理時間5分)の中では、目玉焼きが多くなる。
 ポイントは料理の温度や時間で、促進材となる脂肪や糖が加われば、さらにAGEsの量が増える。
 1990年代には、免疫学の研究から、糖尿病性血管合併症(心筋梗塞、網膜症、腎症など)、動脈硬化、認知症などでAGEsの沈着が認められたが、沈着が病気を誘発しているのかどうかはまだ確認されていないそうだ。

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 体の細胞はタンパク質でできている。糖が血管中に増え(血糖値が高くな)ると血管が糖化し、動脈硬化となり、さらに、多くなりすぎた糖が血管の外にしみ出して、DNAや神経細胞、水晶体(目)、骨、軟骨、皮膚など様々な部位が糖化(老化)することになる。
 全身で細胞の接着剤のような役割も果たしているコラーゲン(繊維状のタンパク質)は一度、糖化が起こると、元に戻りにくいといわれている。代謝が遅い(寿命が長い)ものは糖化のダメージを受けやすい。
 70%がコラーゲンでできている皮膚(真皮)は糖化により、弾力性が低下して、シワやたるみ、シミなどをつくる。
 骨は約30%がコラーゲンでできている。AGEsが溜まると茶色に変色し、脆く骨折しやすくなる。関節の軟骨に溜まると、腰痛やひざの痛みにつながる。
 目の水晶体、網膜、血管などに蓄積すると目の病気を引き起こす。

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 食事を摂ると体内でエネルギー源となる糖の値が一時的にでも増える(血糖値が上がる)ことは避けられない。健康な人にとってはさほど問題ではないが、血管が老化している人には好ましくない。
 まず必要以上の食事量で糖を増やすことは控えること。
 少しでも緩和させるためには、食物繊維の多い食材、野菜などを先に食べることが有効。人間の腸は食物繊維を分解しないため、食物を消化吸収する時間がゆっくりになり、血糖値が上がりにくくなるというのがその理由。
 また、食物繊維は、腸内で水分を吸って膨らむため、空腹が満たされたと脳が感じることで、食事量を抑制したい人には一石二鳥とか。
 食事をしたらごろりと横にならず、歩くなどの軽い運動をして、糖をエネルギーとして使うと、血液中の糖の値を急激にあげないために良いそうだ。

 
 
参考:ためしてガッテン NHK 2011年5月18日放送

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