高血圧と腎臓

2006.5.7

腎臓とは

 腎臓は、腰のやや上に、背骨を挟んで左右にある握りこぶしくらいの大きさの、空豆のような形をした臓器。この小さな臓器には、心臓から流れ出る血液の約1/5が送り込まれていて体内で最も血液が流れ込む臓器でもある。
「肝腎要」という言葉通り、大切な役目を担っているが、腎臓はどちらかといえば裏方である。しかし、働きが鈍ると、疲れやすくなり、吐き気や食欲不振、血圧上昇、体内の毒素が排出されなくなって呼吸困難や意識障害などを起こす尿毒症になり、心臓機能をも低下させる。
 腎臓には予備力があるため、症状が表れる頃にはかなり悪化していることが多く、注意が必要である。

水分、電解質、PH調整と老廃物濾過

 体内の約60%は水分でできている。そのうち、2/3は細胞内に、1/3は細胞外にあり、細胞外液は細胞を保護している。
 腎臓は、この体内水分を常に一定に保つ役割を担っている。たとえば、外気温が高くなり、水分をたくさん摂ると、血液濃度が低くなったことを脳がキャッチして、抗利尿ホルモンの分泌を抑える作用が働き、薄い尿を大量に排泄する。逆に水分が足りなくなると、濃い尿を少量排泄するのである。
 また体液を弱アルカリ性に保つため、酸とアルカリの調整も行なっている。
 細胞外液の組成や量の調整の他に、電解質の濃度調整も行なっている。
 電解質とは血液中に溶けている塩類(ナトリウム、カリウム、カルシウム、リン、マグネシウムなど)で、プラスかマイナスの性質を持っており、この割合も一定に保たれているが、ナトリウムが急激に低くなると意識を失い、カリウムが上昇すると不整脈などが表れる。
 体内に溜まったあらゆる老廃物の中で、水に溶けやすい窒素系老廃物の尿素、尿酸、
クレアチニンなどは、尿として排泄される。これも腎臓の大切な働きである。これらの老廃物は、タンパク質が体内で分解された後にできる有害物質で、排泄されずに溜まると尿毒症を引き起こすからである。
 つまり、腎臓に血液量が最も多く流れ込むのは、老廃物を含む血液を循環させて濾過するため。濾過後の99%は、尿細管から血管へと流れて栄養分を再吸収するという、生命維持のためにすばらしい仕組みになっている。しかし、このため、高血圧になりやすいともいわれている。

造血ホルモン生成・丈夫な骨をつくる

 腎臓でつくられる造血ホルモン「エリスロポエチン」は、骨髄の造血幹細胞に働きかけ、肺の酸素を体内に運ぶ役目の赤血球の生産を促している。そのため不足すると腎性貧血になる。
 また食物から摂取できるビタミンDは、体内で活性型ビタミンDとなり、腸からカルシウムを吸収して骨を丈夫にする働きを持っているが、活性型ビタミンDに変化させるのは肝臓や腎臓である。

高血圧と腎臓

 心臓から腹部大動脈、左右の腎動脈を通り、腎臓に送られた血液は、老廃物を濾過した後、腎静脈、下大静脈を通ってまた心臓に戻る。濾過装置は糸球体と呼ばれる毛細血管とそれにつながる尿細管などからできており、この構造単位はネフロンといい、1個の腎臓には約100万個のネフロンがある。このため、腎臓は予備力が大きいのである。
 腎臓に大量の血液が流れてくると糸球体は簡単に壊れてしまうため、通常は輸入細動脈が収縮して血液量を調整している。血圧が低下すると腎臓の糸球体にある細胞は、レニンというタンパク質分解酵素を分泌する。レニンは、血液中のタンパク質に働きかけて、血管の外側の平滑筋を収縮させて血圧を上げる「アンジオテンシンII」をつくりだす。
 しかし高血圧になると、腎臓の毛細血管も動脈硬化を起こし、血液が流れにくくなるため、血液量が低下していると勘違いしてしまう。するとレニンの分泌がなされ、血圧を高めるという悪循環が生じてしまうのである。

腎臓の7つのはたらき 

 以上、腎臓には7つの働きがある。
1.体内の水分量調節
2.体内老廃物の排泄
3.血液中の電解質の調整
4.体液を弱アルカリ性に保つ
5.造血ホルモンをつくる
6.ビタミンDを活性化して骨を丈夫にする
7.血圧の調整

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