活性酸素ってなに?

2006.6.5

酸素の誕生と活性酸素

 誕生したばかりの地球は、厚い雲に覆われ、雨が降り続き、雷が鳴り響き、大気は二酸化炭素、一酸化炭素、窒素、水蒸気などで覆われていた。
 気温が少し下がった頃、大気中の水蒸気が大量の雨を降らせ、硫化水素の海をつくる。約35億年前にようやく最初の微生物が誕生し、約30億年前には酸素を必要としない生物(嫌気性生物)が海中に誕生する。
 約25億年前に、雲が薄くなったため太陽光のエネルギーを利用して生きる微生物(好気性生物)が誕生し、その微生物が、エネルギーをつくり出す光合成の過程で酸素を生み出したため、大量に増えた酸素の毒(活性酸素)で嫌気性生物を、ほとんど死滅させてしまう。
 大気中の酸素(O
2)は、紫外線と反応してオゾン(O3)を生み出し、地上10〜50kmほどの上空でオゾン層をつくった。オゾン層は紫外線の中で最も波長が短く、なかでも生物にとっては最も有害なC波(UVC)を反射、吸収してくれている。ちなみにオゾン層の外側にある電離層(地上約80km〜500km)では、放射線(X線)を反射して地上に届くのを遮っている。
 好気性生物は、嫌気性生物と違い、酸素を利用して効率よくエネルギーをつくり出せるようになった。人間も同じで、摂取した食物を、ブドウ糖やアミノ酸に分解して腸で吸収し、血液を通って細胞内のミトコンドリアへと送られたものと、細胞内にある酸素を利用して、エネルギーをつくり出している。と同時に、活性酸素もつくり出されるようになったのだ。

酸化とは

 リンゴの皮をむくと空気(酸素)に触れて、色が変色する。これが酸化である。むいたリンゴを塩水につけると、先に塩化ナトリウムと結びつくため酸化が起こらず変色が抑えられる。
 こう書くと、酸化とは、酸素がプラスされることのように思うが、科学的にいうと「物質が電子を失う化学反応」のことで、この逆の作用を
「還元」という。
 たとえば、酸素分子(O2)は、酸素原子(O)が2個結びついており、酸素原子は1つの原子核に、対になった3つの電子と2つの電子の、計8個の電子を持っている。対になっていない電子は不安定な状態のため、他の酸素原子から電子を奪って安定しようとする。この時、電子を奪われた酸素と、電子が対になった酸素ができるが、この反応が次々と起こり、電子を奪われて酸化した酸素は活性酸素へと変化しやすくなる。
 活性酸素が多くなると、体内の脳細胞なども含めて、あらゆる組織を酸化させて、そのうえ細胞内の遺伝子も傷つけるため、老化や生活習慣病、ガンなどの疾病を引き起こす原因となる。
 人間の体は約60兆個の細胞でできているが、その細胞膜は脂肪酸のため酸化しやすく、酸化すると過酸化脂質に変性する。過酸化脂質もまた、細胞内の遺伝子を傷つける。
 酸化は、加齢によるホルモン分泌の衰え、免疫力の低下、体内機能の低下や障害など、あるいは生活習慣(食生活や運動・睡眠不足、喫煙、過剰な飲酒など)や、生活環境の悪化などでも起こりやすくなり、体内の老化をますます促進するため、「体内の酸化=老化」ともいえるのである。

抗酸化物質(スカベンジャー)

 活性酸素の発生を抑制し、修復する役割を持つ物質を「抗酸化物質」という。
「酵素(こうそ)」「ビタミン」「ミネラル」「カロテノイドポリフェノールなどの色素」などがあり、これらは互いに補い合って機能するが、体内で生成されるものと、食物から摂取しなければ生成できないものがある。
 体内の様々な組織やホルモンなどを生成し、重要な栄養源ともなるタンパク質は、抗酸化物質の機能を高める働きもあり、バランス良く摂ることが必要である。

脂質(脂肪)と活性酸素

 脂質は、タンパク質、炭水化物とともに三大栄養素の一つである。脂肪酸とグリセリンの結合からなり、胃ではほとんど消化されず、十二指腸で胆汁と混じり、小腸で分解酵素によってようやく消化される。タンパク質や糖質に比べると、効率の良いエネルギー源になるが、余分なものは中性脂肪(貯蔵脂質)として、いざという時のために細胞に蓄積されるため、過剰に摂ると肥満や動脈硬化などを招く。人間の細胞膜も脂肪酸でできている。
 脂肪酸には、肉や乳製品などの動物性脂質(飽和脂肪酸)と、植物性の油脂などの植物性脂質(不飽和脂肪酸)があり、不飽和脂肪酸には魚類などの脂質(高度不飽和脂肪酸/多価不飽和脂肪酸)や、オリーブ油に含まれるオレイン酸など(一価不飽和脂肪酸)がある。
 リノール酸(不飽和脂肪酸)や、αリノレン酸(高度不飽和脂肪酸)など、体内で生成されず食物から摂らなければならないものを必須脂肪酸と呼び、不足すると体調を崩す原因となる。
 動物性脂質は酸化しにくいが、大量に摂るとコレステロール量が高くなる。
 植物性脂質は、コレステロールを下げて動脈硬化などを抑制する働きがあるが、動物性脂質より酸化しやすいため、逆に動脈硬化の原因となりやすいともいわれている。油を使ったスナック菓子、加工食品などや、揚げ物などに使われる油は、不飽和脂肪酸を多く含んでいる。酸化しやすく、古くなったものは摂取しない方が良い。
 魚の脂に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)は、血液をサラサラにする働きなどがあるが、やはり酸化しやすいため、新鮮なうちに抗酸化物質とともに摂ると良い。

過酸化脂質と活性酸素

 脂質の主な構成成分である脂肪酸は、酸化すると過酸化脂質となり、細胞内の遺伝子を傷つける。過酸化脂質は、通常は腸内で分解され、肝臓で解毒されるが、その代謝の過程でもまた活性酸素が生成される。

コレステロールと活性酸素

 コレステロールは脂質の一種で、体内の細胞などの構成物質となり、ホルモンなどの材料となる。体内のコレステロールは、食物から摂られた物は少なく、ほとんどは体内の組織や器官で合成される。
 LDL(悪玉コレステロール)は動脈硬化などを引き起こすが、HDL(善玉コレステロール)は過剰な悪玉コレステロールを回収し、動脈硬化を防ぐといわれている。
 しかし、血液中から細胞内に取り込まれた悪玉コレステロールには、本来、細胞を構成し、エネルギーとして使われるという役割もある。ただ、過剰になると、血管に入り込み、活性酸素で変化して変性悪玉コレステロールになる。
 この変性した悪玉コレステロールが実は、動脈硬化の原因なのである。

加工食品と食品添加物と活性酸素

 加工食品は、加熱処理される際に酸化が起こる。また、保存性や嗜好性などを高めるための食品添加物は、体内で異物と見なされて攻撃され、肝臓で解毒処理される。その際、活性酸素が発生する。

免疫

 空気中にはホコリやカビ、病原菌、有害な化学物質などが浮遊しており、呼吸とともに体内に入ってくる。また、傷ができると、そこから病原菌が体内に入ってくる。そこで、体内には防御する機能が備わっており、それを「免疫」システムという。
 体に異物(毒素、ウイルス、細菌などの「抗原」)が入ると、血液中の白血球が攻撃するが、「好中球」は活性酸素で攻撃、「マクロファージ」はまるごと病原菌を取り込んで活性酸素や酵素などで撃退し、「リンパ球」は、一度攻撃した異物を記憶して「免疫抗体」をつくる。
 しかし、加齢などの理由で、正常な自分の細胞をも攻撃してしまうことを「自己免疫」と呼び、様々な疾病につながる。

ガンと活性酸素

 細胞は、古くなると新しい細胞と入れ替わる(新陳代謝)。一個の細胞の中の何万個もある遺伝子(DNA)の情報も再生するが、なんらかの原因で傷ついた遺伝子は、再生する時に、誤った情報で細胞を再生してしまう。
 また、人間の細胞の中には「ガン遺伝子」もあり、通常は眠った状態だが、遺伝子が傷つけられると、「ガン細胞」へと変異する。
 ウイルスや、ガンを発症させる原因となる煤煙や排気ガスなど(発ガン物質)、放射線(X線)なども遺伝子を傷つけ、同時に活性酸素を発生させる。
 一つできたガン細胞は、分裂し、増殖し、長い年月をかけて体内を蝕んでいく。
 しかし、体内には、活性酸素を除去する抗酸化物質や、「ガン抑制遺伝子」、「DNA修復遺伝子」もあるため、すべてのガン細胞が増殖するわけではない。

ストレスと活性酸素

 血液は栄養や酸素を体の隅々へ運んでいるが、強いストレスを感じると、脈泊や血圧や血糖値が高くなり、血流が悪くなることもある。ストレスを感じると自律神経の交感神経が、ストレスに対抗するため副腎皮質ホルモンを分泌する。副腎皮質ホルモンは免疫機能を低下させてしまうため、疾病にかかりやすくなる。副腎皮質ホルモンを分解したり、血流を正常に戻す時にも活性酸素が生まれる。

激しい運動と活性酸素

 体内で行なわれるいろいろな反応(代謝)には、酸素が必要となる。たとえば、脳や心臓は絶えず活発に動いているため、大量の栄養と酸素が必要となり、運動している時の心臓は安静にしている時の9倍くらいの酸素量を必要とするともいわれている。つまり、激しい運動を続けると、それだけ代謝も活発になるのである。また、基礎代謝量(生命維持のために必要な基礎エネルギー量)の多い男性の方が、代謝も活発なため、より多くの酸素を必要とし、活性酸素も生まれやすくなるといえる。
 適度な運動は健康のために不可欠だが、激しい運動は活性酸素をつくり出す原因にもなっているのである。

紫外線と青色光線と活性酸素

 日光を浴びないと病気になり、丈夫な骨をつくるためにも必要なものである。
 しかし、長時間日にあたると、紫外線は皮膚に炎症を起こし、細胞を酸化させて活性酸素をつくり出し、シミやシワ、たるみなどを引き起こすだけでなく、細胞内の遺伝子を傷つけてしまうのである。
 紫外線は5月〜8月にかけて、時間帯は10時〜14時頃にピークを迎えるが、冬や曇りや雨の日も紫外線は存在している。
 室内にいても窓ガラスは素通しし、白などの薄い色の衣服も紫外線を通してしまう。晴れた戸外では、様々な場所に反射するため、帽子や日傘だけでは紫外線を避けるには心許ない。
 特に、常に水分(涙)で潤っている目は、水分と反応して活性酸素をつくる紫外線に直接さらされており、サングラスで保護することが視力低下や、白内障や黄斑変性症などの予防になる。
 また、パソコンやテレビ、蛍光灯などが発する青色の光線(可視光線)も、紫外線同様、目の細胞の酸化を促進するため、長時間の使用には注意が必要である。 

環境汚染と活性酸素

 農薬や、洗剤などの生活排水が水質を汚染する。排気ガス等に含まれる窒素酸化物やイオウ酸化物が上空に上がり、紫外線と反応して、酸性雨となって地上へと降り注ぎ、植物は枯れ、地中に有害物質を蓄積させている。
 現代は、様々な要因で、大気や、食物が育つ地中などが汚染されているーーこれが環境汚染である。
 冷蔵庫などに使われたフロンガス(クロロフルオロカーボン)は、人体には無毒だが、紫外線により分解され活性酸素の仲間となりオゾン層を破壊するため、有害な紫外線が人間にダメージを与えやすくなっているともいわれている。また、建材などに使われる化学物質は、アレルギーを引き起こし、体内で活性酸素も増やしている。

活性酸素の利用

 活性酸素の一つである過酸化水素は「オキシドール」とも呼ばれ、雑菌を酸化して、消毒や殺菌、漂白剤に使われている。
 布団や本を太陽光に当てて干すのは、含まれる水分と紫外線が反応して活性酸素が生成されることにより、ノミやダニ、雑菌などを死滅させるためである。

 活性酸素は、体内でも病原菌などの異物をやっつけてくれている。言い換えれば、それは正常な細胞(体)にとっても強力な殺傷力になっているともいえるのである。

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