采配と菜配

2006.4.2

 采配とは、「紙の幣(しで)の一種。昔、戦場で大将が手に持ち、士卒を指揮するために振った道具。厚紙を細長く切って作った総(ふさ)を木や竹の柄につけたもの。色は白・朱・金・銀など」(「大辞泉」より)
 采弊(さいはい)とも書き、そのしぐさから「采配を振る」と言うが、指揮をとる、指示することを指す。また、采配をとる(採る)とも言う。
 この「采配」、実は「菜配」から来ているという説があるらしい。
「菜」は、ご飯やお酒に添えるおかず、副食物のこと。
 つまり、「菜配」とは、栄養バランスなどを考えて心配りされた食事のことを指しているのだ。
 戦場で振る「采配」はモチベーションUPには有効だったと思うし、現代でも、プロスポーツの試合などで監督が采配を失敗すると、ヤジが飛び、翌日のスポーツ新聞にはかわいそうなほど書きたてられてしまう。仕事での采配ミスは重大で、どんな最悪の結果を招くかわからない。頭を下げて済むという問題ではない場合もある。
「采配」を振るには、神経の細やかさと大胆さ、見極める力、責任と、外的および内的抑圧などがつきまとうため、ひどい時には夜も眠れなくなり、ストレスも溜まる。
 そんな時、核となる栄養バランスが悪いと大変だ。
 結婚したてで専業で主婦業をしていた女性が、体の調子が優れないため病院に行ったところ、医者に「栄養失調」と言われて驚いたという話を聞いたことがある。
 十分な食事を取っていると思っていた彼女はその言葉にまずびっくりしたが、医者の口から「栄養失調とは、食事が不足していることだけではなく、バランスが崩れていることも指します」と聞いて、言葉を失ったそうだ。仕事や育児などで食事をつくることがままならないわけではなく、「料理は得意だと思っていたのに、失格と言われたみたいで、そちらのショックが大きかった」と笑いながら教えてくれた。彼女の話を聞いていると好き嫌いが多く、どうも食材がかなり偏っていたようだ。
 昔は「男子厨房に入らず」で、食事をつくるのが女性の主な仕事の一つとされてていたようだが、最近は女性も仕事を持っていることや、一人暮らしが増えたことなどにより、食事のバランスが取りにくく不規則になっている傾向もあるようだ。そのうえ食事制限による過激なダイエットが加わってくることで、昭和30年代以前の食料が不足していた世代よりも、若い世代の方が体内機能が衰えているとも言われている。子供たちの骨はもろくなり、すでに生活習慣病の予備軍もいるらしい。
 大気汚染や有害物質による環境や食材の変化はあるにしても、食生活の乱れの原因の一つ、好きな物だけの過剰摂取が多いことや、「食育」という言葉が見直されているのを見ても、やはり食事は大切なのだということを改めて感じさせられた。
 采配を振るのも大変だが、精神的にも肉体的にも健康でいられるための、毎日の「采配」も重要。
 大志を抱き、偉業を成し遂げた偉人たちが、実はそのうしろで「菜配(采配)」をふるっていた奥方たちに頭が上がらなかったのも、わかるような気がする。

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