なぜ、嫌いですか?

2009.8.31

 会社の名刺は手作りである。
 撮った写真を使いたい放題なので、その中から好きなものを選んで時々作り直す。1回につき10種類ほど写真を選ぶ。名刺の片面は、全面、写真である。
 ある時、ふとした好奇心で、どれか好きな写真をどうぞ、といって相手に広げて見せた。
 すると、驚いたように写真を見て「これもいいけど、どうしようかな」と迷いながら1枚選んでくれた。
 時々、ずっと、考え込む人がいるので、両方どうぞ、というと、喜んでくれる。考えてみると、名刺なんだけどな〜とも思う。
 なかには、次にお会いした時に、自分もつくったと写真入りの名刺を見せてくれる人もいる。
 
 自分で選んで渡すときには、相手のイメージで選ぶ。どれを選ぶか勝手に推測しているのも楽しい。
 たまに、まったくイメージとかけ離れたものを選ぶ人がいて、興味を引かれる。ある時、「配色がきれいだから」という言葉を聞いて、気が付いた。
 写真は夕暮れの写真で、その人の印象とは合わなかった。
 もちろん、毎日、体調が変わるように、気分も変わるから、その1枚だけで推測するわけにはいかないが、夕暮れ時の、つかみどころのない、もの悲しいようにも思える、その写真は、色だけは、どの写真よりも明るかった。
 
 こんなことがあった。
 レイアウトのラフを見せると、今回は背景色に変わった色を使ってみたいといわれた。どんな色をイメージしているかと聞くと、考えた末に「紫」という答え。
 そのときのイメージとしては、避けた方が良いかもしれないと思う色ではあったが、新鮮でおもしろいかもしれないとも思った。
 そこで、できるだけイメージを壊さないような紫の色を選んで差し替えた。それに合わせて、他の部分の色も少し変えた。
 爽やかなイメージは薄れたが、インパクトは強くなった。紙面の中で注意を引くという意味では良いかもしれない。なんにせよ、目を止めてもらえなければ意味がないのだから。
 担当者はとても気に入ったようで喜んでいた。しかし、翌日、「前の方がいいという意見が多数だった」ので、元の色に戻したいと伝えられた。
 なんとなく、予測は付いていた。でも、担当者がいろいろ考えて、色で何かを伝えようとしていたことだけはよくわかった。
 
 色の印象は、「形」より強い。
 たまたま、その色が嫌いなだけで、中身を見ようともしない人いる。
 好まれる色は、国によっても違うようで、色のイメージの受け取り方も違う。誰もが好むブルーを「暗い」、という人もいる。
 色を組み合わせることによって、単色ではつくれないイメージをつくりだすこともできる。
 2色の配色で選ぶカラーの占いがある。自分でやってみると、選ぶものは、時々違うが、まったくといっていいほど目に留まらない配色がある。
 しかし、その配色を絶妙なバランスでさらりと着こなしている人に出会って、その色に対する捉え方が変わったことがあった。
 嫌いな色には、良くない思い出があるのかもしれない。あるいは、味と同じように自分の無知のために生じたものもあるのかもしれない。
 チャンスがあったら素直に受け入れてみる。あえて、「好きになろう」なんて思わずに、あくまでも素直に。
 すると、好きにはなれないけれど、嫌いな理由がわかってきて、嫌いではなくなることもある。

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