ムシキング

2006.3.19

 知り合いの子供が「ムシキング」にはまっていると聞いた。ゲーム機でカードを買って、甲虫同士を戦わせるものだという。メンコのデジタル版のようなものらしい。「見てみてね」と母親に言われたのを思い出して近所のおもちゃ屋さんで探してみたが、こんなものは見るだけでわかるはずもなく、かといってカードを買うことまでは、さすがの私も躊躇した。
 しばらくして、偶然、「ムシキング」がTV放映されるということを知った。さっそくメールで知り合いに知らせたところ、ないという。実は、地方なので放映日が違ったらしい。ふとした気まぐれで、第一話を録画予約してしまった。それから毎週、なぜか録画で見つづけている。
 先週は、ようやく一番の謎が解けた。「う〜ん、思っていた通りだった」と一人で悦にいっているのだが、私の周りに、この会話ができる相手はいないので、わかちあえないのが残念だ。
「ムシキング」が火付け役となり、去年の夏休みには、あちこちで昆虫のイベントもあったので、なかには小さな子供がいなくてもNewsとして知っている人はいるかもしれない。私も知っているのはTV版だけで、詳しいわけではない。たぶん、子供たちが一番関心を持っている、甲虫の名前や技まではわからない。というよりは、ひとまとめにしてしまうと、私は黒い虫があまり好きではないのだ。
 最初に興味を持ったのは、「甲虫が叩きつけたりするシーンが、とても残酷なのよ」という知り合いのひとことだった。子供向けで、そんなに残酷なシーンがあるんだろうか、と思ったのがきっかけだった。しかし、いままでTVを見てきた限りでは、それほど残酷と思えるシーンはない。それともゲーム機ではもっと過激なのかもしれない。それとも単に感受性の違いなのかもしれない。
 いい年をして漫画を読むなんて、と年配の方からの批判もあるが、一概に漫画やアニメのレベルを決めてしまうものでもない。「なかなか奥が深い」のである。文章で書き直せば、哲学の本が一冊くらい十分書けると思う。「どんなことにもくじけずに、前向きに生きよう」というメッセージは、ほんの基本レベルなのだ。
 しかし、これを見ている子供たちに、こんな酸いも甘いもかみ分けた人生哲学がわかるのだろうか。まあ、わかることだけしか、わからないか。逆に、小さな子供たちに大人と同じ感覚がわかってしまっているとしたら、とても悲しいことのようにも思う。勝手だが、そんなことは今、わかってほしくない。小さな頃に読んだ本の気づかなかったことも、ある年齢になると、「経験」が読み取らせてしまうのである。世の中に一冊として同じ本はないのかもしれない。量販されている本も、読む人によって変わっているのだから。
 アニメやゲームなどの過激な表現が問題視されている。内容よりも、それらが与える脳への影響の方が、悪影響を及ぼしているとも言われている。
 わからない。
 大人だって、現実と夢がごちゃまぜになっていることがたくさんあるのだから、好奇心の強い子供たちに与える影響はどのくらいのものなのか。
 かといって、すべてを隠してしまって目に触れさせないことは、やはり違うのではないかと思うのである。知らないことは想像しにくいが、知っていることは想像できる。飛躍しすぎるが、たとえばそれは、武道の達人のように。
 どちらにしても、このことを、こんなに簡単には語れない。
 ただ感じるのは、シンプルだけどとても難しいこと。自分で考えること、イメージすること、自分に置き換えてみること、そういう習慣は本当に大切だと思うのである。

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