行動パターンと病気の傾向

2006.12.20

 TV番組、「最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学 名医が診断!家庭でできる人間ドッグSP(2006.12.19放映)」の中で、「心臓病と性格には密接な関係がある」という内容を紹介していた。簡単に説明すると、心疾患(心房細動)の要因は、生活習慣などから起こる「高血圧」、そして「性格」が影響しているというものである。
 せっかち、負けず嫌いなどの「性格」がこれに該当し、専門家の間では「タイプA」と呼ばれる。これは、1959年、心臓病の権威、アメリカのメイヤー(マイヤー)・フリードマン博士(Dr.Meyer Friedman,M.D)が発見したことによるもの。
 心臓は、通常、脳からの電気信号により規則正しく動いている。しかし、イライラすると自律神経が乱れ、心臓の打つリズムを狂わせて、不整脈となる。また、激しい鼓動で血流が滞って、血栓をつくり、心疾患や脳血管疾患につながる要因となる。
 発見のきっかけは、フリードマン博士が、勤務していたサンフランシスコの病院で、自分の受け持つ心臓病患者が診察を待つ間に座る、イスの前の部分だけが異常にすり切れているのが気になったことに始まる。実際に、待っている患者の様子を見てみると、他の科の患者はゆったり待っているのに対して、心臓病の患者は浅く腰掛け、常にソワソワと体を動かしていることに気がついた。そこで、心臓病の患者を含む3154人に性格テストを行なった結果、「気が短く、責任感が強い」傾向の人が心臓病になる危険性は、そうでない人の2.2倍となった。そのことから、攻撃的な傾向を持つという意味で、アグレッシブ(aggressive)の頭文字をとり、「typeA」と名付けたそうだ。


 この研究は、レイ・ローゼンマン(Dr.R.H.Rosenman)博士とともに、研究グループが、カリフォルニアの企業(3,154人)や、フラミンガム地域の人を対象に、4〜8年半の間、行なったものだそうだ。1980年代にアメリカでは、タイプAは、虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症など)の危険因子があると認められる。
 日本の突然死のほとんどは、心疾患、脳血管疾患である。性格だけが問題ではないが、半数は関係しているともいわれている。
 タイプAは、行動の基本が「最小限の時間で多くの事を成し遂げること」にあり、他人や時間との競争のような、環境の中での圧力に闘いを挑むため、自らに強いプレッシャーを与えることでストレスの状態をつくりだす。早口で、人の話をさえぎるのも特徴で、些細なことで交感神経が活発になりやすく、アドレナリンが血管を収縮させて、血流が乱れ、血管壁を厚く(動脈硬化)し、副交感神経の働きが弱まっていることも多いのだとか。
 その後、デューク大学のレッドフォード・B・ウィリアムズ博士らにより、タイプAの性格の中で決定的になる要因が、「敵意」と「怒り」だということがわかる。
 アメリカと日本では行動パターンに微妙に違いがあるため、日本人向けの設問を、日本で作成されたものもある。日本人は、敵意や攻撃性を表すことは少ないが、特徴として、連帯感や責任感から「仕事人間」になる傾向があるそうだ。
 ところで、ストレスは悪いものではなく、もともとの意味は、外的な刺激が及ぼす心身の反応のこと。よく言われるように、軽い緊張(ストレス)は、何かを成し遂げようとするときのバネになり、また、経験を積むことで自信が生まれ、克服する精神力も培われていくため、少しずつストレスに対する免疫もできてくる。現代は、それだけでは処理できないストレッサーが多くなっているようだが。
 ちなみに、先にあげたタイプAの他に、タイプB、タイプCもある。タイプAの反対の「タイプB」は、簡単に言うと、攻撃的の反対で、内向的、のんびりとした性格。
 タイプA・Bは、性格の長所や短所、善し悪しではなく、行動や性格が心臓や脳血管に及ぼす傾向を表すもの。かわってタイプCは、心臓や脳血管の疾患ではなく、ガンの発生率に着目して研究されたものである。
「タイプC」には、否定的な自分の感情を抑えて、周囲に合わせようとする傾向があるので、ストレス状態が続き、免疫力の低下につながる、という仮説が立てられているそうだ。ちなみに「C」は、cancer(ガン)の頭文字。
「短気な人も、年をとると丸くなる」といわれるが、見ていると、基本的なところは変わらないように思う。疾患の可能性が高くなるといわれても、自分の性格や行動を変えるのは、なかなか簡単ではない。ただ、自分の捉え方も原因だと気づくことから、感情の起伏がおさまった頃に冷静な判断がくだせるため、ストレスとも少しは仲良くつきあえるようになるかもしれない。
 しかし、おもしろいのは、この研究が、イスの傷みを修理した人の何気ない言葉を、不思議に思ったところから導き出された結果だということである。リンゴの落下や、お風呂からこぼれたお湯と同様に、「同じ物を見ていて、気づくか気づかないか」、そして「追求するかどうか」は、スゴイことなのだ。

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