色と人間

2007.4.30

 個人差はあるが、色にはそれぞれが持つイメージがある。たとえば温かい色と暗い色に分けるとしたら、暖色系の「赤」は温かく、寒色系の「青」は冷たい色になる。しかし、青といっても、晴れ渡った空のような色は温かく見えるし、考えてみると、赤も温かそうに見える赤ばかりではない。暗い赤色は、逆に冷たい感じさえする。
 印刷では、カラーを、3色(マゼンタ、イエロー、シアン)とブラックの掛け合わせでつくる。それぞれ0〜100%まであり、たとえば、ピンク色(マゼンタ)100%と黄色100%で、少しオレンジがかった「赤」になる。そこに水色(シアン)を少し加えると、深みはあるが暗めの「赤」になる。
「青」をつくるときは、水色(シアン)に、ピンク色(マゼンタ)を合わせる。ピンク色を100%にして、水色を少しずつ減らしていくと「紫」から「赤紫」に変化していく。イエローとピンクが100%ずつの「赤」も、ピンクを50%くらいにするとオレンジ色になる。ピンクを40%にしてもオレンジに変わりはないが、黄色が強く感じられるようになるのでイメージは変わる。
 配分で色は変わる。そしてイメージも変わる。
 他の色があることによって、違う印象に見えることもある。
 濃いオレンジは十分にインパクトが強いが、赤と一緒に置くと、少しソフトなイメージになる。
 成人して、しばらくぶりで会った友人から違う印象を受けるのは、経験の積み重ねや気持ちの変化などで、それまでは周りの色(人間)に埋没していた色が、目立つようになったからかもしれない。
 目立つのは濃い色ばかりではない。淡い色の方が濃い色よりインパクトが強いこともある。
 1人の人間について、多くの人に聞けば聞くほど、様々なイメージがあって驚くことはよくあることだ。関係や、出会いのタイミング、相性などでイメージは変わる。見ている人が主体になるのだから不思議ではない。それにしても、極端に逆のイメージがあるのは不思議だと思っていた。そうか、その人の持つ何色を見ているかでイメージが変わるのだ、なるほどと納得した。
 基本的には、いろいろな色が混ざり合っているほど深みのある色になる。ただし、印刷の場合は、ブラックを除いた3色をすべて加えてしまうとグレーか黒になる。自分の羽をきれいな色にしようとして、色をたくさん混ぜ合わせて黒くなってしまったカラスの逸話と同じである。
 しかし、光の場合は、混ざり合うと白っぽい色に見える。たとえば太陽光線。
 人間の目に見える光を波長で大きく分けると7色になる。いわゆる可視光線といわれる紫、藍、青、緑、黄、橙、赤で、波長でいうと380〜780nm(ナノメートル:1mの10億分の1)である。この波長の中に含まれないものは不可視光線という。
 これらは電磁波(空間の電場と磁場により形成される波)と呼ばれる波動で、波長の長いほうから電波、赤外線、可視光線、紫外線、X線、γ線などがある。
 人間の目は、物体に反射した光を、網膜から信号として脳に送り、色を認識しているが、この間の時間はとても短い。
 たとえば、太陽光線(白色)が、緑の色素を持つ葉っぱに当たると、補色の赤色は吸収されて、反射した緑色の光だけを網膜で受け止める。網膜にある、赤、緑、青(青紫)色に反応する細胞(光受容体タンパク質)から、信号(刺激)が脳に伝えられて「緑色」だと認識する。
 赤と緑が混ざると「黄色」になる。そして、赤、緑、青の3色が重なると「白」になる。だから、太陽光線は白っぽく見えるのである。
 しかし、人間の場合は心理や知識も働くので、実際に見ている色を、脳が勝手に調整していることもある。
 たとえば、暗いところで見るのと明るいところで見るのとでは、反射する色も変わるはずだが、赤いものだと知っているものは見えづらくても「赤」だと脳で認識している。よく知っている人のことは、いつもよりイライラしていても、その人の性格だとは思わずに、何か気に掛かることでもあるのかなと調整することができる。
 個人の認識の違いによって、青緑色を「青」という人、「緑」という人もいる。
 色のイメージには錯覚もある。
 暖色系の色は時間を長く感じさせ、寒色系の色は時間を短く感じさせる。有名な話では、碁石の黒は、白より小さく見えるため、一回り大きくつくられている。
 同じ面積で比べると、暖色系(赤や黄色など)の方が、寒色系(青や黒など)より大きく見えて、同じ重さでも黒い箱は白い箱より重たく感じる。
 これなどは、中身はともかく雰囲気だけで、大らかな人だと思ったり、落ち着きのある人だと思ってしまうようなものである。
 自分の好きな色は目に入りやすい。
 色のついたサングラスのように最初からフィルタをかけて見ていると、まったく違った色に見える。まさに「色眼鏡」である。
 人間が認識しているのは可視光線のみ。
 でも、なかには、不可視光線が見えている人もいるのかもしれない。そう考えれば、他人の微妙な気持ちをくみ取るのがうまい理由もわかる。
 たとえば、明るい人、暗い人と単純に分けてしまいがちだが、100%明るい人なんていない。みんなどこかに少しずつ、違う性質の色を含んでいる。でも残念ながら、それは知ろうとしなければ、どういう掛け合わせなのかはわからない。

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