数日は何日?

2007.5.15

 先日TVを見ていて愕然とすることがあった。
「数日は、日数にすると何日?」という出題に、迷うことなく「6日前後でしょ」と思ったのだが、答えは2〜3日(あるいは5〜6日)で、その番組で取ったアンケート結果では2〜3日と思っている人の方が多かったのである。
 5〜6日と答えた人は、年齢的に60代以上の人が多く、私の世代では2〜3日の方が圧倒的に多かった。
 いくら考えても、そう思い込んでしまったきっかけには思いいたらず、代わりに、英語の時間に「a few days」を2〜3日と覚えたことを思い出した。
 少し冷静になると、「仕事の納期」のことが浮かんできた。
 仕事を進める前に、印刷にどのぐらいかかりますか? と聞かれることがある。
「休日を除いて、入稿から数日くらい」という言い方をしたことが何度かある。最終的には、正式に入稿してから「納期は○○日です」と言うので、問題が起こったことはないが、その際、相手から「えっ、2、3日くらいじゃなかったのですか?」と聞き返されたことはない。それとも、思ったけれど口に出さなかったのだろうか。たまたま、みんな、数日を「5〜6日」だと思っていたのだろうか。
 それにしても、2〜3日と5〜6日では、一つの言葉の持つ意味としては、かけ離れすぎている。
 いままで随分、勘違いしてきたことがあったのかもしれない。
 たとえば、「数日、徹夜した」という話を聞くと、1週間近く徹夜して大変だったんだなと思っただろうし、「数日たって痛みが引かないようだったら、来てください」と歯医者に言われたとしたら、そんなに待たなくてはいけないのかと思いながらも、5〜6日は我慢していたかもしれない。
 数日が2〜3日ということは、数個は2〜3個ということにもなるのだろう。「あと数個残っています」というのは2〜3個のことかもしれない。「数時間待ったのに・・・」は2〜3時間の場合もある。「2〜3」と「5〜6」では、やはり、意味が全然違う。

 数年前(6、7年前)、印刷物の校正で「1つずつ」という表記が間違っているのではないかという指摘をクライアントから受けた。何をとぼけたことを言っているのだろうと思いながら説明すると、100%の納得ではなかったようだが「ずつ」を使うことになった。
 その後、テレビのテロップで「1つづつ」と流れているのを見た。間違えたのだと思いながらも気になって辞書を調べた。やはり「ずつ」が正しい。
 テレビだって、新聞だって間違えることくらいある、と思い直したが、その後、なぜか、「づつ」のテロップが多いことに気が付いた。
 気になると、なぜか目に止まってしまうものらしい。
 それから、雑誌を読んでいても「づつ」の方が多いような気がする。
 そこで、詳しく調べてみると、正式には「ずつ」だが、「づつ」も許容されているのだということがわかった。旧仮名遣いでは「づつ」である。しかし、不思議なのは「づつ」と使うのが若い世代に多いことである。
 言葉もことわざも、時代とともに変化しており、本来の意味も変化した意味も使っているものも多いが、あまり許容してしまっては混乱してしまう。それでなくても、日本人は「言葉にならない言葉」を使う人種なのだから。
 世代が違うと、言葉が通じにくいのも、そのせいだ。
 教科書には、どちらで載っているのだろうか。
 そういえば、最近、「八つ」を読めない小学生が多いという新聞記事を、テレビで話題として取りあげているのを見た。

 教科書といえば、聖徳太子は、いまでは厩戸皇子あるいは両方の名が併記されているそうだ。聖徳太子は後世になって付けられた名前であり、正式には「厩戸皇子」で、そもそも聖徳太子といわれている人が実在の人物なのか、あの肖像画が聖徳太子の顔なのかも定かではないらしい。
 上野公園の西郷隆盛さんの像が本人とは似ていないというのは有名な話だが、その話を聞いたときより驚いた。なんといっても、旧10,000円札の顔だったのだ。(余談だが、西郷隆盛の愛犬(猟犬)の名前は「ツン」だそうだ)
 世界四大文明(インダス、メソポタミア、黄河、エジプト)は、それ以外の文明もあったことから、今では四大文明とは言わないのだそうだ。
 ほとんど記憶にない日本史の教科書の中で、今も鮮明に覚えている足利尊氏の勇猛果敢な肖像画も本人のものではなかったらしく、今では「足利尊氏」にはなっていないのだとか。
 言葉の意味を間違えて覚えていたという他愛もない笑い話は時々話題にのぼるが、「けんもほろろ」を、ずっと「けんもほろほろ」だと思っていた知り合いがいる。これは明らかに間違いである。
 しかし、ふと考えてみると「ほろろ」とは何なのだろう。遅まきながら調べてみると、「けん」も「ほろろ」も、雉の鳴き声のことだそうだ。そういえば、本で「雉も鳴かずばうたれまい」という文章を見たときに「なるほど」と、その意味には納得したことを思い出したが、その鳴き声がどんな声なのかまで興味を持たずに、いままできてしまった。
 ちなみに、「けん」は、雉の「ケーン」という鳴き声が、感情がこもらず冷たく感じられることに「けんどん(慳貪)=思いやりがない」、「けんつく=強く叱りつける」という言葉を掛けたもので、「ほろろ」は鳴き声あるいは羽音をあらわしているそうだ。
 最近は、それほど使われる言葉でもなくなったが、そういった態度にはたくさんお会いするようになった。

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