黒白をつける

2007.9.2

「黒い」高級トイレットペーパー、白い素材を見えやすくするための「黒い」まな板、炭入りの「黒い」うどんなどをテレビで紹介していた。
 本来は「白」が基本とされていたものだが、使いやすさやファッション性など、角度を変えて見ると、新たな発見ができることを改めて思った。
 白色は紫外線を通すという理由で、「白」が基調だった日傘がいっせいに「黒」に変身してしまった時期がある。最初に見たときには炎天下にゆらめく黒い傘にギョッとした。それに比べると、トイレットペーパーや、まな板や、うどんのほうが馴染みやすそうだ。 
 黒い冷蔵庫、黒い石けんなど、白が基本と思われていたものに黒が使われることは、最近はそれほど珍しいことではなくなっている。「白」で進んでいた企画が、条件や人をきっかけに、正反対の「黒」に方向転換してしまうことも。
 しかし、パンダの配色が逆だったら、・・・という想像はやめておくことにしよう。

 白と黒。
 言葉の上では、まったく正反対の事柄、「是・非」や「正・邪」「善・悪」を指す。
 人を表すときに使う「白黒をはっきりさせる人」という言葉の中には、正しいこととそうでないことをしっかり分けるきっぱりとした性格であること、また融通がきかないという意味も含まれる。ただ、人に対して使うときには、あまり良いニュアンスで使われることが少ないようにも思う。

 元々は「黒白(こくびゃく)をつける」「黒白分明(こくびゃくぶんめい)」と使われたそうだ。
 つまり、「黒」が先なのである。ただし、今は、「白黒」も容認されており、間違いではないらしい。
「黒白をつける」と同じような意味を持つ言葉には「黒白(こくびゃく)を明らかにする」「黒白(こくびゃく)を争う」「黒白を弁(わきま)う」があり、「黒白がつけられない」という意味で「黒白(こくびゃく)を弁ぜず」という言葉がある。
 昔は、上司や先輩が「黒」といえば、本当は「白」だとわかっていても「黒」と同調するのが暗黙のルールになっていたシチュエーションもあったが、最近では、ためらいなく反論される。間違いかどうかだけの問題ではなく、人のつながり(精神)を表す「例え」ともなっていた、このルールがいきなり変化してしまい、年配の人たちは目を白黒させているらしい。

 小説などに出てくる会話で、有罪か無罪かを表すときに、「シロ」「クロ」「限りなく黒に近いグレー」と言う。
 しかし、普段の生活では「黒白」をつけない状態で進んでいくことも少なくない。正しいか間違いかは、命に関わるような「[絶対]の条件下」でなくては決まらないからだ。
 黒白をあまりはっきりさせないほうが人間関係はスムーズにいくともいうが、それが有耶無耶にしてしまうための単なる言い逃れのような、あまり好ましくない使われ方をする場合もある。
「融通がきかない」人を相手にすると少し困ってしまうこともあるが、「融通がきく」人は、「良い加減」を通り越して「いいかげん」になってしまうこともある。
 できれば白でも黒でもどちらでもなく、すべてに囚われることのない「無色」でいられることが良いのだが、現実的には「透明なグレー」あたりが最大目標なのかな、と思う。それでも、かなり難しいことではあるが。

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