カーミングシグナルの活用法

2008.3.22

 散歩中に、犬が飼い主の方を時々振り返るのを見ていると、かわいくて、飼い主がうらやましくなる。
 私には、「置いていかないでね?」という確認をしているように見えるのだ。
 かと思えば、飼い主が、犬に振り回されて少しも前へ進まないのを見て、いつになったら家に帰ることができるのかと心配になることもある。今までで、一番すごかったのは、いきなり「ガガガガガッ」という大きな音が聞こえてきたのでびっくりして振り返ると、飼い主に強引に引っ張っられている犬がいた。前足には、なぜか、つぶれた空き缶が押さえられていて、足をつっぱっている。そのときは犬に同情した。それにしても、飼い主の引っ張り方はあまりにも強引だったので、もしかしたら、ちょっと変わった犬で、それが、おきにいりの遊びだったのかもしれない。

 もともと群れで生活していた犬は、上下関係を大切にする。飼われている家族の中でもランクを勝手に付けているらしい。寝そべっているときに小型犬がおなかの上にのってきて遊ぶのをかわいいと考えていると、実は、その行為が、自分のほうがランクが上だということを表していることもあるのだとか。

 人間は言葉を持つことで便利になったが、逆に複雑になってしまった。赤ちゃんやペットに対するように、言葉が通じないからこそ、一生懸命に相手の気持ちをわかろうとするほうがいいのかもしれないと考えることが、たまにある。

 最近、犬の気持ちを解説しているものをよく目にするようになった。
 犬は、仲間同士で無用な争いを回避し、相手や自分を落ち着かせるためにボディランゲージで意思表示をするのだそうだ。それをカーミングシグナルといい、ノルウェーのトゥリッド・ルーガスの「落ち着きをもたらすシグナル」27種類が有名。
 状況や生活環境、性格などによって、表すシグナルは、絶対ではないらしいが、少なくとも知ることで、人間が不要に犬のストレスを増加させることは少なくなるらしい。ストレスが過度になると、シグナルをうまく出すことができなくなる場合があり、犬同士でのコミュニケーションをも取りにくくすることがあるのだそうだ。

 シグナルの解説を見ていると、想像とは違っていることもあって、おもしろい。
 犬同士でじゃれあっているときに相手の犬から顔を背けるのは、これ以上続けるとケンカになるからひとまず落ち着こうとか、もうやめようというシグナルだが、人間と遊んでいるときに、ふと顔を背けるのは、遊びに飽きたのではなく、嬉しすぎて興奮している自分を落ち着かせようとする照れ隠しの場合もあるらしい。そういえば、シャイな人がこういうしぐさをすることがある。

 慣れていないのに、いきなり頭をなでるのは、びっくりするので、ルール違反。犬同士も見知らぬ犬には、正面からではなく、側面からゆっくり回り込みながら相手に近づくことで、敵意がないことをアピールして、相手の警戒をとくのだそうだ。

 身体をブルブルッと振ったり、アクビをするのは、嫌なことを避けて、ストレスを回避し、リラックスしたいとき。アクビは、犬が不安を感じていたり、かなりストレスを感じている状態であり、アクビをしていたら、怒られていることは十分わかっているので、それ以上叱ることはやめたほうがいいのだとか。人間の場合とは逆のようにも感じるが、緊張し過ぎると、アクビが出たり、眠たくなってしまうこともたまにはあることを考えると、理解できる。
 
 犬同士で、敵意のないことを知らせるためには、座って、顔をそらせて、背中を見せるそうだ。これは、強い犬が相手を安心させる場合にも使われるシグナルで、人間も使えるそうだ。とはいっても、犬が怖い人にとっては難しい。吠えられでもしたら、飛び上がって逃げたくなる。しかし、人間にあてはめて使われる「弱い犬ほどよく吠える」というのも当たっているようで、吠えるのは、警戒して威嚇すると同時に、怖がっていることも多いのだそうだ。
 たとえば、旦那さんにお小言を言っているときに、相手が目をそらしているのは、犬と同様、ケンカになるのを避けている、あるいは、怖くてストレスを感じているのかもしれない、とも考えられる。
 なので、「聞いているの?」などと言って、回り込んで無理矢理目を合わせないのが、やはり、賢いコミュニケーションの方法だろう。
 ただし、この場合、弱いから(奥さんが)吠えている、と言えるのかどうかはわからないが。 



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