旨味ーumami tasteー

2008.6.3

 旨味といわれるものの成分は、アミノ酸(グルタミン酸)や核酸系(イノシン酸、グアニル酸)など。有機酸のコハク酸なども旨味成分となる。
 イノシン酸は肉や魚、かつお節、煮干しなどに、そして、グアニル酸は干しシイタケなどキノコ類に多く含まれる。トリュフには、グアニル酸以外に、イノシン酸、グルタミン酸も含まれている。
 グルタミン酸は、多くの食品に含まれ、緑茶にも含まれている。トマトや生ハム、チーズなどの食品は熟成するほどグルタミン酸が増していく。
 日本では、旨味をつくるために、昆布や海藻類、魚介類、乾物、大豆やイモ類、穀類、シイタケなどキノコ類などが使われ、西洋では、肉類、生乳、チーズ、トマトなどが使われてきた。
 発酵調味料は、魚や豆、穀類などが発酵する過程でたんぱく質がアミノ酸に分解されることで、グルタミン酸が多く含まれる調味料ができる。
 出汁(だし)は、旨味成分を抽出して有効に活用するための知恵。昆布とカツオなどの違う素材を使うことで、複合的な味も生まれる。


 旨味成分は、すべて日本で発見された。
 京都で薩摩藩お留守居役、加賀藩士の子として生まれた、池田菊苗氏(1864-1936)は、東京大学で物理を学ぶ。1899年にドイツに留学し、オストワルド教授(後にノーベル化学賞受賞)に師事。
 東京帝国大学(現 東京大学)の教授となった京都生まれの池田博士は、湯豆腐の昆布だしの味に疑問を持ったことから、1908年に、だし昆布の中のグルタミン酸(具留多味酸)に旨味成分があることを発見する。4月には、調味料としてグルタミン酸ナトリウムの製造特許を出願する(7月に取得)。
 特許庁には日本の十大発明家のレリーフがあり、タカヂアスターゼの高峰譲吉氏、ビタミンB1の鈴木梅太郎らとともに、池田菊苗氏のレリーフも飾られているそうだ。
 池田教授はグルタミン酸ナトリウムの工業化のパートナーを探して、以前、会ったことのある2代目鈴木三郎助氏(鈴木製薬所)にも話を持ちかけた。鈴木氏は1908年9月に特許の共有化を申し出て、翌年、発売されたのが、調味料「
味の素」(12月に「味の素」と商標登録)。1909年5月20日の発売日が、現在の味の素株式会社(旧 鈴木製薬所)の創業日となっている。
 その後、1913年、池田博士の高弟、小玉新太郎氏がカツオ節の中から、イノシン酸に含まれている旨味成分を発見。1957年、国中明博士はグアニル酸が旨味成分でシイタケに含まれていることを発見した。


 西洋の「酸味、甘味、塩味、辛味」に 中国の「苦味」、それに「旨味、渋味」が加わったものが日本の七味。辛味と渋味の除く5つが、味の基本となっている。
 基本とは、味を混ぜ合わせてもつくることができないもの。
「旨味」が味の基本とされるまで、西洋では、旨味は基本の味を混合してつくられるものと考えられていたが、舌に旨味成分グルタミン酸を感じる受容体があることがわかり、味の基本成分に加えられた。
 池田菊苗教授が発見した「うま味」(旨味)は、外国でも、そのまま umami と呼ばれ、辞書にも掲載されている。


 味は、舌の表面にある乳頭の中にある味蕾(みらい)が受容体となっている。味蕾の味細胞から神経を伝わって、脳に伝えられ、味とともに、それが何の栄養素かも読み取っている。
 甘味はエネルギー源として、塩味は体液バランスに必要なミネラル、旨味はタンパク質、酸味は熟していないくだものや、腐った物あるいは体に必要な有機酸として、苦味は毒、など。
 母乳にはたくさんのアミノ酸が含まれているが、なかでもグルタミン酸が飛び抜けて多く含まれている。タンパク質は、体をつくるための重要な構成成分なのである。



参考:
http://www.ajinomoto.co.jp/umami/
http://www.city.kawasaki.jp/61/61kusei/museum/pdf/02matsuda.pdf

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