自然界の共生

2008.6.8

 イソギンチャクとカクレクマノミや、ある種のハゼとエビなど、自然界には共生関係が多い。別々にではなく、体内に取り込まれて共生しているものも多く存在しているそうだ。人間の腸や皮膚、口の中にも細菌が共生している。
 
細胞内共生説は、1967年に、アメリカの生物学者リン・マーギュリス(Lynn Marglius、1938-)博士が唱えた真核細胞の起源説は、現在ではほぼ定説とされている。他に、真核細胞は、原核細胞の古細菌(Archaea)に共通する点が多く、古細菌(細胞膜を持つ原核細胞)に真正細菌(細胞壁を持つ原核細胞。細菌、バクテリア)が共生したのが始まりではないかという説もある。
 人間の細胞内にあるミトコンドリアも、好気性細菌が取り込まれてミトコンドリアに変化した、細胞内共生と考えられている。

 サイエンスZERO「共生から"進化"の謎を解き明かせ」(NHK教育 6月7日放送)で、大阪大学大学院 情報科学研究科 四方哲也教授らの研究グループで行なわれた実験を紹介していた。
 細胞性粘菌という湿った葉などについているアメーバ状の微生物と、動物の腸の中にいる大腸菌という本来別の場所にいるものを一緒の囲みの中に置いておくと、最初は、粘菌が大腸菌を食べ始めた。
 そこで、最後には、大腸菌が粘菌に食べ尽くされて、エサがなくなって、どちらも死んでしまうと思われたが、いくつかは、形を変えて、生き残った。
 2週間後に、粘菌が大腸菌に包まれたコロニー(細胞の固まり)になっていたのである。
 大腸菌が自分の身を守るために、まず、ネバネバした物質(
多糖類)をつくり始めた。湿った状態が好きな粘菌のほうは、大腸菌を食べるのをやめる。
 共生後は、大腸菌の遺伝子レベルの変化が強くなっていたそうだ。
 共生への道の第一歩は、大腸菌の遺伝子が、粘菌に食べられるという、これまでになかった環境の中で生き残るために、ネバネバをつくりだすように指示したこと。防御のためにつくられた状態が、粘菌にとっては、案外、快適な環境だったため、方針を変えて、共存することを選び、そのことにより、エサ(大腸菌)を食べ尽くして餓死することもなくなった。大腸菌にとっては、粘菌がつくるアミノ酸が利用できるのも好都合なのだそうだ。
 
 最初は敵同士だったかもしれないものも、何かのきっかけで進化して、生存する道を選ぶ。
 大腸菌のほうが、劣勢のように思われたが、そうでもなかった。自然界は、強いものが弱いものを捕食するだけではないのである。共生することで、いままで自分だけでは不可能だったことも可能になる。
 番組でも言っていたが、大きな細胞の固まりである人間も、敵対するだけではなく、上手に共生できると、もっともっと、いろいろな可能性が広がるように思った。
 ただし、寄生のように、片方だけが不利益をこうむる共生は、長く続かないけれど。 

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