携帯電話

2008.12.22

 小学生の携帯電話が問題になっていたが、特に気になったのは、教育委員会や学校が「携帯電話を学校に持ち込み禁止」などのルールを取り決めてくれると嬉しいと思っている親が少なくないということだ。
 子供の常套句「○○ちゃんも、みんな持ってる」に対して、親の最終宣告「みんなが持っていても、我が家では駄目」というのは通用しなくなっているのだろうか。
 食卓の上に携帯電話を置き、メールしながら食事をする子供も珍しくないそうで、昔の「食事中のテレビ禁止」ならぬ「食事中のメール禁止」もないのだろう。いや、大人は忙しくて、それどころではないのかもしれない。
 携帯電話依存症は、携帯電話を取りあげると不安や怒りで脳波に乱れが生じるらしい。また、携帯電話でメールを打っている時の前頭葉は活発になっていると思いきや、ほとんど動きがなかった。つまり思考していないのだそうだ。
 便利な道具を使いこなしているうちはいいが、とりこまれてしまっては元も子もない。
 便利な道具、電話やFAX、宅配便、そしてインターネット、携帯電話は、目を合わせて話をする機会も少なくした。
 
 
 サルなどの霊長類(動物)と人間は、遺伝学上、ほとんど変わらないらしい。しかし、人間が目を見て会話しながら食事をとるのに比べて、他の霊長類は一緒の場所で食事はしていても、お互いの目を見ながら食べることはない、というより、目を見るのは挑発していることになる場合が多いようだ。
 人間は二本足で歩くようになり、脳が発達したため、未熟な段階で子供を産む。他の霊長類は寿命のつきる直前まで子供を産むことができるそうだが、人間は子供を産まなくなった後も長く生きることができる。これは、自分の子供が産んだ子供(孫)の面倒を一緒に見ることで、子孫を確実に育てること、そして母親だけに負担がかかることがないようにしたためではないかとされている。
 人間以外の霊長類は、基本的に赤ちゃんを抱えた母親だからといって食物を分けることはなく、双子がもし生まれたとしても片方しか育てられないことも多いそうだ。
 人間も核家族化などで、その関係性が変化してきた。年を重ねても元気に仕事を続ける人も多くなってきた。


 人間が相手の目を見るのは、表情を読み取り、気持ちを理解し、感情を共有し、共通の話題や目的を持つことができる能力を持っているためで、コミュニケーションの最大の手段。
 霊長類では、集団のサイズが大きくなるほど脳(大脳皮質)が進化しているという研究結果があり、人間の脳は150人くらいの集団生活を営んでいたと推測されるそうである。
 人間は、進化する過程で多くの人と交わり複雑な人間関係を築くことができるようになった。そのことで、協力し合い、生活を安定したものにしていったのである。霊長類では人間特有の「教わる」ことで、さらに様々な人から様々なことも学ぶことができる。
 しかし、小さな頃からメールのコミュニケーションだけでは、せっかくの能力も失われてしまうのではないかと心配する。実は、ただでさえ世代の違いがある若い人たちと、コミュニケーションがとれなくなるのが、心配なのだが。

 
 携帯電話は確かに便利で、特に、子供を持つ親にとっては安心な部分も多いのだろうと思う。片方で、メールによって犯罪に巻き込まれる、あるいは精神的に傷つけてしまうことも増えているようである。
 しかし、いままで野放し状態で、いきなり、二者択一の答えを押しつけるだけでは子供も納得しないだろう。納得できないことには、子供なりに悪知恵を働かせることもある。何が問題なのかを子供も一緒に考えることが必要ではないかと思うのである。おざなりに指導して、結論は自主性にまかせるという「放任」ではなくて。
 世の中の危険なものすべてを子供の目から隠してしまうことは無理だろう。それに、危険なもの、悪影響を与えるものはそれ自体が悪いのではなく、人間の使い方、考え方次第なのだから。携帯電話は、すべての危険を回避してくれる万能機械ではない。
 人間の特性である協力し合って考えることが大切なのではないだろうか。たとえ、少々時間はかかっても。もちろん、緊急に対策を考えなければいけない問題もあるので、同時進行でなくてはならないが。
 地域の人が町内を見回りながら、出会う人に挨拶をしている様子をテレビで見た。その町では、泥棒などの犯罪も減少したらしい。

参考:「サイエンスZERO」シリーズ・ヒトの謎に迫る(2)(NHK教育テレビ)

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