腸内細菌の祈り

2009.3.31

 腸内細菌には、一般の機能の他に、炭水化物の代謝と輸送、DNAの修復や防御、細胞膜関連、エネルギー生産と変換、アミノ酸の代謝と輸送などの機能を持つ遺伝子が含まれている。
 もともと「基本は肉食」の人間(動物)は、食物繊維の分解を、腸内細菌の持つ炭水化物の代謝と輸送の機能が肩代わりしていると考えられている。
 腸内細菌は、培養して解析する従来の方法では約2割程度しかわからなかったそうだ。そこで方法を変えて、DNAの機能を調べ、これまでにわかっているDNAの機能と照らし合わせて解析(メタゲノム解析)したところ、多くのことがわかってきた。
 たとえば、ロンガム(ビフィズス菌)が糖を取り込んでつくる代謝物がO-157の毒素を抑制しているのではないかと考えられている(理化学研究所 免疫・アレルギー科学総合研究センター 大野博司博士らの研究による)そうだ。
[以上は、2009年1月18日放送 サイエンスZERO NHK教育より] 



 腸内細菌1つは見えないくらい小さいが、100種類以上、100兆個以上が腸の中に存在し、重さにすると1Kgにもなる。 
 人間にとって良い働きをする善玉菌、悪さをする悪玉菌に分類される。他に「日和見菌」に分類されるものがあり、悪玉菌が増えてくると、加勢して悪さを始めるという性質を持っている。「悪」は増殖しやすいのである。
 ビフィズス菌は善玉菌の代表だが、酸素が嫌いなので、おもに大腸にいる。
 悪玉菌には、毒性を持つ大腸菌(0-157など)、ウェルシュ菌、ブドウ球菌などがある。
 食物や呼吸によって一緒に体内に取り込まれてしまうため、悪玉菌をまったく無くしてしまうことは不可能である。乳児は、腸内細菌のほとんどがビフィズス菌だが、離乳食になると大人と同じような腸内細菌のバランスになってくる。
 腸内細菌のエサは、人間が体内に取り込む食物。そのため、食生活、他に、ストレス、病気、加齢などで、親子でも菌の種類や善玉菌と悪玉菌のバランスは違い、日によって変化もしている。
 乳酸菌は発酵食品などにも含まれている。しかし、腸にいる(常在)細菌以外は、異物(外部からの侵入者)と見なされるため、免疫機能などによって死んでしまうが、死んでしまった乳酸菌も腸のバランスを整えるのに役立っている。
 善玉菌が住みやすい環境は、腸にとっても良い環境である。しかし、腸の働きに負担をかけるような高カロリーのものをたくさん食べたり、食物繊維の不足で腸の働きを低下させたりすると悪玉菌にとって心地よい腸内環境になってしまう。日和見菌も加勢するので、さすがの善玉菌も、力が発揮できなくなってしまうのである。
 小さな100兆もの生物が、腸の中で食物を消化する手助けをしたり、細胞を修復したり、免疫機能を整えたりしながら、自分たちの住みやすい環境をつくりだして勢力争いをしている様子を想像すると、不思議な気分である。まるで、そこに1つの惑星があるようだ。
 もしかしたら、こうしている今、悪玉菌の勢力に押されて負けそうになっている善玉菌たちが祈っているかもしれない。
「神様仏様、私たちが何か悪いことをしたというのでしょうか。見ていらっしゃるのならどうぞ、助けてください」
 しかし、神様仏様(?)に、その声は届かない。

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