苦い大人

2009.4.8

 味覚には意味がある。糖分(炭水化物)に代表される甘味はエネルギー源。旨味は、体の成分でもあるアミノ酸(タンパク質)、塩味は体の機能に欠かすことのできないナトリウム(塩分)。
 味は舌を楽しませるだけでなく、体に取り入れてもよいかどうかを判断するものなのである。
 そう考えると、不要な物がある。たとえば、苦味は「毒、危険な物あるいは薬」、酸味は「未成熟な物、腐った物」を表す。子供の頃に苦い物、すっぱい物を嫌うのは、身を守る本能といわれている。
 だとしたら、大人になるにつれて、苦い物やすっぱい物を好む傾向になるのはどうしてなのだろうか。
 コーヒーに砂糖を入れずに飲むのは、子供っぽさから脱却したようにも感じて、最初は少し我慢して飲んだ。最近流行りの「草食系男子」の習慣には無いそうだが、「とりあえず、ビール」も、初めて飲んだときには「まずい」と思った。
 ビールもコーヒーにも「苦味」がある。
「苦味」は、「甘味」「塩味」「酸味」などに比べると敏感に感じることができるそうで、それは裏返せば危険物だからなのかもしれない。
 脳の中では、子供も大人も同じように「苦味」を感知すると、「危険」→「不味い」と判断しているそうだ。では、なぜ、飲んだり食べたりするのかというと、経験から、「これは大丈夫」と判断しているからである。
 脳は、提示したように走ってくれないので何度も再検索させられるナビゲーションのように混乱しているかもしれない。それとも機械と違って、あきらめるか、慢性化してしまっているのだろうか。
 ストレスを感じていると、体内で特殊なタンパク質が働いて「苦味」を感じさせなくするそうだ。そうすることで、薬(=苦味)を飲みやすくしているのだとか。
 確かに、様々な病気は、ほとんどストレスが関わっており、また、ストレスを感じているのは間違いない。

 小さな子供が大人の飲んでいるコーヒーを飲みたがったときに、「これは薬なのよ」と騙されているのを横で聞いていたことがある。まだ自分も子供だったので、もう少し「誠意」のある嘘はつけないものかと思った。「裸でいると、雷がおへそを取りに来るよ」「そんな悪さをすると、おじちゃんに怒られるよ」というのと同様に、子供が怖がったり嫌がったりすることを知っていて責任転嫁するのは卑怯である。
 しかし、苦味=薬ならば、「嘘」ではない。
 それとも、少しだけなめさせてみたほうが、次はねだらなくなるかもしれない。
 その日は、なかなか眠ってくれないかもしれないし、苦さを危険と感じてくれなければ、やっかいなことにもなるので、やめておいたほうがよいけれど。  

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