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本作を語る前に…。
国内では、30万本と64の市場規模、いやそれどころか、現状のゲーム業界から察すると「売れた方」に入ると思われそうだが、米国での販売記録に比べると10分の1以下と、やはり任天堂や制作元の英国・レア社の思惑に比べても、今ひとつふるわなかった「007 ゴールデンアイ」。本作「パーフェクトダーク」は、その「ゴールデンアイ」の製作チームが再び製作した3Dガンシューである。
海の向こうの米国では、「ゴールデンアイ」自体が300万本を越えるメガヒットタイトルとなり、その年のゲーム・オブ・ザ・イヤー的なタイトルにまで成長していた。もちろんこれは、日本と米国の国民性の違いとか、嗜好の違いによるモノなどと片づけてしまえば、それまでかも知れないが、現在も年間に数多くの海外からの移植作が存在するゲーム市場において、日本人の国民性とでもいおうか、ローカライズ、難易度調整などの手抜きから、今ひとつ盛り上がりの無い「洋ゲー市場」。たしかにWINを中心にPC業界では「ディアブロ」「ウルティマオンライン」「Quark」「UNREAL」などといった、良質なタイトルが存在するが前者2タイトルは、ネットワークを駆使したモードが話題の中心であり、PSに移植された「ディアブロ」は惨憺たる有様であった。また後者の3Dガンシューも、国内ではコンシューマーマシンには存在しないが、海外では、実は存在する様で、いまだ国内でリリースされないという時点で、市場的に難しいと思われたのだろう。
本作「パーフェクトダーク」及びその前作とも言うべき「ゴールデンアイ」は、そういった悪く言えば「洋ゲー」テイスト=悪質・大味という意識が、無意識の中にユーザーに刷り込まれている昨今で、バランス・難易度調整はもとより、ゲームとしての本質・楽しさをまざまざと見せつけたタイトルである。
おそらく「ゴールデンアイ」もそうだったように、本作「パーフェクトダーク」も米国を初めとする他国では、既に発売され国内発売時期は、それから1年以上も後という、さながら映画並、いや映画でもここまで遅くなるのは珍しい。ソフトウェア業界では異例の長さである。しかし、この間、任天堂は国内でただ指をくわえて売り時を観察していたわけではないのである。本作起動後に登場するコピーライト、著作権表示などに紛れて記載されている「Version.8.9Final」の文字。恐らく、度重なる難易度調整などとローカライズを繰り返し、「日本市場向け」にかなりの手を加えたのであろう。その結果、本作は同ジャンル内でも、極めて良質なゲームセンスとバランスを兼ね備えた傑作になっている。
まず、同制作チームが本作以前に手掛けた「ゴールデンアイ」以上に、ミッションが充実しシチュエーションの持って行き方が「粋」である。あるミッションでは、ヘリコプターで作戦エリア近くまで来ると、そこから走って、スナイパーライフルを構え、まさに今一歩で仲間の一人が処刑されそうな所を遠くから、阻止するというハリウッド映画さながらなシチュエーション。文字で語るよりも、実際にプレイするとそんなゾクゾクするシチュエーションがてんこ盛りである。また、途中から事態はテロリストVS特殊隊員(主人公)ではなく、宇宙人VS特殊隊員(主人公)となっていくのだが、ここで登場する仲間の一人にも宇宙人がおり、彼についての当初の扱いが、あの「X−FILE」の宇宙人的な見せ方で、かなり雰囲気を盛り上げてくれる。ミッション前のデモも、ムービーを使用するのではなく、リアルタイムにレンダリングしたものに、エフェクトを掛け、あたかも質の悪いビデオカメラで撮影した様な雰囲気をだしたりと「ゴールデンアイ」からのスタッフ達の正当な進化レベルやモノ作りに対するコダワリが至る所に伺える。無論、本作は前回の「ゴールデンアイ」とは違い、ゲーム以外には映像として存在しない。そのため、主人公もジェームズ・ボンドではないし、ゲーム内でシナリオを起承転結させるため、ゴールデンアイ以上に、世界観やシナリオを定義するファクターが多く存在する。3Dガンシューというのは、基本的に「大量大殺戮劇」なゲームであり、あまりシナリオや演出に割合を多く占めていないというのは、これまでにも一度でも同ジャンルをプレイした方なら承知の事と思う。しかし本作、その辺りも徹底しており、ただの「大量大殺戮」ゲームには決して陥っていない。プレイ感覚、システム、シナリオと全てにおいて絶妙なバランスが置かれており、シナリオの練り込みが上手く行っているからこそ、各ステージも、先述したハリウッド映画並のシチュエーションを上手く関連づけさせれたのではないだろうか?
正直、映画数本分の楽しさが詰まっていると言っても過言ではない程の面白さである。
また、舞台設定は近未来ではあるが、市街地では「ブレードランナー」「トータルリコール」といったサイバーパンクSFの世界観も見事に出している。
そして、3Dガンシューでは、昨今はただの大量虐殺モノから限られた人数同志での対戦へと嗜好が替わり始めている。先述した「Quark」「UNREAL」などもネットプレイで対戦を可能にし、新たな楽しみを提供しているが、基本的にシステムの違うこのスタイルは、本作でも別モードで堪能できる。もちろん、64なのでネットプレイとまでは行かないが、前回同様の画面分割による対戦。そしてプレイヤーがCPUレベル、使用武器を設定し、対CPUのキャラ数名と限られたエリアで対戦するモードも入っており、本編とは別に新たな楽しさを提供している。また武器の射撃訓練なども、単純なようで奥深いゲーム性を秘めていたりと、まさにナムコのPSタイトルなみのモードの充実振りである(笑)。
現在、64という市場ながら健闘している本作であるが、この手のジャンルでのユーザー数は日に日にPC市場などの普及により拡大している。その数から考えると、まだまだユーザーが増えても良いタイトルなはずである。
高価なCPUと大量のHDやメモリ、快適にプレイするには高価なビデオカードを必要とするPCの3Dガンシューをプレイしているユーザーには、安価に購入できる、本作を是非ともプレイして貰いたい。「コンシューマーでもここまでやるか」といったパワーを真に体験して欲しい…。本作はそんな良質なタイトルであるそして、手を伸ばせば誰もが簡単に手に出来る環境下なのだから、こんな機会を逃さないで欲しい。
※追加
「007」、「パーフェクト・ダーク」ときた同制作チームの最新作は、3Dガンシューですとも、ご期待通りの(笑)。007で先述した、ワールド・イズ・ノット・イナフです。もうかなり遅いですが、ゲームとしてはかなり期待できるはず。
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