私と英語
      (どうして日本人は英語に弱いのか)


  1.要旨: 
          戦中生まれの普通の日本人が幼い時に英語に興味を覚え、
          将来の海外雄飛を
夢見て英語学習に精を出した。長じて商社マン
          となり英語圏に通算10年駐在し、
多くの経験を積んだ。が、
          ネイティブとのコミュニケーションには限界を感ぜざるを
得なかった。
          帰国後、そのギャップを埋めるため51歳から現在まで12年間
          FEN
(現在のAFN)に挑戦しリスニングを養ってきた。
          この、半世紀に亘る英語との格闘
を通じ実感した日本人の英語
          学習の欠陥と限界に触れ、その改善策ないし積極的
向上策を試みる。

  2.小学校時代から高校時代まで
    
          終戦―――小学校4年生  ジープと進駐軍――ギブミチョコラ
                 (初めて口にした英語)
 ローマ字の時間――横文字の形
                 に魅力

          新制中学―新制度導入: 男女共学  ホームルーム  PTA
                 アルファベット――アブクドエフグ、ホイジクルムヌオ、
                            プクルストウヴ、
ウブックスイズ と覚えた
                 ラジオ英語会話――カムカム英語
          高校時代――アメリカ宣教師夫妻のバイブルクラス――イタノライフ
                 
(eternalは エターナルではなかった)。上手な通訳者に憧れ 
                 音声英語に目覚める。

                 宣教師の家で見たアメリカ雑誌の数々――アメリカンライフの
                 素晴らしさ、
アメリカへの夢いや増す。
                 旺文社の英語レコード――リンカーンのゲティースバーグ演説、
                 ゴルフという言葉をはじめて知る。

                 購読雑誌――研究社「英語世界」

   3.大学時代

         Japan Times――大学4年間購読、速読を学ぶ。50分の電車通学で
                 2ページ読む。
5分で社説を読む練習。最後ページの英米人
                 による評論記事は
歯が立たず。この購読で養った英語のままの
                 英語理解力と単語力は後にものをいう。
今も一番思い出す、
                 懐かしい学習法。

         購読雑誌――研究社「時事英語研究」
         E.S.S.――但し、not Speaking, but Studying Society 大学4年間、
                 この文化部
に所属、発音を磨く。秋の文化祭で英語劇。しかし、
                 上手く喋れた記憶
なし。
         洋画最盛期――他に娯楽なし。テレビはまだなし。ビデオは言葉すらなし。
                 字幕なしで見たい願望強まる――映画館にシナリオ持ち込み
                 3回見る。
「麗しのサブリナ」「雨の朝、巴里に死す」など今も
                 思い出す。しかし、効果少なしと判断、止める。

         Playboy―― TIME,LOOK,LIFEなどの雑誌は知られていたが、当時、
                 Playboyは知る人ぞ知るの
雑誌。ヘフナーのplayboy philosophyを
                 辞書片手に愛読。

         YMCA――  英会話を学ぶ。15人の生徒に60分授業。一人平均4分では
                 上手く
なれるはずがないと断念。

  4.会社入社当時   
    
         貿易会社――海外への最短距離、難しい英語の入社試験―長文読解
                 (4〜5ページ)英作文(時事経済トピックスの英訳)を受けて合格。
         購読新聞――Japan Times
      
         ビジネス英語――見積書、契約書、各種約款、相手との交信文を学ぶ。

      
         電報英語――字数制限(22文字)あり。コードの利用、短くて意味明瞭な
                  達意の文が必須。

         外国為替の英語――毎日の仕事、為替手形(英文)取組、不渡処理など。
                      上司による英文手紙の添削。
         会社の英会話教室――カナダ人による英会話、20名ほどの社員を対象に
                       アメリカ口語を学ぶ。 

         グループ英会話教室――オックスブリッジ出身の英国紳士にキングス英語と
                        マナーを
学ぶ。

   5.海外駐在時代
         ロサンゼルス――28歳から31歳
             1964年から67年。黄金の60年代。日本と断然差のある文明 生活。
             ハリウッド近郊に住む。高校時代の夢実現。

             リトル・トーキョウ――日本食には勝てぬ。事務所に日本人多く、
             
思うほど英語は上達せず。
         シドニー―――  33歳から36歳
             1969年から72年。 白豪主義の国、日本人には遠い国。
             事務所に日本人少ない。人事、総務担当として英語で日々
             行動。
日本の銀行、営業不可、経理マンとして地元の銀行と英語で
             取引。過去で一番よく
英語を話した時代。今もオーストリアアクセント残る。
         ニューヨーク―― 47歳から51歳
             1983年から87年。花の都ニューヨーク。マンハッタンでの1年単身
             
生活後、郊外で家族生活。仕事はコンピュータと通信。
             通勤時、毎朝、
車中でThe New York Timesを読む。本格英文を読む
             機会が多かった。
管理職として日本語で済む場合が多く、英語
             コミュニケーションはわずか
。長女―現地高校、次女―現地中学、
             長男―現地小学校に
通う。日本人が現地人並に現地大学で学ぶには
             現地高校らで最低
4年の勉強が必要と聞く。
             48歳のとき、ハーバードビジネススクールで2週間の短期講座を 受講、
             毎日100ページ以上の英文資料を読む。正直つらかった。


  6.帰国後の会社生活から現在まで 
    
        Japan Times――帰国翌日から3年間、Japan Times購読、朝の1時間
             通勤車中で
6ページ読む。1ページ10分の速さ。
        FENリスニング――51歳から毎日FENリスニングを2〜3時間続ける。
             現在で、総リスニング時間は12,000時間を越える。
             まだまだ本格的とは言い難いが、確実にリスニング力は上がって
             いる。リスニング力だけではない。リーディング力も伸び、日本語の
             英訳力も伸びた。これからも英語力増強に期待がもてる


   7.以上半世紀に亘る英語経験から何が言えるか
       ―――どうして日本人は英語に弱いのか―――

         ● 一般日本人の英語力:
             努力した割には上達しない。聞く話すは勿論、読み書きでも低水準。

         ● 何故か:
             1.英語は日本語とは別世界の言語(同一言語系統でない)
               ・語順が違う   ・語源が違う   ・音声が違う
               (英語が竹なら日本語は松。直線美の竹に対し、曲線美の松。)
               (英語は遠心的で、部分から全体へと流れる。日本語は、逆、
                求心的で、
全体から部分へと流れる。)(日本語の音声種類108
                に対し、
英語の音声種類は1808)
             2.英語をゼロまたは一から学ぶという認識は甘い。
               日本人は、英語とは正反対の日本語に邪魔されながらマイナス
               から学んでいる。英語を学ぶときも日本語が払拭できない。
               いくら竹発想(英語)(遠心的)になろうとしても、直ぐに松発想(日本語)
               (求心的)になってしまう。
               構文的にしかり(英語語順を日本語語順に置き換えないとしっくり
               こない)(和文英訳で顕著、日本語の単純置き換え型となる)。
               日本語抜けするのに一苦労。どうしても半英半日語(Japlish)に
               なってしまう。
               印欧語族なら、ゼロどころか5ぐらいから学べるであろうに。
             3.語学はヒアリング/リスニングが基本、そこから出発した日本語は
               日本人の血肉となって身体中に巣食っているのに対し、
               リーディングから出発した英語は付け刃もいいところ。
               
ヒアリングで 無意識に覚えた日本語は強いが、リーディングで意識して
               覚えた
英語は弱い。結局、身につかない。
             4.英語上達には、まず、この日本人の特質を知ることが重要。
               ハウツーではない。

   8.英語上達とはどんなことをいうのか。
          
          読み書き自在、話し聞き自在になることだろう。そうなるためにはどうすれば
          よいか。答えは簡単。今、難しいと感じていることを取り除くことだ。
       
        読み―――構文が難しい。頭から読んだだけでは理解できない。
               直訳してはどこかぎこちない。意訳ができそうでできない。
               これは、英文構造(竹発想)に慣れていないから。日本語文と
               英語文が混在してしまっている。松に竹を繋いだよう。
        書き―――和文英訳(たとえば、「できないと思います」「水を少しください」の英訳
               I think that I can not do it. となりがち。I don't think that I can do it.
               とはなり難い。Give me water a little.となりがち。Please give me some
               water. とはなり難い。日本語構文のままの直訳置き換えとなってしまう。
        話す―――これは語学の問題というより文化の問題。
               ・自分から何を話してよいか分からない。(常に受身の姿勢。日本人の
                                        無口性格。)
               ・相手の話が分からず反応のしようがない。(ヒアリングができない。)
               ・言いたいことはあるが、とっさに英語が出てこない。日本語なら言える
                のに。(英語発想に慣れていない。=竹発想不足)
               ・言いたいことがあるが、文法的に間違うのが恥ずかしい。
                               (文法意識が強すぎる=文法学習の悪弊)
        聞く―――簡単なことを意識してゆっくり話されれば少しは分かる。(構文的に
               極めて初歩的なもので、発音がクリアな場合に限る。)
               難しい内容を自然体で話されると何も分からない(発音的に、構文的に
               内容的に分からない。)

         多くの者が、英語上達を阻む理由に、記憶力や単語力の無さ、または文法
         偏重
を上げるが、決してそうではない。無意識に覚えた日本語(松)が、英語
         (竹)を学ぼう
とするわれわれの意識に無意識に働きかけ、英語発想(竹)を
         内から邪魔するからだ
日本語(松)という地球の引力は英語(竹)という月の
         引力に比べて数十倍も数百倍も
強いのだ。月世界に達するにはこの強力な
         地球引力から抜け出さねばならない。
そのためには月世界から送られてくる
         強力なロケット(AFN)に乗り(リスニング)、地球
(日本語)から少しでも離脱する
         ことである。無重力状態(少しは分かってきた状態)になる
までに数年を要しよう
         が、本気で英語に取組む気ならそのぐらいの覚悟は必要だろう。

         月世界に到達することはなくても月の引力圏内に入れればもう占めたもの、
         自分でも上達
したことが自覚できるであろう。 
         英語第二公用語論が出てから賛否両論かまびすしいが、今、思いきり英語に
         力を注いでも、そう簡単には上達しない。日本語がおかしくなるぐらいに上達
         したいものだ。
         また「英語より先に日本語を学べ」という意見もあるが、これは少し次元の違う
         話ではないかと思う。

               
                                                   以上

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