The Music Center Japan 最近の活動

     293.Daniel Rubenstein Violin Recital
      
Piano 横山美里 山口美穂

          2012.4.14(土) 18:30〜

          
Salon Collina

      
      
プログラムの説明をする美里さん      ピアノは山口美穂さん
      
            ピアノソロの美里さん                    ピアノは美里さん

                 
プログラム
           モーツァルト: ヴァイオリンソナタ ト長調 KV301     ピアノ 山口美穂
           ショパン:    ノクターン 変ニ長調 作品27−1      ピアノソロ: 横山美里
           R.シュトラウス:  ヴァイオリンソナタ 変ホ長調 作品18   ピアノ: 横山美里
           ヴィエニアフスキー: 華麗なるポロネーズ第1番 ニ長調 作品4  ピアノ: 山口美穂
              アンコール曲: ポンセ: エストエリータ

      コンサート三日目の今日は一日中しとしとと降る雨、しかしサロン内は多くの聴衆の温かい
      ムードに包まれた。
      モーツアルトのヴァイオリンソナタは可愛い、優美な曲でヴァイオリンとピアノが美しいハーモニー
      を醸した。昨日のチェロと異なり、光沢ある絹地の質感がした。チェロも好きだがヴァイオリンもいい。
      ショパンのノクターンはしばしば耳にするが、横山美里のピアノソロはまた格別。彼女が弾くとピアノが
      ピアノでなくなる。まるで人間のように音に足が生えてこちらに来てしまう。品格のある音がしみじみと
      人生を語り始める。落着き払ったそんな音にまるで恋をしたようにぞっこん惚れ込んでしまった。
      今日の圧巻はリヒャルト・シュトラウスのヴァイオリンソナタだった。筆者はこの曲を初めて聴いた気が
      する。非常に有名な曲だがあまり演奏されないそうである。それも道理。優秀なヴァイオリニストと
      ピアニストが揃わなければ演奏できないほどのしろものらしい。今日はその意味で役者が揃っていた。
      ヴァイオリンもピアノも勇壮な出だしで始終ピアノが吠え男性的。孤独な男一人、強い意志力でわが道
      を行く、鋼(はがね)の美しさだ。やがてそれはしんみりとし男の寂しさ、侘しさを感じさせる。その時、
      ピアノがハープのような音色を出した。またピアノがどーん、どーんと鳴る。ヴァイオリンとピアノの格闘技
      が始まった。美醜を越えた美の迫力に今日は法悦を感じた。
      ヴィエニアフスキーの曲は曲名通り華麗そのもの。ダニエルの左右各手の弓さばき、指さばきを近くで
      見ていると人間技とは思えない。それを操っている脳は一体どうなっているんだろう。実に不思議だ。

         
                 熱心に聴く観客
      
          
    
 









       292.室内楽コンサート

      
2012.4.13(金)14:00〜
      Salon Collina

      

     

   
今日は13日の金曜日。朝から曇り何となく忌まわしい日だと思ったら、案の定、
    北朝鮮がミサイルを打ち上げた。が、見事に失敗。やれやれだ。わがサロンでは
    ディディエ・ポスカン、神田望美、桑野彩子、石井美由紀各氏による室内楽コンサートが
    行われた。
                    プログラム

     ドップラー: ハンガリー田園幻想曲     神田望美(Fl)石井美由紀(Pf)
     ビゼー:   カルメン”間奏曲”        神田望美(Fl)石井美由紀(Pf)
     シューベルト: アルペジョーネ        D.ポスカン(Vc)石井美由紀(Pf)
     ウェーバー:  トリオ Op.63        D.ポスカン(Vc)神田望美(Fl)桑野彩子(Pl)

      いつものことながら今日もフルートの妖しさに魅せられた。うら悲しさを秘めながら
     遠くの魂を呼ぶような、太い、あるいは細い緊張した音色が宙を舞う。それもそのはず。
     ハンガリーのHunは中央アジアのフン族の名残り。祖先を慕う音色なのだろう。ビゼーの
     カルメンではほのぼのとした膨らみのある音を楽しんだ。
      チェロの低音には深みがあり音域が広い。光沢がありながらも少しザラっとした質感は
     どこか高級なウールでできた厚いセーターの肌触りに通じ、ヴァイオリンの絹地とはまた
     違う質感、重厚感がある。アルペジョーネは美麗でなめらか、しかしどこかメランコリックで
     センチメンタルな感じがした。トリオの賑やかさ、フルートとチェロとピアノ、これらの異質の
     音色が丸く調和して五目飯の味がした。    

    

     

    291.ディディエ・ポスカン(Vc)&川崎智子(Pf)
       Duo Recital

               2012.4.12(木) 14:00〜

           Salon Collina
   
     
    

    
今日は朝から快晴。この時期にしては珍しく富士の霊峰が雲の上に顔を出し
      ている。柔らかい春の日差しが庭に面したガラス戸から入ってきて、サロンの
      白壁に反射して和みを感じる。そんな中、ベルギーから来日したチェリストと地元
      葉山のピアニストがデュオを組んでの得も言われぬ名演奏に酔いしれた。
      この美しい生演奏はCDなどと違って、サロンの傾斜した天井、凹凸のある壁、
      段差のある床に乱反射して、われわれ聴衆に上下左右から降り注いでくる。
      このかけがえのない音楽的空間をどのように形容したらよいのだろう。
      魔法にかかった極楽鳥と孔雀が色だけ残して妖精となって聴衆の周辺を徘徊して
      いたとでもいうか、一口にはいえない青、赤、黄の色彩豊かな音色が適量に
      響いていた。

               プログラム
      
      チェロソロ    J.S.バッハ:   無伴奏チェロ組曲
      ピアノソロ    J.S.バッハ:   平均律第2巻より第1番(ハ長調)
                S.プロコフィエフ: 「ロミオとジュリエット」作品75より
                            「少女ジュリエット」
                R.ラフマニノフ:  愛の哀しみ
      チェロとピアノ  F.シューベルト:  アルペジオーネ・ソナタ D.821
                サン=サーンス:  白鳥
                S.ラフマニノフ:  ヴォカリーズ 作品34−14

















     290.アゼリア音楽会 in 芦屋
          
2012.2.26(日)
          
Salon Classic
  
     
 今年は春の訪れが遅い。外はまだ寒々としているが、ホールは暖か、
     芦屋での第3回目のアゼリア音楽会を開いた。この音楽会の特色は
     プロ、アマ問わずだれでも参加できるところにある。この音楽会を
     「アゼリア」と称するのは偶然にも湘南国際村の象徴花も芦屋のそれ
     もともに「つつじ」、つまりアゼリアであるからである。
     
     今回の出演者は高齢者の美声から若い人のピアノ曲までバラエティに富んでいた。

    1.
諌山 智惠さん
       
     
今、 なんと72歳になられるという諌山さんが中田喜直の六つの子供の歌より うばぐるま/烏/
     風の子供/たあんきぽーんき/おやすみ
を朗々とよく伸びる声で歌い上げるとホールににわかに春が来た。
    
     2.
岩本 美子さん
       
    
 サロン風小ホールに相応しい音量で小さな鐘の音が響き渡ってくる。あぁ、これは
     リストのパガニーニ大練習曲より 第3番 嬰ト短調「ラ・カンパネラ」だ。心の隅々まで響き渡る。
     
サロン中にアットホームなムードが漂う。

    
 3.武市 直子さん
        
      
Salon Classicでのアゼリア音楽会を仕切ってくださる武市直子さん。
      申し分のない運営ぶり。自らもショパンの12の練習曲より Op.25-1 変イ長調を弾く。
      冬の終わりを象徴するポソポソとした「雨だれ」の音が聞こえる。

      
シューベルトの即興曲 第4D899,Op.90 変イ長調は、手前から順に光っては
      消えて行くネオンの流れのよう。そんな旋律が好きだった。

    4.河野 敬子さん
        
      
ラヴェルの古風なメヌエット、ラヴェルらしいエキゾチックな丸みを帯びた落ち着いた曲。
      
リストの愛の夢 第3番、甘味ながら哀調を含んでうっとりさせてくれた。

    5.もうお一人の某さん
      この人のピアノの音の乗り方は他の人と全然違った。音の切れがよく、一つ一つの音がタテに立った
      ようで生きていた。音が光を発しているともいえた。技巧的に難しいはずの演奏にメリハリがつき、
      宝石箱をひっくり返した時のように、大小の宝石やくさりが賑やかに煌びやかに舞っていた。一向に
      ピアノ・キーの匂いがしない。音がピアノを離れて宙に浮き、音全体で巨像を作っていた。鐘がなっ
      ても鐘の外音でなく内面音が迸っていた。
       
        
         一生懸命聴き入る聴衆
      
        
      
 終演後、一階で戸塚亮一氏(ユーロピアノ社、社長)を囲んでピアノ教養講座1
      (全6回)を聴く。音の原理を発見したのはピタゴラスという話から始まり、ピアノの
      構造論に発展する。口、舌などで直接、音の調節ができるフルートやあるいは
      弦に直接、指で触れて調節できるヴァイオリンなどと違い、ピアノは肌身で直接、
      音の調節ができない難しい楽器。ピアノは指で鍵盤を叩くと、それらが間接的に
      テコの原理でハンマーを持ち上げ、さらにそれが間接的にピアノ弦に触れる。
      指のタッチいかんで弦の揺れ方が違う。指先でポンと叩くのと指の腹(指紋の辺)で
      ブォンと押すように叩くのでは音が違うという。今日の演奏にも関係して非常に
      興味深かった。










   
 289. The New Year Concert  〜協奏曲の夕べ〜
        
指揮: 小森谷 巧  Divertiment Tokyo

          2012年1月6日(金) 19:00開演〜
          
栄区民文化センター「リリス」ホール

              プログラム
          1.  モーツァルト: ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲
                           変ホ長調 K.364

          
   ヴァイオリン 高原久実 ヴィオラ 山中まりえ
         
      
         2. モーツァルト: ピアノ協奏曲 第12番 イ長調 K.414

            
 ピアノ 霜浦 陽子
         

         3. モーツァルト: ピアノ協奏曲 第9番 変ホ長調 K.271
           
            
 ピアノ David Korevaar
         
         
       
David Korevaar が新年早々にやってきたのは念願のコンチェルトをやるため
        だった。
コンチェルトとはラテン語で競争すること、イタリア語で一致することを
        意味するが、日本語では協奏曲と訳される。つまりオーケストラの伴奏をバック
        に独奏楽器であるピアノやヴァイオリンが華やかに活躍する演奏である。
        今日のコンチェルトはどれもモーツアルトの作品で素晴らしい演奏だったが、
        ここではDavidの演奏についての感想だけに絞る。
        モーツァルトは1756年生まれで、フランス革命の起こった1789年の2年後に
        亡くなった。先輩のJ.S.バッハやヘンデルの曲は知っていても、フランス革命後
        から活躍し出した後輩のベートーヴェンの曲は知らない。まだ宗教音楽色濃厚な
        この時代に、このような大胆で新鮮な、また規模の大きい、勇壮かつ気品に満ちた
        優美な曲を作曲するとはまさに天才である。
        いつもは読響のコンサートマスターとして知る小森谷巧氏のしなやかな身のこなし
        による指揮ぶりとDavidの手指、腕、上半身の洒脱な動きに目を奪われながら、
        黒いアコースティックな空間に時間という糸で紡ぐ色彩豊かな管弦模様とその中心
        で燦然と輝くブラックオパール的なピアノ模様を見た。
       
        

        
        




    
    
288. New Year Joint Concert (客演:David Korevaar)
         
        2012年1月5日(木) 19:00〜
        栄区民文化センター「リリス」

       新年早々、ピアニストのDavid Korevaar氏を客演者として迎え
      Joint Concertを催した。

            藤本 剛             連弾 山口美穂 酒谷真知子  
   
    
      リスト: ペトラルカのソネット 123番       フォーレ: ドリーの組曲 Op.56より
      三つの演奏会用練習曲より「ため息」 
       @子守唄AミアウBドリーの庭           
 
         コリチェワ・ナタリア
 
     平下美香(フルート)後藤菜美(フルート)藤本 剛(ピアノ                 
    
 
      シューベルト: 即興曲Op.90−No.2,3,4         ドップラー: アンダンテとロンド    

       川崎小夜歌                     石井美由紀              
        
     
ショパン:ノクターン第10番 As Dur Op.32-2   バッハ=ペトリ: 羊たちは安らかに草を食み BWV208-9
        ノクターン第13番 c-moll Op.48-1    モーツアルト: ピアノソナタ第三番 変ロ長調 k。281
                           シューマン=リスト:  献呈      

         David Korevaar
     
        
ショパン:  ノクターン第16番ヘ短調Op.55-2   
   
                           バラード第1番Op.23


       



      

      

      


   287. ポッサラッセ展

          
期間:  1月5日〜9日
          会場:  
栄区民文化センター「リリス」ホール 

         筆者は今年数えで喜寿となった。それを記念してポッサラッセ展を開催する
        ことにした。ポッサラッセは筆者のペンネームでポスト・サラリーマン・ライフ・
        エッセーの略。定年後はエッセーを書いたり、その内容となるようなことをして
        のんびり暮らそうとしたもの。
        前回の古希通過展に続いて、70歳から75歳にかけて制作した作品で、
        油絵(23点)、書(5点)、五行歌(40点)、スケッチ(百点)、エッセー(20編)
        などを展示した。
        開催中、同文化センターでコンサートを催したこともあり332名の人たちに見て
        もらった。


    
    
    
    
    

 

    
  






      286. 2012 New Year Concert
              
        漆原啓子&ディヴィッド・コレヴァーデユオリサイタル

          2012年1月4日(水) 14:00〜

            
 Salon Collina

    
今年は年初からディヴィッドがやってきた。早速、漆原啓子さんとの
      デュオリサイタルとなった。

       

            プログラム

         J.S.バッハ:   パルティータ No.1 変ロ長調(ピアノソロ)
         ブラームス:    ヴァイオリンソナタ No.2 Op.100 イ長調
         クライスラー:   愛の喜び、愛の悲しみ、美しきロスマリン
         ヴィエニャフスキー: ポロネーズNo.2  モスクワの想い出

     第8回ヴィャフスキー国際コンクールにおいて最年少の18歳で
     
日本人初の優勝した漆原啓子さんにとってヴィニャフスキーの曲はいわば
     十八番の十八番だろうが、なかでも「モスクワの想い出」は筆者
の好き
     曲である。それはこの曲が
ロシア民謡の「赤いサラファン」をベースにして
     いるからで
多くの日本人同様、筆者もロシア民謡が好きだからだ。
     
重たく、だるく、土臭い中にも甘く切ない哀切叙情が宿るロシア民謡。
     
この曲にもこの要素を感じ取りはするが、それよりもっと西洋的に洗練された
     何かを感じるのは、ロシアを旅したポーランド人のヴァイオリニスト、
     ヴィエニャフスキーがモスクワの想い出として作曲した曲だからだろう。
     そこがたとえば、カチューシャ、トロイカ、ヴォルガの舟歌、ともしび、
     ステンカ・ラージンなどの民謡と違うところだろう。
     

 











   285. 漆原啓子&ディヴィッド・コレヴァーデュオリサイタル
         
   ゲスト出演: ロビン・コレヴァー
        
          2011年6月19日(日)18:30〜

                
Salon Classic

      昼に続いて夜のリサイタル。役者変わって漆原啓子さんとディヴィッド
      コレヴァーの出演。ロビンはそのまま、違うメンバーと組んで、昼間と
      同じバルトークのコントラスツを演奏する。

      

      

     
         本日のプログラム
         ベートーヴェン: ヴァイオリンソナタ第2番
         シューベルト: ファンタジー
         クライスラー: 愛の喜び 愛の悲しみ 美しきロスマリン
         ヴィニアフスキー: ポロネーズ第2番A−Dur
         バルトーク: コントラスツ(with ロビン・コレヴァー)


   
今年もまたコロラド州ボールダーからディヴィッド・コレヴァーが来日した。
  彼とはもうかれこれ二十年の付き合い。わが家族の一員、息子的存在だ。
  今年はクラリネット奏者の奥さん、ロビンも一緒にやって来た。

    
例年と同じく今年も漆原啓子さんとデュオ演奏をしたが、最後はロビンも
  交えてトリオ演奏をした。
ここでは特に私の印象に残ったシューベルトの
  ファンタジーとバルトークのコントラスツについて書く。
シューベルトの
  ファンタジーを聴きながらイメージしたのは清らかな渓流から飛沫を上げて
  激しく落下する滝だった。白糸の滝、滝は清らかだが、同時に激しい。
  漆原啓子のヴァイオリンも清らかで同時に壮絶。蒼白い水が幾十もの筋と
  なって流れ落ちるように、漆原啓子の弓がヴァイオリンの上を激しく上下する。
  この清らかなエキスタシー。真白い滝に虹が射すようにヴァイオリンの音に
  オーラが射す。滝の流れる岩肌は黒光りするピアノ。陰影が美しい。動であり
  静であるヴァイオリンとピアノの光沢、ヴァイオリンが白磁の壺ならピアノは
  輪島塗の黒の漆器だ。

  バルトークのコントラスツ、これはクラリネットとヴァイオリンとピアノの
  ために書かれた曲で、バルトークがスイング王、ジャズのベニーグッドマンに
  捧げた曲。最初の出だしがユーモラスだ。クラリネット、ヴァイオリン、ピアノ
  が思い思いに己を主張し、もうもうとクラリネットが唸ればヴァイオリンが
  ピチパチと吠える。そこへピアノがキョンキョンと割って入る。クラリネット
  は管で茫洋としてくぐもった音。ヴァイオリンは弦で、繊細な絹糸のよう。
  ピアノは鍵盤で、打楽器と弦楽器のあいの子、バーンと野太い声を立てたり
  キーンと黄色い声を出す。この音の手品師が音の道化師となって、たとえば
  夏の夜中、田圃でゲロゲロと鳴く蛙やゴソゴソと騒ぐ山の鳥、ギャシャギョ
  ショと蠢く昆虫、自然を愛したバルトークらしい音の道化。
  いわゆるクラシックの音に慣れた耳にはいささか違和感があるが、そこが狙い目、
  美醜を越えた美にこそ美は宿るとみた。


     

 










  
284. 高梨真実&横山美里ランチタイムリサイタル
         with ロビン・コレヴァー


             2011年6月19日(日) 11:00〜

              
 Salon Collina

      
毎年来日するDavid Korevaar氏に同伴して奥さんでクラリネット奏者の
       Robin Korevaarさん初来日、梅雨の曇り空の下、日本のヴァイオリニスト
       とピアニストとともにトリオ演奏した。終演後のランチで観客の皆さんと
       日本の梅雨を愉しんだ。

    
      
    

         
本日のプログラム
    グリーグ: ヴァイオリンソナタ 第3番 ハ短調 作品45
    シャミナード=クライスラー: セレナーデ・エスパニョール(スペイン風セレナーデ)
    ポンス=ハイフェッツ: エストレリータ(私の小さな星)
    バルトーク: ルーマニア民俗舞曲
    バルトーク: コントラスツ(with ロビン・コレヴァー)
   
     

    このプログラム見るなりそのエキゾシズムに興味を持った。お決まりの
   作曲家はおらず風変わりな作曲家ばかりだ。そこが私の気に入ったところ。
   ノルウェー、スペイン、ルーマニアやブルガリアとヨーロッパの片田舎の
   民俗音楽をベースにした曲ばかりが並ぶ。
グリーグはノルウエーの作曲家、
   それを
弾く高梨さんの白いドレスが北欧の冬を連想させる。寒空を破って
   地上に降り立った雪の精は少々剛直だが、ピアノとヴァイオリンが楽しく
   会話し鬱蒼な中に抒情を湛えた北欧の空気が流れている。
シャミナード=
   クライスラーのセレナーデ・エスパニョール(スペイン風セレナーデ)と
   ポンヌ=ハイフェッツのエストレリータ(私の小さな星)は暑い情熱の国
   スペインである。夜空に瞬く星、セレナードに藍と黄の宇宙を連想する。
   ゴッホの、星空の下で光輝くカフェテラスを想像しながらセンチでメラン
   コリーな気分に浸る。スペイン変わってルーマニア、奏でるはバルトーク
   のルーマニア民俗舞曲とコントラスツ。かつて訪れたルーマニアが懐かしい。
   ルーマニア民俗舞曲にはジプシーの血が流れているのか哀調がある。コント
   ラスツはバルトークがあのベニーグッドマンに捧げた曲。題名コントラスツ
   は文字どおりクラシック音楽とジャズ音楽の対比やクラリネット、ヴァイオ
   リン、ピアノの音質の違った三楽器の対比を意味しているという、じっくり
   傾聴した。
   、 

 
















   283.The Grand Trio リサイタル

           2011年3月28日(月) 14:00

             
Salon Classic in 芦屋

   オープンしたばかりのこの音楽ホールで最初に演奏したのは
   The Grand Trioだった。言葉どおりGrandな三人はNHK交響楽団、
   首席チェリストの藤森亮一氏、読売交響楽団のコンサートマスター
   の小森谷巧氏、それにコンサートピアニストとして最近めきめき売り
   出し中の横山美里氏だった。まことに名誉なことである。
     
     本日のこの三人によるプログラムは
   ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲 第7番 変ロ長調 作品97「大公」
   メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲 第1番 ニ短調 作品49


      
   
   この大曲が花咲くSalon Classicの模様を少し記しておこう。
   部屋の広さはざっと三十畳、空間美をどこまでも追求した一級建築士の
   誇りある上品な造り。四面の白壁が上からの間接照明で淡く照り、床は
   青緑色。舞台と客席の間に段差なく奏者と聴衆が一体となっている。

    この演奏の素晴らしさをどのように表現したものか。音楽はよく音を紡
   ぐという。まさに今日の演奏は機織りよろしく三人が豪華絢爛なゴブラン
   織り、ペルシャ絨毯、西陣織り、タペストリーを織っている感じがした。
   ヴァイオリンを黄色、チェロを青色、ピアノを赤色として、この三原色の
   音糸が織り成す多様な色彩と模様、それはドラクロワのロマン色濃い渋暗色
   あるいはルノアールの艶麗で光沢のある大輪の牡丹のようなグラマラスな
   音模様、それらに私はうっとりしてしまった。

   余りにも感動感激した私は今日のThe Grand Trioの演奏を30号の油絵にして
   サロンに飾ると演奏者に約束してしまった。下記は曲の雰囲気まで出した
   つもりの私の野心作である。

      
         
約束どおり描いた The Grand Trio 30号油絵

   

      





   282  Salon Classic 落成記念コンサート

     
2011年3月12日(土)昼14:00 夜18:00
         

            
Salon Classic in 芦屋

   
  今日は私達夫婦にとって生涯忘れられない日となった。
    The Music Center Japanのもう一つのモニュメント、Salon Classic
    が芦屋に落成し、こけら落し記念コンサートを開けたからだが、
    もう一つ、その前日にあの忌まわしい東北大震災が起ったからだ。
    この大混乱の中、われわれのために大苦労して東京を脱出し、ここに
    駆け参じてくれた、ヴァイオリニストの漆原啓子さんと松本和将さん
    (ブゾーニやエリザベート王妃国際ピアノコンクールで上位入賞)に
    はいくら感謝してもし切れない。そのプロ精神に脱帽する。
    前夜ほとんど眠らず西下して昼・夜二回も演奏してくれたのだった。


  
   
落成を喜ぶ私たち          漆原啓子/松本和将両氏の演奏

  
  
息の合った二人              こけら落しにきてくださった人たち

    クラシック音楽の振興や普及、教育に携わってきた私たちだが、
    家内と違って私自身がこれに興味を持ち出したのは定年以後。
    自宅に音楽ホールを作って生演奏を聴き始めてからである。
    そんな私にもう一つこのような音楽ホールが増えた。この機会に
    私がどんな風にクラシック音楽を愛で始めたかを記しておこう。

   
音楽を聴くときの私の心構えはこの音楽からどんな絵画的イメージ
    が脳裏に浮かぶか、それを待つことである。音楽はよく言葉に出来
    ないといわれるが、岡田暁生著「音楽の聴き方」(中公新書2009)
    P210にもあるように、「音楽を言葉にすることを躊躇しない。
    そのためにも音楽を語る語彙を知ること、音楽を聴くことと同じく
    らい面白い」それには演奏者の姿も大いに関係する。だからCD
    では物足りない。演奏者の演奏振りを凝視しながら自然に湧いてくる
    絵画的イメージを追い、忘れないうちにその場でメモをする。
    今日の演奏から何をイメージしたか。幻想的な音楽を聴いていると、
    新鮮な魚が脳裏に浮かび上がってきた。あの鯖の腹の辺りの白肌の中
    に淡くしかし燦然と輝く赤、青、黄、金、銀の光沢は筆舌に尽しがたい。
    海中で受けた七色の光線が身体に印刻されるのだろうか。この自然の
    造化を音楽では作曲家や演奏家が創造するのだ。
    それは何と美しい営為、作業であることか。










   281. Marco Meloni バロックギターリサイタル
  
          2011年1月19日(水) 14:00〜
 
         
 Salon Collina

     
2011年元旦から今日まで晴日が続き、今朝の富士山は少しもやがかかって
      いたが、二人の賓客を迎えてくれた。、一人は七年前に一度ここに来たことの
      あるマルコ・メローニ、もう一人はここには初めてだが日本に三十年ぶりに再来
      した世界的ギタリスト、「生きる伝説」のホルヘ・カルドーソだった。彼は何と
      世界的ギタリストであるばかりでなく、作曲家、外科医、音楽大学の教授でもある。
      この二人を連れてきてくれたのは樋浦靖晃氏だった。

     
    
     
     
     
    

             曲目

    J.S.バッハ.........................   シャコンヌ BWV1004
     J.S.バッハ.........................   パルティータ第3番BWV1006
     Saldivarの写本より(メキシコ)......ファンダンゴ
    リマの譜本より(ペルー).............3つのソナタ
    A.M.バルトロティ................... 組曲ニ短調
    G.サンス〜A.de.サンタクルス........カナリオス
    F.ルコック.........................   スペインのフォリアによる変奏曲

      
    今日はバロック・ギターの品格をあらためて認識した。常日頃、騒音に慣らされた
    耳にはバロック・ギターは物足りないぐらい小さく静かな音だが、それが今から三百年
    から三百五十年前の古楽器と聞くと肯ける。ピアノの始祖、チェンバロに似た繊細で
    黄色い音を出す。汚れた心も洗われる思いがし、しばし祈りにも似た気分に浸る。
    ギターの胴に大聖堂のドームのような穴が開いていて、中が羊皮紙で覆われている。
    宇宙創造の神とコンタクトしたギタリストがこの穴に神を招き入れるのだ。その音は
    一種単調に聞こえるが、一人静かに沈思黙考する心の襞にその一音一音が優しく
    忍び込み、喰い込み、語りかけてくる。ギタリストと私の間に繋がった細い音の糸は
    この穴に通じているのだろう。ピアノやヴァイオリンは人の知性に訴えてくるが、
    バロック・ギターは人の情感に訴えてくる。だからだろうか胸に響く。
    ギタリストの動きに派手なところはない。一定の姿勢を保ち、向って左は指先だけで
    織物でも織るように音を紡いでいる。蜘蛛が足を動かしているようでもある。
    右は腕がわずかに動き指が上下して、絨毯か畳の上を滑るように柔らかい音が流れ
    て行く。シャラン、シャランと打ち鳴らす音、ポロン、ポロンとため息をつく音。ジャン、
    ジャンと掻き鳴らす音。この単調な音の中に七色の音を蔵していたのだ。
    バロック・ギターには9本の弦があり、調弦には時間がかかる。マルコとホルヘの二重
    奏には18本の弦が上手く調和しなければならない。いよいよ調弦が大変だ。しかし
    それだけに色彩豊かだ。マルコとホルヘ、それに樋浦氏を加えた三重奏が圧巻だった。
    音のサクラがパッと咲いたような賑やかさ。手前、奥、あるいは上の梢に一斉に咲く音
    の花びら、満艦飾が実に美しかった。

     

     


 
    
    
           

        
   
   280. The Grand Trio Recital
       
           2010年9月12日(日)14:00〜
   
           
東京オペラシティリサイタルホール

    
読売交響楽団コンサートマスターの小森谷 巧さん、NHK交響楽団
      首席チェリストの藤森亮一さん、それにコンサートピアニストの横山美里
      さんの豪華三人メンバーで編成されたThe Grand Trioによるピアノ三重奏
      リサイタルを開いた。

      
    
       
    プログラム
    
ショスタコーヴィッチ: ピアノ三重奏曲 第1番 作品8
      シューマン:       ピアノ三重奏曲 第1番 ニ短調 作品63
      ラヴェル:        ピアノ三重奏曲

     これら三つの三重奏曲を私はどんな思いで聴いたか、当らずとも遠からずと
     思われる印象を述べてみよう。
     まずはショスタコーヴィッチ。これは画家のカンディンスキーが描くところの20世紀
     抽象画だ。深みのある地色にシンプルではあるが多彩な色が塗り込まれ、その動く
     様は深海魚の航跡のよう。深くて鮮やかな非常に美しい魅惑的な曲だった。
     ショスタコーヴィッチ、17歳のときに書いた最初の室内楽だとか。「詩曲」と呼ばれた
     そうだが、そう呼ばれて不思議はない。
     次のシューマン、これを聴きながらユトリロを想像した。これはシューマンが精神疾患
     に悩まされ暗い気分の中で作曲した作品らしいが、ユトリロのあの鬱陶しい曇天の下
     での白の世界に共通した暗い情熱に魅力がある。アルコール浸けとなった精神を病む
     ユトリロの不健康な薄紫色を音楽にしたようだった。
     最後のラヴェル。これはゴーギャンだった。フランス人のラヴェルではあるが、スペイン
     色濃厚。そのエキゾティシズムは南国風でもある。タヒチでのあの独特の黄緑、オレンジ
     色、こげ茶。この曲にもそんな秘境的な色を見つけた。

     
       大変な人気だったCD販売。
















  279. Mai Akagi & Sang Woo Kang Duo Recital

    
      2010年8月22日(日) 14:00〜

            
Salon Collina

    
今年の夏の暑さは格別、この丘の上すら暑さは厳しい。そんな中、
      ニューヨークのイーストマン音楽学校でクラスメイトだったという大阪出身の
      赤木舞さんと韓国系アメリカ人のサン・ウー・カン君とのピアノのデュオ
      リサイタルを行った。舞さんが帰国後東京芸大でPhD博士号を取ればカン君
      がジュリアード音楽院で音楽博士号を取るという学も芸も人(格)も優れた
      コンビだった。今年はシューマンとショパンの生誕200年を祝う記念すべき年。
      舞さんが彼女の好きなシューマンを弾けばカン君がショパンを弾く。そして最後は
      仲良く二人して呼吸の合った四手によるモーツアルトとドビュッシーを奏でた。

  

   

   

            
プログラム
   シューマン: パガニーニのカプリスによる練習曲 作品32
   シューマン: 幻想小曲集 作品12 より「夕べに」「飛翔」「なぜに」「夢のもつれ」
   シューマン(リスト編曲): 献呈
   ショパン: ノクターン 変二長調 作品27−2
   ショパン: 幻想ポロネーズ
   モーツァルト: 四手のためのピアノソナタ ニ長調 K.381
   ドビュッシー: 小組曲 「小舟にて」「行列」「メヌエット」「バレエ」

    今日も演奏者の傍でビデオを撮りながら生演奏を楽しんだ。個々の曲の印象は
   今回は割愛するが、音楽って不思議なものだとあらためて感じた。普段はだれも
   いないそっけないホール空間が美しい音楽の音(ね)で満たされるのだ。斜めの
   天井、凹凸のある壁、段のある床、何人かの観客に音が乱反射してこの耳に迫って
   くる臨場感はすごい。これはCDやテレビでは絶対に味わえない。直に見る景色と
   テレビで見る景色の相違だ。天井から頭上に降ってくる金や銀のキラキラ光る音片
   の群。不穏な言い方だが、テレビで見るジャックナイフはおよそ怖くないが、ピカピカ
   光るジャックナイフが目の前で突きつけられたらゾッとする。それほどの違いだ。
   音コピーのビデオを再生しながらいつも思うことである。 

         












  278. 午餐会コンサート

           2010年8月9日(月) 11:00〜

              
鎌倉別邸ソサェティ

     
今日は第65回長崎原爆記念日。ここ鎌倉別邸ソサェティのレストラン
     「ライラック」から鎮魂や祈りのメロディが聞こえてくる。
     カッチーニのマリア、マリアと叫ぶアヴェ・マリア、それに米国の2001.9.11
     同時多発テロ以来、アメリカの第二の国歌といわれるようになったアメージング
     グレイスだ。日本人にとっての8.15はアメリカ人にとっては9.11だ。

      ここ鎌倉に集まった出演者は東京からフルートの山田ゆう子、広島から
     ソプラノの工西美穂、ニューヨークからヴァイオリンの小澤真智子、そして千葉から
     伴奏の片岡和子だ。

     

    

     

                       プログラム

   フルート  シュテックメスト: 歌の翼による幻想曲
          パラディス:    シチリアーノ
          ピエルネ:     鉛の兵隊の兵隊のマーチ
          成田為三:     浜辺の歌
          ジュナン編:    ベニスの謝肉祭
         
   ソプラノ  越谷達之助:   初恋
          ガーシュウイン: サマータイム
          木下牧子:    ロマンティストの豚
                     さびしいかしの木
          プッチーニ:    」ジャンニ・スキッキー」より”お父様、お願い”
          カッチーニ:    アヴェ・マリア (フルートも参加)

    ヴァイオリン  モンティ   チャルダッシュ
          黒人霊歌:    アフターアメージンググレイス
          ドボルザーク:  ユーモレスク
          マスネ:      タイスの瞑想曲
          サラサーテ:   チゴイネルワイゼン
 
    ヴァラエティに富んだ構成で、曲も馴染のものが多かったせいか観客の皆さんもみな
    満足顔。フルートのシチリアーノ、ソプラノの初恋、ヴァイオリンのチャルダッシュに共通
    するのは「哀愁」。哀の字は愛の字より高齢者にとっては郷愁をそそり癒しになる。
    パスタの料理を頂きながら、昔懐かしい「浜辺の歌」の妙なる調べをゆう子のフルート
    で聴き、にこやかに語りかけてくるような美穂のまあるいソプラノに癒され、真智子の
    髪を毛を逆立てて一生懸命激しく弾くヴァイオリンの身を切るようなジプシー曲
    チゴイネルワイゼンの調べに酔うこの贅沢。夜の花火もいいがこの昼間のコンサートは
    格別だった。                               
















  
   
277.The Summer Joint Recital

         2010年8月8日(日) 14:00〜
   
         
横浜美術館レクチュアホール

    
レベルの高い夏のジョイントリサイタルを珍しい会場で行った。
    
  
 1. アルヴェニスの入り江のざわめき、タンゴ、アストリアスの弾く小菅洋子さん
       

   
2.ショパンのバラード 第4番を弾く伊藤順一君
         

     3.越谷達之助の初恋、カタラーニの「ラ・ヴァリー」より”さよならふるさとの家よ”と 
       ヴェルディの「運命の力」より”神よ、平和を与えたまえ”を歌うソプラノの工西美穂さん、
       伴奏のコリチェワ・ナタリアさん
         

      4.シューマンの「幻想小曲集」より”夕べに””飛翔””気まぐれ””夢のもつれ”
        およびパガニーニのカプリスによる練習曲Op.3−2、シューマン(リスト編曲)
        献呈を弾く赤木 舞さん
         

     5.ベートーヴェンのピアノソナタ第3番 ハ長調 1,2,4楽章を弾く坂牧春佳さん
         

     6.カッチーニの「アヴェ・マリア」、バーンスタインの「ミサ」より”シンプル・ソング”
       「キャンディード」より”きらびやかに楽しく”「ウエストサイド物語」より”トゥナイト”を
       歌う浅香真理子さん、伴奏の大森ひろみさん
         

      7.シューベルトの 萎える花による主題と変奏を吹く神田望美さんと弾く大河内佐和さん
         

     8. ラフマニノフのプレリュード Op.23−6、エチュードOp.33−1、プレリュード
        G−murおよびポルカを弾くコリチェワ・ナタリアさん
        

    
上は後期高齢者近い人から下は中学3年生まで、また海外留学または海外音楽祭参加者、
     あるいは海外オーケストラとの共演者、いろんなコンクールの最高位入賞者などレベルの高い
     参加者ばかりだった。このようなバラエテイに富んだ出演者によるジョイント・リサイタルは
     一般的には少ないのではなかろうか。このような機会を通じて音楽家同士知り合えるのも
     有意義という人がいた。
    
















   276. 工西美穂ソプラノリサイタル

      
            ピアノ伴奏: 片岡和子   友情出演 志村寿一

           2010年8月6日(金)  14:00〜
     
                 
Salon Collina

  
今日は第65回広島原爆記念日。核廃絶を訴えて国連事務総長も出席するという。
  平和を祈る声なき声がここまで聞こえてくる。その広島から今日はこの湘南国際村に
  歌姫がやってきて、ヴェルディの「運命の力」より”神よ、平和を与えたまえ”と歌った。
  一方、ニューヨークより一時帰国中のヴァイオリニストが特別の計らいで友情出演して
  くれた。
  
    

    
  

           
プログラム

    山田耕筰: 野ばら からたちの花
    越谷達之助: 初恋
    小林秀雄: 落葉松
    ショパン: ワルツ作品64−1,2 (ピアノソロ)
    モーツアルト: ソナタ ト長調 KV301
    サラサーテ: 序奏とタランテラ Op.43  
         (友情出演: 志村寿一Vn 片岡和子Pf
    プッチーニ: 歌に生き 恋に生き
    ヴェルディ: 「運命の力」より
              ”神よ、平和を与えたまえ” 

    アンコール曲
     カッチーニ:  アヴェ・マリア

   油の乗り切った工西美穂の美声にうっとりしていたが、彼女曰く、自分の
   師匠は車椅子の84才だが、かつて藤原歌劇団のプリマドンナとして鳴ら
   しただけに、いまだに歌い続け、あなたなどまだまだヒヨコ、年齢を重ねる
   につれ、歌に味が出てくる。これからもっと精進しなさいと言われるという。
   何ごともその通りだと思う。
   日本歌曲も外国歌曲も美穂の清澄な中にも静かに底光りする声に支えら
   れて言葉が生きている。その時ふと書の佇まいが過ぎった。彼女の喉は筆
   だ。出てくる声は墨だ。勢いのある払い、はね。折れるところは折れ、延ばす
   ところは延ばす。たっぷりつけた黒々とした墨、消え入るような細い美しい
   かすれ、全体のバランス、個々の字体の形、引き締まり、美はどんなジャンル
   も同じだとつくずく思ってしまう。

   

   今日のお客さんは高齢の方が多かった。口々によかったと誉めてくださり、
   この年齢になると都会まで出かけてはいけない。こんな近くでこのような音楽が
   聴けるなんてなんと幸せなこと。これからいよいよ中高年層が増えてくる。歳とと
   もに落ち着いたクラシック音楽がよくなる。このようなホームコンサートの機会の
   有難味が切実に感じられるようになるはずと後期高齢者のお一人。私もそう思う。
   まことに嬉しい言葉だった。
   、