デ・コード【de-code】



詠月:こんにちはぁ、詠月です。

あゆ:あの、えーくん…
   なんで、ボクがここに?

詠月:アシスタント!

あゆ:クリスちゃんを出すべきじゃない?
   こういうところではさ。

詠月:ああ…彼女ねえ…
   う…ん、確かにそうなんだが…
   あゆ相手で、もう本文書き上げちまったからね〜

あゆ:そんな理由で……

詠月:元々はメル友に出した文章が原型だしね

あゆ:クリスちゃん可哀想…

詠月:まあ、続編書くとき彼女をアシスタントにすっから

あゆ:はぁ…適当な人…、
   クリスちゃん…瑞佳ちゃんより不憫だね

詠月:俺は騙して罠にハメたりはしてないぞ

あゆ:はいはい、わかったから



あゆ:今回の内容は?

詠月:…タイトル通りだよ

あゆ:デコード…暗号の解読…?

詠月:ただし……音楽の方だったりする(にやりん)

あゆ:音楽…メジャーとかマイナーとかのあのコード!?

詠月:そだよ。
   タイトルは『D』からのって意味を含めて『デ・コード』ってシャレたんだ


あゆ:あ、なるほどね

詠月:こらこら、あっさり流すなよ〜

あゆ:でも、えーくん、音楽やってたっけ?

詠月:いや、病気のリハビリ用にキーボードをいじってただけ

あゆ:弾けるの?

詠月:聞くなって、頼むから察してくれ

あゆ:それがどうして…
   こんな大それたコトを?

詠月:いや、たまたま、キーボードいじってたとき気付いただけ、
   法則性っていうか…その、簡単な覚え方かな

あゆ:えーくんの得意技だね

詠月:ま、そうだね、人の知らない事実を見つけ出して
   ショートカットしていくのは僕の得意技だね

あゆ:ホントに役に立つモノだかどうか分からないけどね(笑)

詠月:うぐぅ〜!!



あゆ:本文に書いてあるけど、どうしてまた
   公開しようって思ったわけ

詠月:うん、この前たまたま本屋で『楽典』なる本を立ち読みしてね

あゆ:感化された?

詠月:いんや、その逆、あまりにも面白くないんでね、
   だって、関連性なしの丸暗記だよ!! 読んでるだけで憂鬱になったよ
   で、これなら自分のやり方にも、すこしは意味があるだろって思ったんでね



あゆ:なんか参考にした本とかはあるの?

詠月:コードの本を少し読んだだけ、『楽典』にしても立ち読みしただけだから
   だから用語はかなりいい加減かもしれない…
   細かいこと知ってる方、読みながら補正してください…あしからず

あゆ:はぁ〜、ダメだねぇ…



【本題】

詠月:あゆ…Cメジャーって知ってるか?

あゆ:バカにしないでよ!
   三和音の基本だよ、知らないわけ無いじゃない
   ド・ミ・ソ、だからC=ドならC・E・Gだよ

詠月:ではCマイナーは?

あゆ:ラ・ド・ミだから……C=ラなら……C・E♭・Gだ!

詠月:ほう、なかなかやるな

あゆ:へへん

詠月:続けてもう一つくらいいいか?

あゆ:まかせてっ

詠月:D♭メジャーは?

あゆ:えっと…メジャーだからド・ミ・ソ
   んで…っと、鍵盤無しだと難しい…
   そうだ!!
   C♯=D♭だからさっきの(Cメジャー)が全部半音上がるんだ。
   するとC♯・E♯・G♯…だから
   コレを一音上げて全部に♭をつければ同じ音になるから…
   D♭・F♭・A♭だね!!

詠月:わはははは〜
   なんだよソレは?

あゆ:え! なにがさ?間違ってないよ!!

詠月:E♯ってFのことだよ〜、
   だから、正解はD♭・F・A♭だよん

あゆ:しまったぁ!! E〜F間は半音だってこと忘れてた〜

詠月:かように、和音をならいたてのころは、こんな風に間違えやすい

あゆ:全部おぼえちゃえばいいんだ!

詠月:ほう、12音全ての長和音(メジャー)と短和音(マイナー)をか
   24通りあるぞ、加えて
   減和音(ディミニッシュ)やら増和音(オーギュメント)、
   長三度減和音、やら短三度増和音
   さらに完全4度掛長和音(sus4)、も加えると
   三和音だけで、暗記しなきゃならないのは、12X7種類もある
   これだけ憶えて、
   さらにこれに長6度付加、短7度付加、長7度付加
   その上、長9度付加、完全11度付加、長13度付加

あゆ:うっぐぅ!!

詠月:ぐたぐたいうな!
   音楽勉強してるヤツはみんな暗記してるぞ!

あゆ:たすけてぇ…

詠月:…もし、ここで
   一通りの方法を憶えるだけで、全て済むとしたらどうする?

あゆ:あぁん、神さまぁ!!

詠月:まあ、もちろんそれだけ憶えても、意味が無くて
   上に出てきた言葉の意味も憶えなきゃならないがね
   それでも12分の1ですむ。
   中学高校程度の音楽の授業での
   この手の論理問題なんかいとも簡単に解けるようになる

あゆ:おしえて、おしえて!!

詠月:しゃーねえな、いつかネットで発表しようと思ってた、
   とっときのネタなのにさ

あゆ:でも、発表する勇気が無いんでしょ?

詠月:るせ!

   さて本題だ
   三和音ってだいたい五線譜でどんな形で現れる?

あゆ:ドミソ特にCメジャーなんかは
   玉を重ねただけのただの串団子見たいになるよ

詠月:Cメジャーか…じゃあGクレフ(ト音記号)付五線譜で考えたら
   五線譜の線上に玉が並ぶだろ、下側のCだとさ

あゆ:うん、そうだね

詠月:Dマイナーから考えると、五線譜では?
   あ、もちろん下側のDからで

あゆ:ラドミ、DFAだね、
   五線譜だと線の間に玉と玉が並んでる
   五線譜の一番下の線の外側から上に向かって玉を並三つ並べただけだね

詠月:ではその五線譜上のDマイナーにどんどん玉を重ねてくれ
   全音半音とか考えなくて、ただ五線譜の線の間に玉を並べればいい

あゆ:できたよ、D|F|A|C|E|G …何コレ?

詠月:Gの上にもう二つ音を置いてくれ

あゆ:BとDだね、だから
   D|F|A|C|E|G|B|D
   ようするにこれは一音ずつ省いて並べた音だね

   D|F|A|C|E|G|B|D
    E G B D F A C

   てなかんじでさ

詠月:もともとの五線譜が
   そういう風な音の並べを意識してつくってあるからね

   さあてここで、
   半音を1、全音を2として、今もとめた
   Dからの並びの音同士の距離を書いてみな

   C−D−EF−G−A−BC

   が鍵盤の並び(−には黒い鍵盤が入る)
   隣接している者同士なら間は半音つまり1だから
   ふつうの白鍵盤の音(ドレミ)なら

   C D E F G A B C
    2 2 1 2 2 2 1

   になるよね

あゆ:え〜と

   D|F|A|C|E|G|B|D
    3 4 3 4 3 4 3 


  あれ! 交互に34が出るよ!!

詠月:これが僕が編み出したスケール(尺度)さ

   メジャーは根音から【43】の高さで選んだ和音
   マイナーは根音から【34】の高さで選んだ和音

   試しにやってみようか
   Aメジャー
   A・C・Eが【34】
   メジャーは【43】だからCを半音上げるだけ
   A・C♯・E

   Gマイナー
   G・B・Dが【43】
   マイナーは【34】だからBを半音下げて
   G・B♭・D

   Bマイナー
   BDFが【33】
   マイナーは【34】だからFを半音上げて
   B・D・F♯

   Bから始まるのだけはこうなるから注意して
   B意外のはこのスケール通りに
   三番目に並ぶ音の根音からの距離は必ず7(=3+4)
   なんだ。

   A♯メジャー
   A・C・Eが【34】
   A♯・C♯・E♯も音同士の距離は変わらないから【34】
   メジャーは【43】だからC♯半音あげて
   A♯・D・E♯

   B♭メジャー
   BDFが【33】
   メジャーは【43】でB♭ってのは根音が半音さがってるから
   B♭・D・F

   どうだい、面白いだろ♪

あゆ:あ、そっか!
   スケールをほんのすこしだけいじれば
   12音のメジャーマイナーが簡単に求められるんだね、
   うっわあ、凄いや!

詠月:さて、五度円をこのスケール使ってやってみな
   但しEFとBCの半音つながりだけは注意するんだ

あゆ:うん…
   えーと7ずつ飛べばいいんだね…
   だからスケールから一つおきに音を選べば…

   C・G・D・A・E・B・

   ああ、そうだね、Bからは【33】だから半音が上がるんだ、
   これでやるとすっごく分かり易いよ

   B・F♯・C♯・G♯・D♯・A♯・F(=E♯)・C

   これで12音だね全部できたよ!

詠月:さらに…

   ディミニッシュは【33】第三音の根音からの距離は6(−1)
   オーギュメントは【44】第三音の根音からの距離は8(+1)
    長三度減和音は【42】第三音の根音からの距離は6(−1)
    短三度増和音は【35】第三音の根音からの距離は8(+1)
        sus4は【52】第二音の根音からの距離は5(+1or2)

     長6度付加:根音からの距離が9 (根音−3とオクターブ違いの同じ音)
     短7度付加:根音からの距離が10(根音−2とオクターブ違いの同じ音)
     長7度付加:根音からの距離が11(根音−1とオクターブ違いの同じ音)
     長9度付加:根音からの距離が14(根音+2とオクターブ違いの同じ音)
   完全11度付加:根音からの距離が17(根音+5とオクターブ違いの同じ音)
    長13度付加:根音からの距離が21(根音+9とオクターブ違いの同じ音)

   こう考えるとこれらもまた
   いちいち憶えてなくても
   瞬時に計算で求められる

あゆ:すっごく分かり易いねぇ、驚いたよ

詠月:いや、音楽ってのは元来わかりやすいんだよ
   ただね、ソレの書き方を定式化した人達の
   数学センスがまるっきり無かったために
   理屈がボケてしまったんじゃないかなぁ

あゆ:そうなの?

詠月:長9度=完全8度+長2度
   こんなのいじり回したいかい?

あゆ:うぐぅ…イヤ(ふるふる)

詠月:『完全1度』が音の高低差としては『ゼロ』だから

   完全1度=完全1度+完全1度+完全1度+完全1度……

   これは数学でいうところの『ゼロ元』のことなんだよね。
   こんなんだから、みんな音楽理論が嫌いになるんだよ。

   ちなみに今の式、僕の記述方法なら
   14=12+2
   ただの足し算だぞ。

あゆ:うん、そっち選ぶよボク(ごろにゃん♪)

詠月:このスケールで和音を勉強すれば、
   かなり早くマスター出来るだろうね
   理屈も見えやすいし

   もちろん、最後は暗記しなくちゃ太刀打ちできないけど
   さいしょから、詰め込まれるだけで辟易しないで済むのは
   重要なことだと思うよ



あゆ:今のスケール、誰かに教えたんでしょ?

詠月:ああ、入院中に出会ったピアノの先生とか
   会社の人で音響学の専門大学出身の人とかに教えてあげた

あゆ:反応は?

詠月:目ぇ丸くして驚いていたぞ。
   初めから詰め込み丸暗記で教わってたんで
   自分がしょっちゅう使っていたものの中に
   これほど美しいものが存在すると
   はなから考えてなかったみたいだ

あゆ:例によって、みんな訊いたんでしょ
   「どんな本読んだ?」って

詠月:もちろん、「何処で習った?」って訊く人もいたね
   「キーボード買って2週間くらいで編み出した」
   っていったら、さらに仰天してたよ。
   図形で和音をイメージする方法とかも教えたなあ
   ピアノの先生なんか僕のベッドに紙もってきて
   書いてくれってせがまれたしね

あゆ:もしかしたら、音楽教育に取り入れられるかもね(笑)

詠月:なはは〜、あんがとっ♪


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