EPILOGUE



 耳を塞ぎ、椅子に座ったまま足をばたつかせる。

 忙しなく床とぶつかるその音が妙なタップダンスに聞こえなくも無い。

「止めてくれ! もう止めてくれ―――――っ!」

「大声出さないで下さい、また智華さんに怒鳴られますよ」

「だったら、あんな恥ずかしい台詞、復唱すな!」

「『覚えてない、全部忘れた』なんて祐一さんが言うからです」

「あの状況でどうしてそんだけの台詞覚えてられるんだよ、お前は」

「昔から、ドラマの気にいったシーンは全部覚えちゃうんです、私」

「忘れろ、直ちに」

「そんなこと言う人、嫌いですっ」

「くそっ、後で腹一杯茗荷食わせてやる!」

「無駄です、忘れないようにちゃんとノートに書取ってあります」

「がはっ、勘弁してくれぇ!」

「駄目です、諦めて下さい」

「思い出すだけでも恥ずかしい出来事だったっつーのに、あれは」

「そんなことありません、大切な思い出です。
 一歩間違えば私達の内どちらかはこの世にいないわけですから。
 結果から見れば笑い話で済むでしょうけど、あの時はみんな………必死でした」

「……ま、そう考えれば確かに奇跡的か……ここに二人共いるってのは」

「ええ、ドラマでもこれだけ都合の良いものはそうそうありませんよ」

「全くだ。………しかし、一体どんな願いをしたんだ あゆは?」

「ん?」

 横で一生懸命、秋子さん特製『季節外れたい焼き』を食べているあゆの手が止まる。

 口いっぱいに頬張っているので、流しこむのに時間がかかる。

 七年も寝ててどういう胃袋してんだか、こいつは………

「ボクの願い?」

「ああ、聞かせてくれないか?」

「興味あります」

「う〜ん、どうしよっかなあ」

 あゆは視線を俺の脇にあるテーブルに移した、
 置いてある果物には目もくれず、俺の傍の茶色の袋に………

「わかった………たい焼き、俺の分もやるよ」

「わあい」大喜びのあゆ

「じゃあ言うね」

 二人してあゆのベッドに身を乗り出す。


「こらこら、メモるな、栞」





「ボクの願いはね……………



    『ボクのために笑ってくれる人達、

                       その笑顔をボクは見続けていたい………

                                            いつまでも、いつまでも………』



                                                      だよ、えへっ♪」






END

   
SSシノプシスUP1999/06/23
SS本編完成1999/08/07




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