PROLOGUE



 何を待っているんだろう………

 夢が終わっても………それでもボクは待ち続けている

 闇の中で……一人で………


 ボクは泣いていた。ずっと、ずっと、泣いていた……

 もう一度、見たかった……楽しい夢を……

 そんな時、ボクは再び夢を見た




 雪……ちがう、霙だ

 ここは何処だろう、暗くてよく見えないけど……並木道みたい……誰もいない………


 向こう側から男の子が走ってきた

 追いかけるように女の子が息を切らせてついてくる

 男の子の手にはスコップが握られてる

 並木道の一本の木の根元、男の子はそこに穴を掘り始めた

 確信に満ちた表情で穴を掘る男の子………まるで宝箱のありかを初めから知ってるように………

 女の子は傘もささずに男の子を見ている………悲しみを押し殺したような表情で………


 あ! ボクこの二人知ってる気がする………


 男の子は並木道の木の根元を次から次へと掘り返している

 霙はますます激しく降る

 穴を掘り返すたび、男の子の顔が深刻になっていく


 女の子が男の子に向けて何かを言った

 霙のなか………泣きながら

 男の子の手が止まり、女の子の方を向いた

 女の子はポケットから何かを取り出し、男の子に向かってそれを掲げる

 男の子の顔が見る見るうちに悲しみの色に染まる………



 叫び



 大粒の涙が男の子の瞳から零れ落ちる………降りしきる霙のように、とめどなく…………



 不意に記憶が蘇った


 イヤだ、見たくない……こんなの見たくないっ!

 ボクは………ボクは、君たちの笑顔が見たいんだよ!!

 泣かないで………

 ボクの為に泣かないで………
 
 笑って………

 ねえ、笑って………

 お願いだから、笑ってよ………





 …………………わらってよぉぉ!ボクのためにぃぃぃっ!!









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