お奨めのヴァイオリン教則本 <曲集編>

●ヴァイオリン教本(全5巻)[編集]イオネル・ジェアンタ,ジョルジュ・マノリウ//春秋社 [新版監修]林徹也

 1957年にルーマニアで著わされ同地の音楽学校で当時から用いられていたようですが、日本では昨年5月にようやく刊行されました。
 この本はハ長調から導入されていてG線から練習するように書かれています。日本の教則本の大半が指を押さえやすいという理由から二長調やイ長調から導入されていますが、初心者の生徒、特に小さい子供は臨時記号の意味を認識しなくなってしまう恐れがあり、このジョルジュ・マノリウ氏の「ハ長調からはじめるのがもっとも効果的である」という考え方に惹かれ、試しに初心者の生徒に使わせていますがやはりハ長調から入ったほうが、小さい子供にとっては異なる調性にとまどったり臨時記号の導入によって困難をきたしたりすることがないのでより効果的であると感じています。またヨーロッパの民謡などが綺麗な二重奏に編曲されて取り上げられているので和声的な感覚も同時に養われていきます。

● バイオリンランド 安部慶子・樹原涼子著//音楽之友社
  第1巻 オープン弦で美しいボウイングを
  第2巻 はじめてのフィンガリングを

  昨年10月に出版されました。現在上記の2巻が出版されていますが、今年秋には第3巻が発売予定のようです。この「バイオリンランド」の著者安部慶子先生とは、数年前に一度お仕事でご一緒させて頂いており、出版前から「今度安部さんが楽譜出すらしい」という噂を仕事仲間から耳にしていたこともあって、ヤマハの店頭で初めて手にしたときは、感激もひとしおでした。楽譜の表紙のタイトルに「はじめからアンサンブルで」とあるように、退屈で飽きてしまいがちなボーイングの練習も合奏しながら楽しく学べるように二重奏曲になっています。
 楽器の構え方や弓の持ち方などを絵によって丁寧に解説されているので、とても見やすく解りやすく初心者の生徒ばかりでなく、私達指導者にとっても教え方の参考になるお薦めの本です。また大人の初心者の方にも人気があるようです。 また家庭でも伴奏をつけてくれるミュージックデータが別売されているのが魅力です。

●新しいバイオリン教本全6巻 兎束龍夫・篠崎弘嗣・鷲見三郎編//音楽之友社

この教則本は、沢山のヴァイオリン学習者によって長年愛させ続けてきました。今も尚、使用されている先生は多いのではないかと思います。
 第1巻、2巻ではポジション移動に入る前の段階の曲が取り上げられています。第3巻で初めてポジション移動の練習が導入され、ヴァイオリンの名曲などが豊富に出てきて楽しく弾けます。第6巻に入る頃にはかなり難易度の高い曲が弾けるようになります。但し2巻の終わりや3巻の真ん中辺りで急に難易度が増すものが出てくるので、平行して他の練習曲などを上手く取り入れながら使用していくと効果的です。


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