発表会での全員合奏のために編曲した楽譜

 私は毎年夏に発表会を開催していますが、コンサートの締めくくりとして必ず全員合奏を企画しています。しかし生徒は合奏経験が全くない初心者から上級者までと進度もさまざまです。折角全員で演奏するからには、初心者も参加できて尚かつ上級者にも満足感のある曲を演奏させて上げたいと考えて、私なりに工夫をしながら編曲をしています。ここでは編曲した楽譜をご紹介して行きます。

●J.S.Bach カンタータBWV147より コラール「主よ人の望みの喜びよ」

 2001年の発表会はヴァイオリンを始めて1年未満の初心者が3人含まれていると言うこともあり、選曲には頭を悩ませておりました。そんな折、室内編成のオーケストラの仕事でこの曲を演奏する機会があり、「あっ、この曲のコラールの部分なら第一ポジションしか出てこないし、初心者でも弾けるかも知れない」とひらめいたのです。(まさか仕事中に曲が見つかるとは思ってもみませんでした)
 その時の編成は弦楽4部のために編曲されていましたが、私は、初心者がコラールの部分だけを演奏できるように、第1、第2ヴァイオリン+ヴィオラ+チェロとは別に初心者用のコラールのパート(第3ヴァイオリン)を加えた編曲をしてみました。
 その際に一番気を使ったのは、やはり初心者が演奏するコラールの部分です。もしも原曲通りに第1、第2ヴァイオリンを9小節目のコラール部分から休符にしてしまうと、メロディーを受け持つのが初心者のみになってしまい、音量が寂しくなってしまいます。また、全く初めての合奏経験者にとっては、自分たちだけでメロディーを作るのはとても不安なことだろうと思ったので、その部分は出来るだけ全員でハーモニーを奏でるようにしました。
 もう一点工夫したのは、曲の終わりの部分です。最後の11小節間は原曲では弦楽器のみの四声体になっていますが、コラールを受け持った初心者達が弾かずにただ立ったままで終わるというのも何となく盛り上がらないので、その部分は殆ど開放弦(G線、D線)と1指(D線上のe音)だけで曲の終わりまで参加出来るように工夫しました。
 このような経緯で編曲した楽譜ですので、ちょっと不自然で強引な編曲に感じられる方も中にはいらっしゃるかとも思いますが、ほんの少し手を加えただけで、全く進度の違う生徒が一緒に楽しめる編曲が出来るのだということを皆様にも知って頂きたく、こちらで公開することに致しました。もし発表会を開かれる際に何か曲をお探しであれば是非ご自由にお使い下さって結構です。その折りにはメールでご一報頂ければありがたいです。公開しているデータはスコアのみですが、ご連絡いただければパート譜をお送りすることもできます。
 尚、その時の演奏の模様をムービーで公開致しますので、よろしかったらそちらもどうぞご覧下さい。

      [楽譜データ(PDF形式)]

      [ムービー(RealPlayerが必要です)]

●J.S.Bach 管弦楽組曲BWV1068より アリア

アリアは、もともと四声部(vn1, vn2, vla, b.c.)の曲ですが、この曲は、とくにリズム取りが難しいので、初歩の生徒にも簡単に演奏が出来るように、新たに第3ヴァイオリンのパートを加えました。このパートは、主にヴィオラパートをベースにして作りましたが、難しい箇所は、第1,第2ヴァイオリンパートから簡単そうな部分を引用したり、細かい16分音符やシンコペーションなどの複雑なリズムは二分音符で伸ばすように変えたり工夫しました。また、ヴィオラパートの譜面は、ヴァイオリンでも演奏できるように、ハ音記号をト音記号に置き換える作業もしました。

      [楽譜データ(PDF形式)](工事中)

      [ムービー(RealPlayerが必要です)]

●J.S.Bach 管弦楽組曲BWV1068より ガボット

ガボットの原曲は、弦楽合奏に2オーボエ、3トランペット、ティンパニーが入った編成ですが、管楽器の部分は全て省き、弦楽合奏のみ(vn1,vn2,vn3,vla,vc)で演奏出来るように編曲しました。前述のアリアと同様に、初級者の為に新たに第3ヴァイオリンパートを加えました。テンポが速い曲なので、初級者でもテンポで着いていけるように、音符の殆どを四分音符、二分音符にし、音の跳躍や移弦が最小限で済むように工夫をしました。

      [楽譜データ(PDF形式)](工事中)

      [ムービー(RealPlayerが必要です)]


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