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Hill of Thieves / Lyrics

She Moved Through The Fair / シー・ムーヴド・スルー・ザ・フェアー

Trad. arranged by Cara Dillon and Sam Lakeman

Label : Charcoal Records, Number : CHACD002
Recorded and produced by Sam Lakeman
我が愛しき彼女は言った
"あなたが甲斐性なしだからって、
母さんは気にしちゃいないわ。
それに父さんも軽蔑したりしない。"

そして離れ際に、こう言ってくれたのだ
"結婚できる日も、そんなに遠くないからね。"

彼女は祭りの人混みへと歩き始めた
あちこちと忙しく見て回る、そんな彼女の姿が
私には愛おしかった
やがて一番星が瞬き、夕暮れの湖を白鳥が渡る頃
彼女は家路にと就いていった

村人達は言っていた
"そういう二人は一緒になれた例しがないさ。"
・・・どちらかが、打ち明けられないような
難儀なことを抱え込んでいる、そんな二人は・・・

祭りで買った所帯道具を抱え、帰って行く彼女を
私は微笑みながら見送った
そしてそれが、彼女を見た最後となった

昨晩、寝ている私の前に彼女が現れた
我が愛しき彼女が部屋まで来てくれたのだ
物音ひとつ立てることなく入ってくると
私の胸にそっと手を置き、こう言ってくれた
"結婚できる日も、そんなに遠くないからね。"

そうだね、遠くはないよ

きっともうすぐさ

そう、遠い日のことじゃあない・・・
愛しい君と一緒になれるのは

(補足)

今から100年も前から歌われ続けていこの曲にも、 伝承曲によくありがちな別の曲名・別の歌詞を含む 別ヴァージョンのものが幾つか存在するようです。

姿を消した彼女は他の男性と駆け落ち、傷心の主人公は 出願兵となり戦場に身を投じる、という内容のものや、 亡くなったのであろう彼女が主人公の枕元に現れて 変わらぬ思いを告げる、という内容のものなどです。

カーラが歌っているのは後者のヴァージョンですが、 アルバムでは曲のエンディングがステージで歌う際と 違っており、思いを告げに来た彼女への、主人公の 優しい言葉が歌詞として加えられています。
この悲しいストーリーの最後に、少しだけ救いの手が 差し伸べられているような印象を受けました。

また、Fair (フェア:名詞) は日本の祭と同様に 神事や宗教行事という意味合いが現在では薄れ、 欧米でも催事・イベントといった娯楽的な内容の 行事を指すのが一般的のようです。この曲での フェアはお祭りや縁日ではなく、朝市や夕市、または 陶器市のような物品の販売フェアであった可能性もありますが、 やはり「村祭り」あたりを話の舞台にイメージすると情景が 浮かんでくるのでは、と思います。