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Hill of Thieves / Lyrics

The Verdant Braes of Skreen

ザ・ヴァーダント・ブレイズ・オブ・スクリーン

Trad. arranged by Cara Dillon and Sam Lakeman

Label : Charcoal Records, Number : CHACD002
Recorded and produced by Sam Lakeman
ぶらり夕市に出かけた日のことでした
スクリーン村、緑多きあの丘あたりで
サンザシの木の幹を背にしつつ、
西の地に沈みゆく夕日と、露に輝く
青々とした森を眺めておりました

向こうの水辺に若者を見つけましたが、
彼は若い娘さんを連れておられました
男性の顔つきは暗くこわばっており、
女性のほうは青白く悲愴な面持ちで
およそ血の気が感じられませんでした

「君も芝の上に座ったらどうだい、
  とっても心地いいからさ」
そして彼はこう言いました
「本当に好きな人に出会ってしまうと
  どんな可愛い子にも関心なくなるよ、
  愛すべき人に出会ってしまうとね」

「それなら私は座るわけにいきません
  貴方の恋人ではないのですから」
彼女はこう続けました
「コノートの娘さんを気に入られたと
  お聞きしていますから
  つまり、私に関心がなくなられた、
  もうどうでもよくなられたのだと」

「でも私は、どんな高い木に登ってでも
  野鳥の巣を奪うつもりでおります
  そこに見つけし物を必ずや持ち帰り、
  最愛とする方の手に委ねるのです」
そのように彼女は言ったのです
「私が最愛の対象とするものの手に」と・・・

(補足)

この曲の前に収録されている "P Stands For Paddy" の 補足にも書きましたが、似たような状況・内容を歌った 伝承曲が英語圏の国々に数多く存在しています。
ざっと50種類はあるようですが、その歌詞はというと 象徴的なものばかりですので、どうか上の訳詞も話の筋に 見当を付ける上での参考程度にお読みください。

【Skreen】

このスクリーンという地名に関しては、アイルランド島内に2ヶ所ほど 該当する場所があるようですが、デリー南部のドレイパーズタウン という町の説が有力です。
(Draperstown のアイルランド名 Ballinascreen が 短縮されて Screen または Skreen と呼ばれるため。)

【Braes - brae の複数形】

狭い谷や川辺、丘などの、やや勾配のある斜面のことを 言うようです。アイルランドやスコットランドの、特に 北部で使われる言葉だそうです。

【Abhann】

地名や人名に見られるアイルランド語の単語です。
しかしこれは、本来は "yon burn side" と歌われていた 部分が歌詞として書き留められる際に変化してしまい、 そのまま広まった可能性が高い、と言われています。
"burn" は小川や小湾のことで、言われてみると確かに、 そのほうが登場人物の位置関係が把握しやすいです。

【Connacht - コノート】

古くからアイルランド島は、大きく東西南北の4つの 地方に分けられていました。現在はそれらの地方に 行政単位としての機能はありませんが、それぞれの 地方の特徴・特色を伝える際の区分としては今でも よく用いられている呼び名です。
西部に位置するコノート地方もその呼び名のひとつで、 この曲の舞台と思われるデリーは北部のアルスター 地方に含まれます。ただしこの部分も、別の歌詞では 英国の町名である"Connaught" と表記される場合があります。

最終節の「高い木に登って〜鳥の巣を奪う」については、 5曲目 "False False" の補足をご参照ください。