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Hill of Thieves / Lyrics

Fil, Fil, A Run Ó

フィル、フィル、ア・ラン・オー

Trad. arranged by Cara Dillon and Sam Lakeman

Label : Charcoal Records, Number : CHACD002
Recorded and produced by Sam Lakeman
愛する息子よ、戻ってきておくれ
私を一人にしないでおくれ
最愛の息子よ、どうか私のもとへ
ここへと戻らばおまえには、
天上がごとき栄誉が待っていように

ずいぶん遠くまで探しにいったよ、
故郷モアテの地を巡りまわったのに
これほど我が目を疑った事があろうか、
ドネイル神父が牧師になっていようとは

おまえはペテロとパウロに背いたのさ、
金や銀に目が眩んだがために
おまえは女王の威厳に泥を塗ったのさ、
改宗して牧師になっただなんて

愛する息子よ、戻ってきておくれ
私を一人にしないでおくれ
たとえ今日じゃなくてもいい、
いつの日か戻ってきておくれ
かつておまえが洗礼を受けた教会へと

(補足)

ある母親の、息子に捧げた悲歌とされる伝承曲です。
アイルランド内では学校の授業で習うこともあるという曲で、 カーラの地元でも昔から多くの人が歌っていたそうです。
歌詞は現在も原曲のまま、つまりはアイルランド語のままで 歌い継がれていますが、この曲の書かれた背景についてを知る 人は意外に少ないとも言われています。
以下は、この曲の起源を特集したアイルランド国営放送の ドキュメンタリー番組を見た、という方のお話を参考にさせて いただきました。

(解説)

曲と歌詞は、ドニゴール地方に住んでいた女性によって1800年前後に 書かれたものとされています。
彼女には二人の息子がおり、ローマカソリック教会の 司祭となるための修行を積むべく、ヨーロッパへと旅立ちました。
しかし船はアイルランドを出航して間もなく難破、 命からがらウエールズに流れ着いた二人は、そこで裕福な家庭に 迎えられ手厚い看護を受けました。
健康を回復した後、二人はそれぞれ別の道を歩みます。 ひとりは再度ヨーロッパへの旅を続け、もうひとりは ウエールズに留まり英国国教会の牧師となりました。
長い年月を経た後、二人は故郷ドニゴールに戻って来たのですが、 ひとりはカソリック教会の司祭、もうひとりはアイルランド 国教会の牧師と、それぞれが異なる立場にありました。
消息不明であった息子達の身を案じ、無事の帰郷を待ち続けた 母親はその状況に困惑、嘆き悲しみます。
その当時は牧師となった息子の教会のほうが資金面で恵まれていたため、 彼が改宗してしまった理由は「富に目が眩んだため」であると 母親は考えたのです・・・。