The unofficial web site provides the informations of Irish folk singer Cara Dillon

Discography
Paddy Tunney - パディ・タニー (1921-2002)
カーラ・ディロンのインタビューを読むと、必ずと言っていいほどこのシンガーの
名前が挙がる。カーラの故郷ダンギブンは片田舎の小さな町だが、音楽を学び
楽しむことを奨励していたため、週末に開かれるワークショップにはアイルランド
各地から伝統音楽の偉大な先達が招かれることもあった。伝統歌への興味を
持ち始めた彼女の子供時代、町の集会所でパディ・タニーから多くの伝統歌を
教わった。それらを書き綴ったノートを、今もカーラは大事に保存している。

パディ・タニーも幼い頃から祖父、そして名高い歌手であった母親を通して歌を
習い始め、それが彼の全生涯を通じて伝統歌の収集を続けるきっかけとなった。
1950年代から60年代に活動し、アイルランド音楽の偉大な先達の一人とされる
他の多くの人々と同様、その当時パディも音楽を本業としていたわけではない。
仕事の都合などで各地を転々と旅をし、その地の伝統歌とふれあい歌うことを
楽しんでいたが、それが次第に評判となりラジオにも出演するようになった。
パディ・タニー
今日のアイルランド音楽の隆盛、その基盤を作った人々については音源自体
少なく、またCD化されていない等の理由でほとんど紹介されることはないが、
アイルランド語の歌詞を英訳し歌うなど、より多くの人々に伝統歌を紹介した
シンガーのひとりがパディ・タニーであった。パディの人生については決して
優雅なものではなく、若い頃には苦難の時代も経験しているが、どのような
状況でも音楽や詩を楽しみ、歴史を学ぶなど自由で強い精神を持っていた。

伝承曲とは、CDやレコードはもちろんラジオやテレビもない時代から世代を越え
人から人へと歌い継がれ、また演奏されてきたものだという。
時代は変わり、パディから歌を継承したカーラも様々な苦難と苦悩の末にやっと
ソロ・デビューを果たし、新たな方法で伝統歌を紹介しているが、いかなる時も
音楽を通じ前向きに生きる自由な精神もパディから引き継いでいるように思う。

Voice of the People - Volume 4

Farewell my own dear native land

- songs of exile and emigration -

Voice of the People - Volume 4 01. The Green Fields of Canada
      (rec: London, 1975)
10. Craigie Hill
      (rec: London, 1965)
Label : Topic, Number : TSCD 654
トピック・レコードから出ている伝承曲コレクションのシリーズで、現在20種類が
発売されている。それぞれに20曲前後収録されており、数シリーズでパディの
貴重な録音を聴くことができる。
アイルランドにはシャン・ノースと呼ばれる伝統的な歌唱のスタイルがあるが、
通常はアイルランド語の曲が無伴奏で歌われる。日本にも詩吟という伝統的な
歌のスタイルがあるが、アイルランドのそれには曲に親しみやすいメロディーが
あることで、同じ吟じるような歌唱スタイルでも受ける印象がかなり違う。
パディはこのシャン・ノースのスタイルで、英語に翻訳された伝統的を歌ったと
聞くが、おおらかで伸びのある歌唱はとても親しみやすい。
Craigie Hill はカーラがパディから教わった歌のひとつで、彼女のデビュー作に
収録されており人気の高い曲。

Voice of the People - Volume 6

Tonight I'll Make You My Bride

- Ballads of True & False Lovers -

Voice of the People - Volume 6 08. The Month of January
      (rec: London, 1965)
20. The Mountain Streams
      Where the Moorcocks Crow
      (rec: London, 1975)
Label : Topic, Number : TSCD 656
パディはアルバムも発表しているが入手は困難なため、CDではトピックに残した
録音をこのシリーズで聴くしか方法がないようで残念だ。
彼はアルバム以外にも伝統歌に関する書籍や自伝、詩集も残している。