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Veranstaltungszentrum, Ritterhude / Thursday 27th April

会場の玄関
会場の様子
Setlist
01. She moves through the fair ***
02. She's like the swallow *
03. Bold Jamie
04. Black is the colour *
05. October Winds
06. Never in a million years
07. Garden Valley
08. Grace
〜休憩〜
09. There were roses **
10. I wish you well
11. Donald of Glencoe
12. Where are you **
13. Tunes ****
14. Green grows the Laurel *
〜アンコール〜
15. Streets of Derry
16. The emigrant's farewell **
* 印付きの曲はデビュー・アルバム収録曲。
** セカンド・アルバム収録曲。
*** アルバム未収録のアイルランド伝承曲。
**** 楽器演奏のみのセッション・コーナー。
その他、無印の曲は全てサード・アルバム収録曲です。


2006年4月27日・リターフーデ (ブレーメン)
ドイツ北西部、音楽隊で有名なブレーメンから北へ約15キロの美しい自然に囲まれた町、
リターフーデにて行われたコンサートを御報告します。
カーラ・ディロンとバンドの一行は、サード・アルバム発表直後から続いている長期ツアーの
一環としてドイツ四会場を訪れましたが、ここはその初日です。

また、このコンサートは当サイトにも写真や情報を提供くださっているクラウス氏が、地元の
フォーク・クラブと共に企画・開催されたものでした。クラウス氏は熱心なカーラのファンで、
彼の地元でのコンサートを五年間も夢に見てこられ、ついに実現の日となりました。
当日までにチケットが完売せず、少し心配顔をされていましたが、午後七時の開場から
30分後には満員、急遽スタッフが予備の座席を全て持ち込む作業に。
一ヶ月以上に渡り、地元新聞やラジオ局への広報活動を自ら行ってこられたクラウスさん。
そんな彼の苦労が実り、当日券を含めてチケットはソールドアウト、ふたを開けてみれば
定員200名プラス20人の大盛況となりました。

写真はリハーサルの模様を記録するクラウス氏 (右)
リハーサルの様子
コンサート開演
ドイツでは夕暮れにもまだ早い午後八時、フォーク・クラブの代表者の方が壇上に登られ
来場された方々への感謝の言葉を述べられたのに続き、いよいよバンドのコールです。

拍手に迎えられ、五人の奏者がそれぞれの配置へと着きました。まずはキーボードから
低音のストリングス、徐々に音量が上がり、そこにギターの風音の様な効果音が被さる
静かなオープニング・・・ そしてロウ・ホイッスルによる美しいメロディが奏でられ始めると
遙かアイルランドの風景が眼前に広がるかの様でした。
その静寂の中、一瞬の歓声と拍手が起こったのはカーラの登場を出迎えるものでした。
微笑みながら客席に向かって一礼し、スッと中央に立った彼女は、目を閉じると静かに
歌い始めます。
"She moves through the fair"、直前のアイルランド公演よりコンサートのオープニグに
採用している伝承曲。伸びやかに、時には力強く・・ 清らかな歌声がゆったりとホールを
包みます。後半では、カーラもホイッスルで演奏に参加しました。

デビュー当時はサム・レイクマンのピアノ伴奏のみによるステージを行っていたカーラ。
その後ギターやベースの加わったツアーもありましたが、セカンド・アルバムの発表以来
5〜6人のバンドと共に活動しています。日本でのステージ、また最近ではラジオ出演の
生演奏で、過去三作品のどの曲でもカーラとサム二人だけで見事な演奏をしていました。
ですので、6人もの大所帯によるステージはどうかな?という思いも抱きつつバンドでの
演奏を初めて耳にして来ましたが、"Bold Jamie"、"I wish you well" 等、最新作からの
曲では、各奏者がアルバムで使用された楽器を適宜持ち替えていく事でそのサウンドを
忠実に再現、また "She's like the swallow"、"Black is the colour" 等といった過去の
作品は新しいアレンジも加えられており、予想を遙かに上回る素晴らしい内容でした。

それでも、アルバムで聴ける静かなバラードもぜひ歌ってほしいところ・・・
という聴衆の期待も熟知してか、中盤にはバンド・メンバーの半分が 「お先に失礼。」 と
休憩に入り、"Garden Valley"、"Grace" がピアノとギターのみの伴奏で披露されました。
さらに15分の休憩後、まずはサムとカーラの二人だけが登場し、"There were roses" で
ステージの再会です。
「コーラスの部分は皆さんもぜひ一緒に歌ってくださいね。」
カーラがその部分の歌詞を観衆にゆっくりと歌って聴かせた後、静かにピアノのイントロが
奏で始められました。客席の合唱は曲が進むにつれ徐々に大きくなり、最終のコーラスは
カーラもマイクを離れて観客に全てを譲ります。曲が終わった後には満面の笑みで客席に
拍手を送っていました。
コンサート終盤、セッション大会
さてステージは終盤、新たにこのツアーからセットに加えられたというセッション・コーナーが
始まりました。カーラがフィドルを手に取ると、客席からは大きなどよめきに続いて期待の拍手。
まずはパイプ奏者とのユニゾンで演奏開始、曲調を変えつつ、段階的にテンポアップしていくと
客席のほうは当然じっとしていられなくなります。大手拍子と足踏みで応えると、ステージでは
他の全メンバーも演奏に参加して盛り上げていきます。
曲はかつてカーラが在籍していたバンド、オイガのアルバムなどで聴けるアリッシュ・チューン。
ステージでの演奏は約十年振りだと思いますが、大歓声を受けて少し照れくさそうでした。

大盛上がりのコーナーが終わり、まだその余韻が残る中、唐突にお別れの曲が告げられました。
もちろん客席からは一斉に不満の声、しかし既にコンサートは開始から1時間半が経過しており、
気が付けば外もすっかり夜のとばりが降りています。
"Green grows the Laurel"、デビュー盤に収録のこの曲も、ピアノ伴奏で始まり中盤以降からは
ドラムス類が加わるという、アルバムと同様のバージョンで披露されました。
そして閉幕
曲が終わり、全メンバーが揃って客席に一礼、足早にステージを後にします。その間に送られた
観衆の称賛の拍手は、すぐさまバンドを呼び戻すための大手拍子へと変わりました。
なかなか戻って来ないバンドに、口笛とアンコールの合唱も加わります。
やっと照明が落とされ、カーラとサムの二人が再び姿を現すと、立ち上がって待っていた方々も
安堵の溜息をついて腰を下ろしておられました。
そんな観衆に感謝の言葉を贈り、次に彼女が紹介した曲は "Streets of Derry"。
アルバムではポール・ブレディとのデュエットで収録されていますが、この夜はピアノ伴奏による
カーラひとりでの披露となりました。「私にとってとても大切な、故郷デリー州の伝承曲です。」
その言葉通り、このバラードを目を閉じて丁寧に歌い上げた彼女に暖かい拍手が送られました。
全メンバーが再度ステージに戻り、いよいよ最後の曲となったのは "The emigrant's farewell"。
最終小節の、三人のバンド・メンバーがコーラスに加わるアレンジは圧巻で、正にコンサートの
ラストを飾るに相応しい選曲でした。観客の皆さんは立ち上がると、惜しみのない拍手と歓声を
ステージに送ります。お客さんは全て近隣の町や村から駆けつけてこられたという、30〜50才の
方が中心で、終始とても和やかなムードに包まれた素敵な1時間40分でした。
サインに大忙しのカーラ
コンサートが終わると、開場の一角に設けられていた CD 販売コーナーにカーラが出てきまして
サインや記念撮影に応じます。写真は順番を待つ人の列も残り数人となった頃のものです。
最初は50人以上の長蛇の列ができていましたが、このように行儀良く列になって順番を待つのは
日本とドイツに共通の習慣なのだとか。
この後、同じく会場内のドリンク・バーにてバンドのメンバーや関係者、残ったお客さんを交えての
ちょっとした打ち上げが催されました。サムにスピーチを促されたクラウス氏、感激のあまり言葉を
詰まらせておいででしたが、感謝の言葉と乾杯の音頭でこの夜を締め括られました。
当日のチケット